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2020年3月16日
米国も非常事態宣言、NY株式市場は史上最大の下げと上げを繰り返す
◎日経平均(13日大引):17,431.05(▲1,128.58、▲6.08%)
◎NYダウ(13日終値):23,185.62(+1,985.00、+9.36%)
鈴木一之です。コロナ・ショックが世界中で猛威をふるっています。ここに至ってWHOがパンデミック宣言を発しました。リスク資産から撤退する動きが世界中であらためて広がり、株式市場は猛烈な下落となりました。
イタリアの危機的状況は深刻さの度合いを増しており、ベッド数が足りず医師・看護士も感染の危機にさらされ、医療崩壊に直面しています。イタリア全土で国境が閉じられ、日用品の販売店と薬局を除くすべての小売店が営業停止となりました。
同様の動きがスペインでも見られ、サンチェス首相が非常事態宣言を発しました。フランス、ドイツでも患者数の拡大が広がりつつあり、ヨーロッパ全土が新型コロナウイルスの蔓延に身構えています。
米国でも感染者数が急速に増大しており、先週のNY州に続いてトランプ大統領は米国全土に非常事態宣言を発令しました。
同時にイギリスを除いた欧州26か国に対して1か月間の渡航停止措置をとりました。この措置が欧州になんの通告もなく発せられたために、米国と欧州の分断が一層際立つ形となりました。コロナウイルスが終息した後に問題視されそうな雲行きです。
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米国の株式市場はサーキットブレーカーを交えながら、1週間のうちに史上最大の下落と上昇を何度も繰り返しました。週末にはトランプ大統領より非常事態宣言と合わせて、ウイルス撲滅のために500億ドル(5兆円)の財政支出が発表されたため、NYダウは+1900ドルを超える大幅高となりました。
経済指標に少しずつ悪影響が出始めました。韓国の2月の新車販売台数は前年比▲76%に達しました。生産も▲26%ダウンしています。インドも2月は新車販売が▲14%減少しました。日本でも2ケタの減少です。
イベント関係の被害はこれから明らかになってきます。オーストラリアではF1グランプリの開催が直前になって中止とされました。航空会社は次々と運行路線の減便、欠航を決めています。1つの便が欠航すると航空会社の収益は数憶~数十憶円単位で減少すると言われます。
世界の航空会社の中には経営危機に直面する企業が出てくることが心配されます。すでに格安航空会社の中には経営破綻に直面したところも現れています。
今後問題となるのは、新興国の経済です。中でも東南アジア各国は観光需要が激減しており、カントリーリスクに直面せざるを得ない状況です。3月15日の日本経済新聞によれば、2020年の外国からの観光客が2018年比で半減すると、アセアン10か国の経常収支は▲400憶ドル近い赤字になるそうです。
観光客数がゼロになったら赤字額は▲1500億ドルにのぼります。東南アジア諸国が経常赤字に陥るのは1998年のアジア通貨危機以来のことで、対外債務の割合の高いインドネシア、マレーシア、タイの通貨が不安視されることになります。
週明けもまだ市場は落ち着かず、不安定なムードのままかなりの乱高下が予想されます。
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先週の東京市場は、TOPIXが続落し、これで5週連続での下げとなりました。1週間の下落率は▲14.26%にのぼっています。
セクター別では、TOPIX-17業種のすべての業種が値下がりしました。
最も下げ幅の小さな業種が「電力・ガス」ですが、それでさえ▲9.39%の下げを記録しました。その次が「食品」の▲10.67%、次が「小売」の▲11.46%です。あらゆる業種が大幅な下落を余儀なくされています。
最も値下がりの大きかったセクターは「エネルギー資源」で▲22.18%でした。OPECプラス1におけるサウジアラビアとロシアの減産交渉が決裂し、原油価格が30ドル台前半まで急落していることが明らかに影響しています。
それに次いで「不動産」、「銀行」、「金融」などの金利敏感株が軒並み下落しました。さらに「鉄鋼・非鉄」も下げが一段と加速しています。
世界経済を巡る需要の減退は日に日に厳しいものになっています。新型ウイルスの拡散による一過性のものでもありますが、ウイルスが駆除されたからといって売り上げが全面的に戻ってくるところと、戻ってこないところとの温度差が、一国の経済の中でもかなり出てきそうな雲行きです。
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日本も含め世界中が株価の上で大きなダメージを受けました。政府は景気判断の引き下げを検討しています。米中貿易摩擦の緩和によって12月~1月に景気底入れの「兆しの兆し」が見えていただけに残念でなりませんが、これほど大幅な消費および生産の落ち込みがあっては避けられません。
株価も大幅な下落を余儀なくされました。いずれも強烈な下げ相場に直面していますが、同じ下げ方でも3つに分かれるように思います。
(1)リーマン・ショック後の安値に接近、更新した銘柄
(2)アベノミクスのスタート地点に戻った銘柄
(3)2019年以降の上昇分を打ち消しただけの銘柄、
の3つです。(1)が最も弱く、日本郵船9101、武田薬品工業4502、
(後略)