ブログ

2020年8月25日

NASDAに続いてS&P500が史上最高値を更新

鈴木一之

◎日経平均(21日大引)22,920.30(+39.68、+0.17%)
◎NYダウ(21日終値)27,930.33(+190.60、+0.68%)

@@@@@

鈴木一之です。お盆休みが終わり、ツクツクボウシの鳴き声が聞こえてきます。秋がすぐそこまで迫ってきました。

今年は盆踊りや花火大会がことごとく中止になってしまい。夏休みが例年よりもだいぶ短くなってしまいました。子どもたちがかわいそうでなりません。早くコロナウイルスの拡大が収まることを願うばかりです。

@@@@@

先週のマーケットはまたもや相場のムードががらりと変わりました。

年初から相場のリード役を果たした半導体関連株が急落し、マザーズ上場銘柄が次々と大幅な居どころの変化を続けています。

決め手は企業の決算内容です。決算のよかった銘柄はここから11月くらいまで、時間をかけてじっくりと上値を切り上げてゆくことになりそうです。

機関投資家のポートフォリオの本格的な組み入れ銘柄の入れ替えが始まりました。いま上昇している銘柄がさらに上昇する地合いが続くと見られます。

前の週はお盆休みの真っ最中で、本来であれば株式市場は取引参加者がいなくなり、出来高が減って閑散な地合いが続きます。株価もそうたいした動きはしないものです。

それが今年に関しては商いが膨らみ、日経平均も6月の高値を突破して5か月ぶりの水準まで買い進まれました。

先週ご報告したように、その要因のひとつがトヨタ自動車(7203)の決算後の値動きです。トヨタが軽々と8連騰を記録して周囲の銘柄をリードしました。

日経平均もあっという間に23,000円の大台を回復し、今年2月以来の水準に達しました。株価のレベルだけで言えば、コロナ危機による経済的なショック安の部分だけでもほぼ克服したというレベルに達しました。

それが先週は反対方向に一変しました。株式市場の順調な値戻しは急速に勢いを失い、突如として調整ムードを強めました。動くべき時に動かず、動くべきでない時に動く。先週と先々週とで動きがまるで反対になったかのようです。

そのような調整色を強めた理由として、いくつかの要因が考えられます。このところマーケットを取り巻く外部環境には大きな変化が立て続けに生じており、どの材料がどれほどのインパクトを持っているのか判然としない状態で、株式市場は警戒感を強めているようにも感じられます。

細菌の変化をいくつか列挙してみます。

@@@@@

(1)ファーウェイに対する米国の禁輸措置

まず挙げられるのが米中対立の激化です。米国政府は8月17日(月)にファーウェイに対して、米国の技術を採用した半導体を全面的に禁輸すると決定しました。

これまでも米国政府はファーウェイに対する規制措置として、2度にわたって半導体の禁輸措置を打ち出していました。ただしそれらはどこかに抜け道があり、完全にファーウェイの存在を締め出すというものではありませんでした。

しかし今回発表された規制措置は、米国の技術を使った半導体であれば全面的に禁輸の対象となります。これによってファーウェイは今後、最先端技術を搭載したスマホを一切製造できなくなると見られます。

ファーウェイは対抗措置として、必要な半導体はすべて自社、あるいは中国国内で生産する模様です。しかし半導体はあらゆる技術の中でも最も精密かつ複雑な工業製品であり、最先端品は一朝一夕には手に入れられません。ファーウェイはおそらく今から参入していたのでは、永遠に最先端領域には追いつけないだろうとの見方もなされています。

「5G対応スマホ」の市場がここから急拡大すると見られているだけに、この措置は致命的な打撃となりかねません。現時点ではファーウェイ、および中国政府からの対抗措置は明確には打ち出されていないため、今後の展開は簡単には予想できません。それだけに株式市場の警戒感は一段と強まっています。

今週は韓国。台湾の株式市場が急落しました。そればかりでなく全世界の株式市場が沈黙したままの状態で軟化しています。日本でも半導体・電子部品関連の東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)、ソニー(6758)、村田製作所(6981)の下落が目立ちました。

値がさハイテク株の下落は日経平均にてきめんに影響を及ぼします。その分、小売セクターを中心に内需株に資金シフトが強まりました。

@@@@@

(2)アップルの株価が急騰し、時価総額は2兆ドルを突破

アップルの株価上昇が止まりません。今週も週末にかけて急騰し、500ドルの大台に迫りました。8月19日(水)の時点で時価総額は初めて2兆ドル(210兆円)の大台を突破しました。

アップルは7月末に2020年4-6月期の決算を公表しており、売上高が596億ドル(前年比+11%)、純利益が112億ドル(同+12%)と大幅の伸びとなりました。売上・純利益ともに市場予想を上回りました。この決算内容に関して、今もって市場のあちこちから驚きの声があがっています。

中でも売上高は5四半期も連続して増加しており、コロナ危機の影響は微塵も感じられません。米中間の貿易摩擦が激化した昨年は、アップルでさえ業績見通しを小刻みに引き下げました。

今年2月の早い時点でコロナウイルスの影響を収益の見通しに反映させ、それまでの業績予想をいったん取り下げました。

その後はアップルの見通しどおりに、米国と世界の経済はひどいダメージを受けましたが、それにもかかわらずアップルは結果的に5四半期連続で売上げと利益業績をここまで大きく伸ばしてきました。

コロナ危機によって企業はリモートワークを導入し、個人間では学校教育でのオンライン学習や日常生活でのネット通販への傾斜の度合いが高まっています。それに伴ってアップルが得意とするノートPCやタブレットの需要が急増しています。

そこに米国政府による中国、ファーウェイへの禁輸措置が加わります。スマホ市場における競合相手のひとつであるファーウェイ製品の半導体の供給禁止がアップルへの追い風になることは間違いありません。

政治的にはさらに2点、注目されるポイントがあります。ひとつは、アップルの供給網は中国での組み立てに大きく依存している点です。アップルに対する中国政府のスタンスが今後は焦点となってくる可能性もあります。

もうひとつは民主党の副大統領候補にカマラ・ハリス氏が正式に指名された点です。ハリス氏の地盤はカリフォルニア州で、シリコンバレーの大手企業が軒並み支援団体に名を連ねています。

民主党は伝統的に西海岸で強い勢力を保持しています。バイデン大統領、ハリス副大統領が誕生した際に、アップルをはじめ米国のテクノロジー企業が規制強化の波をかいくぐってさらに勢力を拡大するのか、この点も注意を怠れない点と見られます。

@@@@@@

(3)米国の大統領選挙の行方

そして3つめのポイントが米国の大統領選挙です。

先週はウィスコンシン州ミルウォーキーで民主党の全国大会が開かれました。本来は本選挙に向けて大きなヤマ場となる一大イベントですが、コロナウイルスの感染防止のためにバーチャル開催とされました。

ここでジョー・バイデン前副大統領とカマラ・ハリス上院議員が正・副大統領候補として正式に指名されました。11月の投票日まで80日を切り、いよいよ米国の大統領選挙も最後の直線コースに入った感があります。

世論調査では共和党、民主党はデッドヒートを続けています。就任3年目の昨年であればトランプ大統領の再選はまず揺らぐことのない有利な情勢でした。

それが就任4年目の今年、コロナウイルス対策と黒人人種問題で致命的な失敗を冒したことで、支持率は急速に低下しました。米国が直面する目下の経済状況が「大恐慌以来では最悪」と言われるまでに、急速に悪化したことが原因です。

もともと低迷していたマイノリティからの支持は、人種問題で決定的に対処を誤ったことで期待できません。現職の大統領が圧倒的に有利といわれるこれまでの経験則からは遠ざかるばかりで、

(後略)

日本株に関する情報をいち早くゲット!

ここでしか読めないメールマガジンを配信しています。
登録無料!

鈴木一之