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2020年12月7日

NYダウが終値で30,000ドルの大台を突破、史上最高値を更新

鈴木一之

◎日経平均(4日大引):26,751.24(▲58.13、▲0.22%)
◎NYダウ(4日終値):30,218.26(+248.74、+0.82%)

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鈴木一之です。12月になりました。家族連れやカップルでにぎわういつものクリスマスの風景が、今年はかなり様相が違っています。

ツリーの飾りつけやイルミネーションは控えめなものに抑えられ、にぎわいや人の集まりを作らせまいとする配慮が至るところで感じられます。

コロナ感染症を封じ込めるために今が正念場、という気概が漂っています。お子さんたちには重苦しいと感じられることでしょう。痛ましいことに、子どもたちの自殺が増えていると聞きます。

先週も株式市場は安定した上昇基調を続けました。日経平均は29年ぶりの高値水準を維持しており、ついにNYダウは週末に過去最高となる30,000ドルの大台を突破しました。ナスダックも過去最高を更新しています。

「高値保ち合い」と言った方がよいかもしれません。強弱観の対立が激しさを増している週でもあります。楽観的な見方と悲観的な見方が入り乱れています。以下に断片的ですがその両サイドを列挙してみます。

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(楽観的な見方、ニュース)

コロナウイルスに対抗するワクチン開発のニュースが相次いでいます。

先週のマーケットを語る上で、誰もがもれなく「ワクチン相場」という表現を用いました。ファイザー、モデルナに続いてアストラゼネカの開発するワクチンに高い有効性が確認されたこと、および英国政府がファイザーのワクチン使用申請に対して世界で初めて許可したことがプラスととらえられました。

イギリスでは12月7日からワクチン接種が始まります。

世界経済はゆっくりとした回復基調を維持しています。先週発表されたマクロ経済統計の多くに世界経済の回復基調が確認されています。

米国のISM・製造業景況指数(11月)は57.5と、前月比▲1.8の低下となりました。低下ではありますが、前月の59.3と2年ぶりの高水準でかなり良すぎたという見方が多いことも事実です。ほぼ予想どおりの結果と言えそうです。

同じく中国・国家統計局が発表した11月の製造業PMIは52.1と、前月比+0.7の上昇となりました。水準としては2017年9月以来の高い水準です。事前の市場予想である51.5も上回りました。

日本に関しては10月の鉱工業生産が発表され、生産指数は95.0で前月比+3.8%となりました。6月から5か月連続でプラスを維持しています。

これらのデータを受けて東京株式市場では、週を通じてエレクトロニクス、自動車株が幅広く買われています。景気動向に敏感な鉄鋼、非鉄、海運、機械株も値上がりする銘柄が日を追って増えています。

週末の米国市場では、建設機械のキャタピラーが+4.3%と大きく上昇して上場来高値を更新しました。このほかにも、素材のアルコアが+7.6%、化学のデュポンが+2.8%、鉄鋼のUSスチールが+9.6%と大幅高を記録しました。

ハネウェル、ユニオン・パシフィック、エマーソン・エレクトロニクスなど、昔その名前をよく耳にした重厚長大企業が大きく上昇しており、それによってNYダウ工業株の史上初の3万ドル乗せが実現しています。必ずしも「GAFAM」の力ばかりではありません。

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(悲観的なニュース、見方)

コロナウイルスの感染拡大がとまりません。重症患者数が全国レベルでピークを更新しています。

日本では札幌に続いて大阪も、市民に対して外出を自粛するよう要請を出しました。病院はパンク寸前の状態で、感染第3波の危機が日を追うごとに高まっています。

世界中で感染者数は5000万人を超え、死亡者数も150万人を突破しています。たいへんな数字です。人類は80年代後半から90年代にかけて、HIV/エイズで3400万人が命を落とすという感染症を経験しています。

100年前のスペイン風邪は、第一次世界大戦と重なったため正確な統計がないものの、5000万人~1億人が死亡したとされています。新型コロナウイルスの死亡者数はまだ途中経過の段階ですが、これらの悲劇的な事態に刻一刻と迫っています。

それでも欧州では、フランスやイギリスが次々とクリスマス休暇前に感染者数を抑制するという成果を出しつつあります。小売店や飲食店の営業停止、自粛、市民の夜間外出禁止など、政治的には厳しい判断を下したうえで、経済のストップ&ゴー政策を明確に打ち出しています。

政治と経済の綱引きという点では、日本はどこよりもポピュリズム的な政策に傾きがちです。感染者数のレベルで見れば、諸外国の水準よりはまだましというところをキープしていますが、地方自治体は財源的にかなりひっ迫してきました。

元からそれほど豊かでなかった地方は、休業要請に応じた店舗に対する所得補填の余裕がないところも多くなっています。事態を一発で解決してくれる特効薬としてのワクチン開発に期待が寄せられるのも無理はありません。

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福島第一原発事故、あるいは1997年の山一証券破綻がよい例となりますが、日本は国民に本物の危機が襲いかかった際に、政府とマスメディアが一体となって一切の真実が明かされなくなります。太平洋戦争の大本営発表がそのまま続いているようです。

現在がもしそのような状況に近づいているのだとしたら恐ろしいことです。幸いにも現代社会はインターネットがあります。エムスリー(2413)の株価が一貫して上昇を続けているのは、いかにして少ない医療関係の情報を正しく知ろうというニーズが強いかを示しているように思います。

メディアの放送がすべて真実ではないように、ネットの情報もすべてが正しいわけではありません。物事の軽重や当否の判断は、すべてひとりひとりにゆだねられています。皆さんがそうであるように、私も私なりの基準で判断します。

私にとって重要な判断基準は、素材市況の動きです。半導体は弱含みの動きが一服しましたが、それ以外のほとんどの素材市況は一貫して上昇基調を続けています。

今年3月の急落で底入れして、5月から現在に至るまでほぼ休みなく値上がりを続けてきました。それが徐々に鉄鋼株や非鉄、機械、海運株の値動きに反映されるようになっています。

手洗い、うがい、マスク、3密を回避、実際に自分自身が取り得る基本的な行動に気をつけながら、日々の生活防衛をつつがなく行ってゆきたいものです。

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先週の東京市場は、TOPIXが5週ぶりに下落しました。日々の上下で言えば「3勝2敗」でまずまずの成績ですが、週初に大きく下げた分を取り戻すことができませんでした。日経平均は29年ぶりに乗せた26,000円の大台を割り込むこともなく、しっかりキープしています。

大型株から中型株、小型株までまんべんなく下落しました。グロース株は早くも一服して、引き続きバリュー株の人気が継続しています。東証マザーズ市場は小幅ですが続伸しました。

セクター別の騰落では、TOPIX-17業種のうち、6業種が上昇し11業種が下落しました。ここまで値下がり業種が広がったことも5週ぶりのことです。

値上がり率のトップは「鉄鋼・非鉄」です。前の週に続いて値上がり上位に登場しました。同じように「素材・化学」の

(後略)

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鈴木一之