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2020年12月22日

NY市場がまたもや最高値を更新。世界中が二極化の展開に

鈴木一之

◎日経平均(18日大引):26,763.39(▲43.28、▲0.16%)
◎NYダウ(18日終値):30,179.05(▲124.32、▲0.41%)

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鈴木一之です。師走も半ばが過ぎました。

例年であればクリスマスのイルミネーションで埋め尽くされるところでしょうが、今年は様子がまったく違います。電飾の飾りつけをほとんど見ません。きっと商店街やショッピングモールには自粛要請が出されているのでしょうね。

コロナウイルスの感染拡大がますます加速しています。日本では連日のように新規の感染者数が過去最高を更新しています。ロックダウンの措置を取っている欧米でも思うように流行は収まりません。とうとうフランスのマクロン大統領までが陽性になってしまいました。

日本政府は内閣支持率が急低下していることもあって、とうとう「GoToトラベル」キャンペーンの一時停止を発表しました。遅きに失した感があります。政治上の判断と公衆衛生の問題は厳密に分けてほしいものです。

それでもイギリス、カナダに続いて米国でもワクチン接種が始まりました。日本でもファイザーのワクチンが承認申請の段階に入り、接種が始まるのも時間の問題です。年の瀬を迎えて経済環境は厳しい状態が続きますが、それでも第3次補正予算の概要が固まり、日本でも株式市場は高止まりを続けています。

NYダウ工業株は現地木曜日にNASDAQとともに史上最高値を更新して、金曜日には小幅な下落となりました。前の週にご紹介したCNNビジネスの「Fear&Greed Index(恐怖と強欲指数)」は、先週末の時点で1週間前の「76」から「63」に低下しました。「ウルトラ強欲」の段階から、「普通の強欲」のところまで一段階、低下しています。

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実際に日経平均は不思議なほどの高止まりを続けています。11月相場で29年ぶりの高値まで駆け上がった直後です。熱気を冷ましているのかもしれませんが、12月相場は驚くほど動きが止まってしまいました。下がりもせず、上がりもせず、完全なまでの横ばい状態です。

上値はコロナウイルスの感染拡大に対する恐怖が抑えており、同時に下値は日銀の金融緩和と政府による財政出動が支えています。企業の業績も下期より急回復に向かう企業の方が数の上では多いため、売り叩くこともむずかしい状態です。

そこに加えて、マクロ経済統計のデータも徐々にですが支援材料に加わりつつあります。

今週は月曜日の朝一番で12月調査の日銀短観が発表されました。大企業・製造業の景況判断DIは「▲10」となり、前回の9月調査の「▲27」から+10ポイントも改善しました。2四半期連続での改善となります。

ここで重要な点は業況判断における「変化の幅」ではないかと思います。業種別で見た場合に、変化の幅が最も大きいのが自動車の「+48」です。続いて木材・木製品の「+36」、さらに鉄鋼の「+30」、非鉄金属の「+27」、生産用機械の「+22」と続きます。

いずれの業種も水準としてはまだ低い位置にとどまっています。それでも景気の動きに関して言えば、大事なのは「変化の方向」であって、「水準」はその次となります。「変化の方向」すなわち矢印の向きが下から上向きを示していれば、たとえレベル的に不景気に包まれていようとも、株価は上向きとなります。

景気の「水準」の議論はもっとずっと後になって重要になってきます。景気の底入れ前後、反対に天井付近の議論においては、変化の方向性が何よりも重要なのです。今回の日銀短観を見る限りでは、「変化の方向」は大きく上向きを示しており、それがここ数週間の重厚長大産業の株価を押し上げる原動力になっていると考えられます。

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確かに物色の動向は週単位で様変わりしています。先週のヒーローは何と言っても任天堂(7974)とソニー(6758)です。敢えて付け加えれば、そこにキーエンス(6861)とNTT(9432)が加わります。

その前の週の主役は川重(7012)、三菱重工(7011)、IHI(7013)の重機械メーカーでした。さらにトヨタ自動車(7203)、オリエンタルランド(4661)、ファナック(6954)などがそこに加わります。

さらにその前の週の主役は、信越化学(4063)、東京エレクトロン(8035)、日本製鉄(5401)、日本郵船(9101)で、さらに前の週は村田製作所(6981)、日本電産(6594)、ファーストリテイリング(9983)となっています。

要するに週ごとに人気銘柄が移り変わっていて、休んでは買われ、買われては休む、という循環物色を続けているのです。外国人投資家による買いが本格的に日本市場に入ってくると、このような循環物色が特徴としてはっきりと見られます。規模別指数では、大型株指数と小型株指数がしっかりしており、先行した中型株指数はむしろ一服感が感じられました。

今年の最後を飾るかのようなIPOラッシュが始まっています。小型成長株は値崩れを起こすこともなく堅調です。調整を続けたマザーズ銘柄にも、IPOラッシュにひるむことなく新たな動きが始まっているようにも見えます。

海外市場では、日経平均と同じような高値保ち合いを形成しているのが香港、シンガポール、そして英国です。対照的にNY市場と連動して上値追いに向かっているのは、米国以外ではドイツ、インド、ブラジル、ロシア、それにコモディティ市場です。海外市場でも二極化の流れが強まってきました。

「2020年」という年を貫く基調がこの「二極化」です。社会の至るところで二極化が観測されます。格差の社会、分断国家、さまざまに表現されますが、目の前で起こっている残酷なまでの二極化の流れは、年が改まっても変わることなく続いてゆくでしょう。

景気敏感株の動きが一段と鮮明化しています。住友金属鉱山(5713)、商船三井(9104)、カネカ(4118)、大平洋金属(5541)、黒崎播磨(5352)など典型的なシクリカル銘柄が堂々と高値をとっています。こういう地合いは強いですね。ひとたびこのような流れが始まると、簡単には収まりません。

物色はさらに出遅れ銘柄へと向かうことが考えられますが、こういう時は少し休んでいる業種、銘柄を狙うのが近道です。なにも近道することばかりが重要なことでもありませんが、次に狙う銘柄を絞り込むにはよい方法だと思います。

毎日、15時が過ぎてその日の株式市場の取引が終了したら、値上がり率ランキングや売買代金ランキングをプリントアウトして、それを何日か、何週間か、束ねて保存しておくのが得策です。

その上で、何日か前の値上がり銘柄ランキングを引っ張り出してきて、動きが止まって煮詰まっている銘柄を探し出すとか、出遅れ銘柄を探すことが今の地合いであれば有効かと考えています。

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先週の株式市場は、TOPIXが続伸しました。前週の+0.34%に続いて、+0.63%という小さな上昇にとどまっています。

日経平均も小さな値動きを続けました。2勝3敗ではまだはっきりと動きが出たとは言えません。調整色が一段と強まっていますが、

(後略)

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鈴木一之