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2021年12月14日
オミクロン株への警戒感が後退、世界中が一斉にリバウンド状態
◎日経平均(10日大引):28,437.77(▲287.70、▲1.00%)
◎NYダウ(10日現在):35,970.99(+216.30、+0.61%)
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鈴木一之です。12月も半ばに差しかかりました。年の瀬の街の様子は次第にそわそわ、慌ただしくなっています。暮れのこの時期、日本では臨時国会が召集され、岸田首相の所信表明演説、各党の代表質問と型どおりに審議が始まっています。与党税調からの来年度税制改革大綱も発表されました。
週明けからはいよいよ予算審議会が始まります。来年度予算にまたがる総額70兆円を超える補正予算が俎上にのぼります。代表質問デビューを果たした立件民主党の泉健太・新党首も堂々と党の主張を述べていました。何もかもが心機一転、新しく動き出した感があります。
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前の週まで世界をあれほど震え上がらせていた新型コロナウイルスの変異種、オミクロン株への警戒感が少し薄れてきました。分析に必要なデータが整うまで2週間を要するとされていましたが、その2週間が経過し、正確な分析結果よりも先に専門家の「感触」の部分が漏れ伝わってきます。
先週も週初めのスタート時点では、まだ警戒心が強く残っており不安なムードのまま取引が始まりました。引き続き全面安に近い状況で先行きが思いやられたのですが、その直後のことです。
米国のファウチ医療首席顧問から「オミクロン株の感染力はさほど強くない」とのコメントが発せられ、それをきっかけに米国株式市場が大幅高を記録しました。これをきっかけに世界中の株価が一斉に上昇・反転に流れが変わりました。リスク資産が一斉に動き始めています。
アップルがさっそく史上最高値を更新しています。それに続いてマイクロソフト、アルファベットも上場来高値に接近しており、AMDやKLAテンコールなど半導体株も堅調な動きを続けています。変異種の突然の出現によってコロナ禍が繰り返されるようであれば、巣ごもり消費の需要からテクノロジー株が人気化するとともに、その反対で変異種の脅威がさほど深刻ではないとわかれば、経済再開への期待でやはりデータセンター需要の伸びをバックに半導体やテクノロジー大手が物色されます。
経済が停滞しても前進しても、いずれにしても半導体を中心とするデジタル革命関連株は物色される、というパターンに入りつつあるようです。好業績銘柄はこの分野の周辺領域に広がっているために、業績相場やK字型回復、どのような切り口からでも物色は巡ってくるようです。
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調整局面にあった株式市場が、調整を終えて次の回復局面に向かう時、真っ先に飛び出してくる(高値を取ってくる)銘柄が新しい上昇ラウンドの主役になりうるわけですが、前回と同様に今回も半導体、技術革新、デジタル革命的な銘柄が選ばれていることになりそうです。
ほかにリスク要因がないわけではありません。それどころか世界は新たなリスク要素にずらりと取り囲まれているような感触です。
・米・11月消費者物価指数が39年ぶりの高水準、前年比+6.8%
・中国不動産大手、恒大グループのデフォルトが確定
・中国の景気鈍化懸念(これに対して人民銀行は先週、預金準備率を引き下げ)
・トルコリラの暴落の余波、ドル高の新興国への影響
・米国が北京オリンピックの外交的ボイコットを決定、英豪加が追随
・バイデン大統領が「民主主義サミット」を主宰、中国とロシアへの対抗意識が鮮明
・ウクライナとロシアの国境にロシア兵が15万人も集結
いずれも簡単に改善、決着がつく問題ではありません。おそらくは年超しで何らかの解決策を模索することになりそうです。日本でも岸田政権がいつ金融所得課税を議論の俎上に乗せてくるか市場は再び疑心暗鬼に包まれています。マネー市場は当分の間、フルインベストメントできるような環境にはないようにも思えてきます。
週が明けるとすぐに日銀短観の発表、そして米国のFOMCが待ち構えています。パウエル議長は本当にタカ派的な姿勢に転向したのかどうか、FRBはインフレ抑制のスタンスをどこまで強く打ち出してくるのか、その辺りがさっそく問われることとなります。
そのような状況なので、株式市場ではより明確に業績の良い企業、将来への戦略が明確な企業へと資金が集中することになりそうです。2021年を通して見られた二極化相場、K字型の物色動向はもうしばらく続きそうな雲行きです。
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先週の東京株式市場は、TOPIXが2週ぶりに反発しました。オミクロン株の出現によって2週間大きく下落したあとですが、それでも上昇率は+0.90%の小幅にとどまりました。
物色の方向性としては、大型株から小型株まで一斉に反発しました。大型グロース株と小型バリュー株が同時に買われています。ただしマザーズ市場は以前として軟調で、東証マザーズ指数は続落しました。12月の記録的なIPOラッシュを控えて、依然としてリスク回避の売りが集中している様子です。REIT指数は前の週の大幅安から反転し、大きく反落しました。
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TOPIX-17業種のセクター別騰落では、値上がりセクターは15業種と広範囲に上昇しました。値下がりセクターは2業種にとどまっています。
値上がりトップとなったのは「エネルギー資源」です。オミクロンショックで急落した原油価格が値を戻しており、その動きに連動して資源株が堅調でした。また、欧州の天然ガス市況が引き続き不安定で、エネルギー危機が現実のものになるとの懸念がこの冬は広がっています。日本では天然ガスを手がける石油資源開発(1662)が一貫してしっかりした動きとなっており、INPEX(1605)がそれに続いています。
値上がり第2位は「機械」でした。前の週に続いて値上がり上位に
(後略)