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2022年1月18日

新年第2週も軟調な展開続く、日経平均は週末に一時28,000円割れ

鈴木一之

◎日経平均(14日大引):28,124.28(▲364.85、▲1.28%)
◎NYダウ(14日終値):35,911.81(▲201.81、▲0.55%)

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鈴木一之です。年明け第2週が過ぎましたが、軟調な地合いが続いています。

月曜日は「成人の日」で休場だったので、立ち合い日数は4日間だけでした。日経平均は1勝3敗に終わり、週末には大きく下落して一時は28,000円の大台を割り込みました。

金曜日は午後から日銀によるETFの買いが久々に入った模様で、それによって株価は持ち上げられたような印象です。このテコ入れ策がなければかなり厳しいムードに包まれたまま週末を迎えることになったはずです。

株価下落の主因とされるものは、これまでと変わっていません。オミクロン変異種の感染拡大、物価の上昇、金融緩和から引き締めに転じた各国の金融政策、この3つです。その流れの中で、物色動向はグロース株からバリュー株への資金シフトが一段と強まっています。

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オミクロン変異種の感染拡大は一向に止まりません。ヨーロッパでは連日のように+20~30万人の新規の感染者数が見られます。過去最高を記録する国も増加しています。

重症化リスクが低いため死者数は以前ほどは増えていませんが、感染が判明すれば陽性者は自宅待機で隔離されるため、医療現場のスタッフがひっ迫するリスクが高まっています。

特徴として若年層の感染者が増えており、教育現場で感染が広がっています。フランスでは教職員による空前の規模のストライキが実施されました。これによって学校を休校にせざるを得ず、自宅で親御さんが子供たちの面倒をみるために勤務に支障が出ています。

日本も例外ではありません。これまでが不思議なほど落ち着いていたのですが、日本でもいよいよ感染者が急増しており、全国の感染者数は1月8日(土)の8180人から1週間後の1月15日(土)には25,742人にまで増加しました。

北京五輪の開幕まで3週間に迫った中国では、北京と距離的に近い大連、天津でオミクロン変異種の感染が見つかりました。「ゼロ・コロナ政策」を採用する中国当局は、天津市で市中感染者が2人見つかっただけで、すぐさま天津の全市民・1400万人に対してPCR検査を実施しました。

天津は北京とは自動車で30分しか離れていない近さにあるため、警戒感が広がっています。市民に対して不要不急の外出自粛が要請され、天津市を離れる場合にはPCR検査の陰性証明書の所持が義務づけられました。春節が近づいていますが、団体旅行業務は停止するよう通達が出されたそうです。

天津には数多くの外国企業が製造拠点を構えている土地柄でもあり、トヨタ自動車の天津工場は1月10日から11日にかけて稼働停止となりました。同じように中国西部の西安も全市民・1300万人の外出制限が実施され、数々の工場が停止状態となっている模様です。

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中国のゼロコロナ政策によって影響を受けるのは、まずはそこに暮らす市民です。外出自粛に備えて食料の買い出しに走るのは当然で、そのために食料品をはじめ、小売店の日用品売り場から商品がすっかり消えてしまいました。

中国当局はそのような事態に備えて、生活必需品、日用品の在庫を厚めに確保していますが、どんなに手当てしてもそれでも足りない状況です。各家庭が備蓄を急ぎ、それに備えて大小の小売店から日用品を製造する工場まで、食料品、日用品およびそれらの原材料は適正規模を上回る量の確保が急務となっています。

それがオミクロン変異種の感染が拡大した昨年12月ごろから、再び世界のサプライチェーンにストレスをかけています。商品市況には上昇圧力が再び強まっています。原油価格はWTI先物で84ドルまで上昇し、昨年10-11月の高値に接近しました。ニッケルはトン当たり22,000ドルを超え、昨年の高値を更新しています。小麦、家庭紙、塩ビ管、セメント、金属資源、いずれも年明けから騰勢が目立ってきました。

イアン・ブレマー氏率いるユーラシア・グループは毎年初めに「今年の十大リスク」を発表しています。2022年はそのトップに「中国のゼロコロナ政策の失敗」を掲げました。

このニュースに最初に触れた時、中国政府がウイルス拡大を抑えることのどこがリスクとなるのか、いまひとつその真意がわからなかったのですが、こうなってみると徐々にリスクの大きさがわかってきたような気がします。

仮に中国がゼロコロナ政策に失敗すると、その時は感染者数の増加から工場の生産活動が再び止まり、世界経済には下押し圧力が強まります。

しかしそればかりでなく、中国がコロナウイルスの感染拡大を抑制しようと躍起になるだけで、今回のように中国各地でロックダウン指令が頻繁に出され、買い出しに走る市民向けの日用品・食料品が必要以上に備蓄され、その需要が爆発することから物価の高騰が一段と強まる恐れがあります。その恐れが現在、目の前で起こりつつあります。

国境をまたぐ人の行き来は再びストップしました。長距離トラック運転手や港湾労働、建設現場、小売・レストラン店は人手不足が解消しそうにありません。これが供給サイドの不安定さだとしたら、そこに中国からの需要サイドからのプレッシャーが加わります。これを止めるにはコロナウィルスが収束するしかありません。

ちなみにユーラシア・グループの掲げる「今年の十大リスク」は以下の通りです。

・ゼロコロナ政策の失敗
・巨大ハイテク企業による支配
・米国の中間選挙
・中国の国内政策
・ロシア
・イラン
・2歩進んで1歩下がるグリーン政策
・世界各地に「力の空白」
・文化戦争に敗れた企業
・トルコ

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そのような物価の上昇を受けての各国の金融政策ですが、米国では昨年12月、FRBによるテーパリングの前倒しが決定されました。しかし市場の見方は懐疑的で、年明けも金融政策に関する議論がマーケットでは錯綜しています。

先週も政策金利の引き上げ回数の憶測がたびたび話題にのぼりました。当初は「今年中に2回の利上げ」と見られていたものが、昨年暮れには「3回」に傾き、そして年明けは早くも「4回」に引き上げられています。

量的引き締めの前倒し観測も高まっています。パウエル議長は1月11日に議会公聴会に臨み、バランスシートの圧縮、いわゆるQTに関して「今年後半に始める」と明言しました。しかもその決定の時期を、早ければ今後2回の決定会合で決めると示しています。

1月12日に発表された12月の米国の消費者物価指数は、前年比+7.0%の上昇と実に39年半ぶりの高い伸びとなりました。食品、住居の値上がりが進み、ガソリンの高騰も響いています。FRBの金融引き締め、およびバランスシートの縮小はさらに前倒しされる可能性もあります。それが金利動向に敏感な銘柄の株価に、上にも下にも拍車をかけているようです。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが6週ぶりに下落しました。下落率は▲0.90%と小さな下げにとどまっていますが、物色の移り変わりが依然として激しくなっています。

引き続き大型株が優位を保ち、小型株は軟調です。バリュー株の人気が継続しており、グロース株は不安定な下落を続けています。東証マザーズ指数は3週連続での下げとなりました。

日経平均のサイコロジカルラインは「4」まで低下しました。騰落レシオも低下基調にあり調整色が強まっています。

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TOPIX-17業種のセクター別の騰落では、値上がりセクターは7業種にとどまり、値下がりセクターは10業種に広がりました。TOPIXの値動きは小さいまま推移していますが、業種別には値動きが拡大しています。

値上がりセクターのトップは「鉄鋼・非鉄」でした。続いて「銀行」、「エネルギー資源」、「金融(除く銀行)」、「自動車・輸送機」となっています。

前の週に値上がりトップとなった「自動車・輸送機」は5位に後退していますが、1位から5位までの業種の顔ぶれは前の週とまったく同じです。これはきわめて珍しい状況と言えるでしょう。

大発会から上場来高値を更新したトヨタ自動車(7203)はそのまま堅調を維持しています。資源エネルギー価格の上昇が顕著で、それが非鉄セクターの住友金属鉱山(5713)や鉄鋼の日本製鉄(5401)、大平洋金属(5541)の株価を押し上げています。資源エネルギーのINPEX(1605)も昨年来高値を更新しました。

金融セクターでは三井住友FG(83156)のメガバンクをはじめ、

(後略)

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鈴木一之