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2023年3月13日

日経平均は週央まで5連騰、29,000円の大台に接近、ののちに急落

鈴木一之

鈴木一之です。東日本大震災から12年が経ちました。いまだ2500人を超える方が行方不明のままです。亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈りいたします。

福島第一原発事故の避難地域への帰還もままならない状態が続いています。政府や行政サイドもあらゆる手立てを講じているのでしょうが、十分とは言い切れません。

公助にはどうしても限界があります。自然災害の脅威が増幅している現在、個人、家庭、町内会どうし、できる限り自分らで守るという意識の高まりが必要になっています。

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先週も世界中で大きな出来事が数多く起こりました。

中国では春の風物詩となった全人代が開幕しました。今年の成長率の目標は「5%前後」となったと伝えられています。

中国にとって5%の成長は、何もアクションを起こさなくても達成できるペースです。その分、国際政治や外交に力を注ぎ、経済は失速しない程度にとどめる心づもりようで、習近平体制の主要な関心からは外れつつあります。

韓国は元徴用工問題に関して、韓国サイドで全面的に解決する方向に大きく舵を切りました。これによって早くも日韓首脳会談の実現が現実のものとなっています。手ぶらではあるはずがありません。輸出停止とされていた半導体素材の3品目の輸出解禁も視野に入っており、関連メーカーにとって間違いなく朗報です。

反対に厳しい出来事では、H3ロケットの打ち上げが失敗に終わったことです。これによって長い時間が原因究明に充てられることになり、期待された航空・宇宙産業へのダメージは避けられなくなりました。

それとは別件で、東京都は2025年度より新築マンションにEV充電器の設置を義務づける方針です。世界のあらゆる経済主体が、クルマのEV化を想像を超えるスピードで追及しています。自動車メーカーに限ったことではありません。目の前に広がる膨大なEV市場に対していかに地位を確立するか、産官学あげて猛進していることがうかがえます。

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これらの数々の重要ニュースを飛び越えて、先週のマーケットで最も注目された話題は、やはり米国の金融政策であり、これに関連してパウエル議長の議会証言でした。

半年に一度の義務である議会証言の冒頭で、パウエル議長はインフレ圧力が再燃していることから、2月にひとまず緩和した利上げペースを再び加速させる可能性に言及しました。

この内容にマーケットは驚きを隠さず、米国の2年物国債金利は15年ぶりに5%の大台を突破しました。2月初旬に発表された雇用統計のデータをきっかけに、消費者物価指数、小売売上高へと続いた一連の強すぎる経済データによって、金融政策に関してタカ派的な論調が急速に頭をもたげています。

パウエル議長は3月下旬のFOMCにおいて、ターミナルレートの引き上げにも言及しました。市場のコンセンサスが大きく揺れ動いています。米国の経済状況は、雇用と賃金を中心としてそこまで強い状態が続いています。

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日本では3月9-10日にかけて、日銀の金融政策決定会合が開かれました。10年の任期を務めあげた黒田総裁の最後の会合です。金融政策は「現状維持」と決められました。

折しもこの日、日銀の新しい総裁に植田和男氏が就任することが国会で承認されました。植田新総裁が率いる新メンバーによる金融政策はいまだ未知数ですが、日本でも賃上げに伴う物価の上昇が実現しつつあります。そうなれば早晩、今の超緩和的な金融政策は修正されてゆくことになるはずです。

問題はそのような日銀の意図を、今後はどのようにマーケットに浸透させてゆくかという点です。日銀はまだマーケットの信任を得られているのでしょうか。為替と金利の誘導手段、およびその水準はどのように変化してゆくのか。時間をかけてここからの長い道のりを探ってゆくことになりそうです。

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黒田体制で最後の決定会合において「現状維持」が決まった金曜日、日経平均は急落しました。金利の先高感を読み込んでいた銀行株が一斉に下落した要素が大きいようです。それと並んで米国のシリコンバレーバンクの親会社・SVBの経営破綻のニュースが伝わってきました。

FRBが利上げペースを加速させたことで、米国内の金融セクターの体力が奪われつつあります。最初は経済の弱い部分、零細な企業から綻びが出るものです。これが金融システム全体のダメージに広がるのか、あるいは単に財務体質の弱い一企業の問題にとどまるのか。週明けのマーケットではその点が問われることになります。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが続伸しました。パウエル議長のタカ派的な発言にもかかわらず、日本の株式市場はバリュー株を中心に堅調な値動きをたどりました。

ただし週末に大きく下落したことで、一週間の上昇率は+0.60%の小さなものにとどまりました。大型株は引き続き堅調ですが、先週は中・小型株が幅広く物色されました。

バリュー株とグロース株の対比では、バリュー株が広範囲に物色されました。一方で金利上昇の局面では珍しく、小型グロース株も堅調さを保っています。

テクニカル面では一服していた騰落レシオが再び上昇しています。木曜日には132.64%まで上昇し、週末は127.62%で終わりました。

日経平均のサイコロジカルラインは「8」の熱っぽさを週末3日間にわたって続けています。日経平均ボラティリティ指数は久しぶりに大きく上昇しています。

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TOPIX-17業種のセクター別の騰落では、値上がりセクターは14業種に及び、引き続き広範囲な物色が見られました。値下がりセクターは「銀行」、「エネルギー資源」、「金融(除く銀行)」の3業種にとどまっています。

値下がりした3つのセクターは、いずれもこのところ上昇の目立っていた業種でもあります。銀行株にはSVB破綻によって短期的に信用リスク懸念が強まる可能性も否定できませんが、基本的に日本の銀行業界には無風のはずです。循環的な物色の流れが強まっていると見るべきです。

値上がりセクターでは「電力・ガス」がトップでした。北陸電力の急騰が他の電力会社の株価も押し上げています。

3月3日に原子力規制委員会は、北陸電力の志賀原発に対する審査会合で、原子炉建屋の真下を走っている断層は「活断層でない」ことを正式に認定しました。

以前は「活断層の可能性も否定できない」とされていましたので、従来の判断が覆ったわけです。北陸電力の提出した膨大なデータが従来の評価をひっくり返したことになり、今後の審査次第では志賀原発に対して再稼働の可能性も出てきました。

それによって北陸電力ばかりでなく、他の電力会社の株価も堅調となりました。電力各社が有している原発直下の活断層の審査にも影響すると見られているようです。

値上がりセクターの第2位は「建設・資材」です。大成建設(1801)、大林組(1802)、鹿島(1812)をはじめ、ゼネコン各社の動きが活発になっています。

建設セクターの株価はもともとPBRの低い業種のひとつです。それがバリュー株の総かさ上げ状態の中で、あらためて注目されています。資材価格の上昇や人件費の高騰による収益の低迷は、すでに株価には十分過ぎるほど織り込まれています。あとは反転のタイミング待ちだったと見ることができます。

値上がりセクターの第3位は「小売」でした。ファーストリテイリング(9983)が第1四半期の業績悪化による株価の急落を埋めて、さらに高値まで買い進まれています。

同時にしまむら(8227)、マツキヨココカラ(3088)、

(後略)

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鈴木一之