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2023年12月4日

12月相場がスタート、NYダウ工業株が年初来高値を更新

鈴木一之

鈴木一之です。12月になりました。クリスマスシーズンが本番を迎えます。

平和と祈りの季節ですが、しかしキリスト教の聖地・エルサレムの近郊では銃声が絶えません。世界の世論を無視して停戦期間は終了し、ガザ地区への砲撃が再開されました。

感謝祭が過ぎ、クリスマス商戦の行方がきになりますが消費は好調です。米国の「サイバーマンデー」はネット上の売上が前年比+5%以上も伸びて120億ドルに達したそうです。

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数々の心配ごとを抱えながらも、先週の米国株式市場は堅調に推移しました。NYダウ工業株は現地木曜日に+520ドル上昇して年初来高値を更新しました。

勢いはそのままで週末の金曜日も+295ドルの上昇となり、連日の高値更新となっています。S&P500も終値ベースで高値を更新しました。マイクロソフトの史上最高値に刺激されて、セールスフォースも大幅高となっています。

先週はタカ派の論客、ウォラー理事のハト派発言が大きな話題となりました。

ウォラー理事は11月28日の講演で「インフレ率が一段と低下すれば、利下げを始められる」と述べました。これによってマーケットでは早期の利下げ観測が一段と膨らんでいます。

実際に10月以降、FRB高官の間からはハト派的な見解が多く聞かれるようになりました。9月はパウエル議長のタカ派発言に振り回されましたが、10月からはハト派的なコメントが優勢です。それによって昨年3月から続いた利上げ局面は終わりを迎えたとの見方が一段と強まっています。

米国の10年国債金利は4.19%まで低下し、それが株価を大きく押し上げています。金利の低下と景気の好調が共存し、NYダウ工業株は11月相場の1か月間で+2898ドル(+9%)も上昇。月間の上昇幅としては今年最大、2022年10月以来の大きさとなりました。

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11月29日には地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表されました。そこでは米国の経済は10月から「鈍化した」ことが総括されています。

全米12の地区連銀のうち、ニューヨーク、フィラデルフィアなど7つの地区で経済活動が鈍化しています。ボストンは横ばい、リッチモンド、アトランタなど4つの地区は拡大しています。

活動が鈍化した地区の多くで、金利の上昇が消費と設備投資を押し下げていると報告しています。それによってひっ迫していた労働需給が解消に向かい、人員削減や採用計画の縮小が徐々に増えているようです。

長期金利の低下が続いていることによって、引き続き円が上昇し、ドルが下落しました。先週は一時1ドル=146円台まで2か月半ぶりの円高に進んでいます。ドルは円ばかりでなく、幅広い通貨で下落しています。

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依然として中国の景況感は弱含みで推移しています。11月の製造業PMI(景況感指数)は49.4(前月比▲0.1)と、2か月連続で分岐点の「50」を下回りました。新規受注が「50」を割り込んでいることが主因です。需要不足が明らかです。

中国の経済不振は、今年は不思議なほど世界経済へ影響することなく推移しました。しかし来年はそうなるとは限りません。引き続き世界の金融市場に対して、ネガティブな影響を与えるものとして警戒されています。

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先週はマーケットの動きは小さなものでしたが、内容の伴った変化の多い週でした。

OPECプラスでは追加の協調減産が見送られました。原油価格にはこの先、さらなる下落圧力がかかる可能性があります。一方でバルチック海運指数は、先週からの騰勢を維持しています。

「観測史上、最も暑い夏」を経験した今年、年末にCOP28が開幕しましたが、存在感が年々低下しているように感じられます。

トヨタを含むトヨタグループ3社はデンソー株を2.5億株売却します。それに対してデンソーは自社株買い1.2億株を実行して、その一部を吸収します。日本を形作ってきた株式持ち合い構造が、強固なトヨタグループさえも変わりつつあります。

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中国と縁の深いヘンリー・キッシンジャー元国務長官(100歳)が死去しました。電撃的なニクソン大統領の中国訪問をお膳立てしてその外交手腕が高く評価されました。

ウォーレン・バフェット氏の盟友、チャーリー・マンガー氏(99歳)もカリフォルニア州の病院で死去しました。「日本経済は30年間沈んでいるが、なにも地獄に行くわけじゃない」としてバフェット氏の商社株への投資を後押ししました。

社会構造として政治は経済の上位に位置します。政治あっての経済、経済あっての政治です。

日本経済新聞社の世論調査では、岸田政権の内閣支持率が30%に低下しました。2012年に自民党が政権与党に復帰して以来、最低値を更新しています。

他の報道機関の調査では軒並み20%台に入っており、日本経済新聞だけは30%をかろうじて維持しています。来年度予算を巡る今後の予算審議の行方が注目されます。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが小幅ですが続落しました。前週の下げは▲0.35%、先々週は▲0.005%とどちらも非常に小さなマイナスにとどまっています。

規模別では、大型株の下落が続いています(▲0.42%)。先週はそれとともに中型株も下落しました。一方で小型株は逆行高を続けており、これで6週連続での上昇となりました。JPX日経中小型株指数も6週連続の上昇です。

スタイル別では、ここでも小型グロース株が6週連続の上昇となりました。大型グロース株は5週ぶりに反落しています。大型バリュー株は続落し、小型バリュー株のみ3週連続の上昇となりました。

騰落レシオは11月29日に120.78%の過熱ラインまで上昇した後、週末は117.28%で引けました。高めの位置を保っています。一方で、日経平均のサイコロジカルラインは週末は「5」に低下しています。10月20日以来の低水準です。

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TOPIX-17業種のセクター別騰落は、5業種が値上がりし、12業種が値下がりしました。

値上がり上位のセクターは「電力・ガス」、「医薬品」、「小売」となりました。一方の値下がりセクターの上位は「機械」、「素材・化学」、「鉄鋼・非鉄」の景気敏感株で占められています。

上昇セクターに力があるという感じではなく、このところ上昇していたセクターが下落に転じるという傾向が強いように感じられます。

値上がりトップの電力株は、週を通じて下落がほとんど見られなかったという程度です。値上がり第2位の「医薬品」も同様です。わずかに中外製薬(4519)、大塚ホールディングス(4578)、参天製薬(4536)の上昇が目立ちました。

値上がり第3位の「小売」は、セブン&アイホールディングス(3382)が株式分割と自社株買いを発表して週末に急騰した部分が大きいようです。

イトーヨーカ堂・上板橋店を閉店しなければならないという苦境で株価は下落していましたが、週末にようやく反転しました。

業績の好調なアダストリア(2685)、良品計画(7453)、西松屋チェーン(7545)あたりは順調に上値を追いかけています。

新たにAOKIホールディングス(8214)、ヤオコー(8279)、

(後略)

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鈴木一之