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2024年2月6日

日経平均は調整局面へ、それでも終値では36,000円台を維持

鈴木一之

能登半島地震で被害に遭遇された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

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2月相場が始まりました。先週末は節分。「節分天井、彼岸底」とされています。株式市場はひとまず年初からの上昇が一服しています。

能登半島大地震で始まった2024年のスタート月は、想定していた以上の強い上昇基調が株価上で見られました。日経平均は大発会に32,000円台まで急落して始まったものの、その後は一本調子の上昇に変わり、ついに37,000円に乗せる寸前まで一気に駆け上がりました。

最も強気のスタンスを取っていた人でさえ「想定外の上昇」と感想を述べるほどです。それほどの強さを示した後、東京市場はさすがに先々週からは短期的な調整局面に入っています。

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先週の日経平均は危ない場面も何度かありましたが、終値ベースでは36,000円の大台をしっかりキープしています。まずまずの堅調さを続けていると見てよいでしょう。為替市場の1~2円の動きは、さほど気にならなくなってきました。

年明けからの上昇ペースがあまりに早かったために、先週のような短期調整をむしろ歓迎するムードもあるほどです。株価は下げそうで下げないという状況が続いていますが、大きく下落する気配もさほど感じられません。

その理由のひとつが、企業からの決算データです。世界中で10-12月期の決算発表が行われており、日本でも主力大型株の中で決算発表を終えた企業の多くがいずれも好調です。

また決算内容の悪かった企業でさえも、すでに3か月前の7-9月期の発表時に悪かった部分はかなり織り込まれており、今回あらためて悪い内容を発表しても市場はもはやネガティブな反応を示さなくなっています。

それどころかコニカミノルタ(4902)のように、悪い決算内容の中から少しでも改善したところを見つけてきては、株価は前向きの反応を示すようになっています。これが「センチメントが変化した」ということなのでしょう。

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いまや決算発表はよりグローバルな視点に変わっています。現在の市場の関心はもっぱら半導体関連株に置かれています。

1週前にはTSMC、ASMLの決算を好感する動きが目立ちましたが、先週はAMDが決算好調の割に株価ではつまづき、テキサスインスツルメンツ、インテルは厳しい評価となりました。

それでもエヌビディアが上場来高値を突っ走り(決算発表とは無関係に)、市場全体を牽引しています。フィラデルフィアのSOX指数は週半ばに史上最高値を更新しています。
生成AIで世界をリードするマイクロソフトは、10-12月期の売上高が+18%の620億ドル(9.1兆円)に達しましたが、株価は軟調でした。

代わって市場の話題を集めているのがメタ・プラットフォームズです。10-12月期の売上高は+25%の401億ドル、純利益は前年比3倍の140億ドルとなりました。ともに四半期ベースで史上最高を更新しています。初の配当(0.5ドル)も発表したことから株価は1日で+20%も上昇しました。

アマゾンの10-12月期の売上高も+14%の1699億ドルとなっており、アフターマーケットで株価は+9%上昇しています。苦しんだテクノロジー企業が続々と好決算を発表しており、史上最高値を更新する現在の米国株式市場を支えています。

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米国でもうひとつ注目されたのがFOMCです。ここで政策金利は4会合連続で据え置きとされました。

市場の一部には「3月にも利下げを開始」というかなり先走った見方もありましたが、それに関しては空振りに終わりました。声明文の中には「2%の物価目標達成に向けて確固たる自信を得るまでは利下げはふさわしくない」との一文が加えられ、インフレ抑制に向けた引き締め気味のスタンスがより強調されました。

パウエル議長は会合後の記者会見において、「2%の物価目標に自信を持てる証拠がもっと必要だ」と述べて、早期の金融緩和への転換は否定されました。さらに「次回会合の3月までにそのようなレベルに達する可能性は低い」とも述べています。

それでも先週の米10年国債金利は4%台から3.9%台へと低下しました。債券市場はすでに相当先走った見通しの修正が始まっていたために、債券買い(金利低下)に向かったものと見られます。

株式市場はいったん下落した後、週末にかけてテクノロジー企業の好業績もあって、大きく切り返しています。NYダウ工業株、S&P500は週末にかけてそろって史上最高値を更新しました。

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日本でも決算発表が活発に行われています。

キヤノン(7751)やJR東日本(9020)は好調ですが、京セラ(6971)とローム(6963)は通期見通しを引き下げました。

日本経済新聞がまとめた4-12月期決算の270社の集計結果によれば、決算発表を終えた3月決算企業のうちの61%が最終損益の増益を記録しています(+70%の増益)。この時期の比較としては2021年4-12月期の73%以来の高い水準です。

それでも上場企業の中には業績悪化の際立つ企業もあります。あおぞら銀行(8304)は、今通期の最終損益が▲280億円の赤字になると発表してストップ安まで売られました。

金利上昇によって含み損の生じた債券の実現損を出すこと、および米国の不動産向け融資に引当金を積み増すことが影響します。

この損失計上によって下期は無配に転落します。あおぞら銀行は配当利回りの高さから人気を集めていた分だけに、株価の急落が際立ちました。個々の企業の経営の巧拙が問われる局面に入っています。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが反発しました。その前の週に7週ぶりに下落しましたが下落率は▲0.49%と小さかったことから、すかさず反発しました(+1.68%)。

規模別では、大型株(+1.85%)が優勢でしたが、中型株(+1.43%)、小型株(+1.19%)もそろって上昇しました。

スタイル別では、大型バリュー株は+1.88%と上昇率が最も大きく、反対に小型グロース株は+1.12%と比較的小さな反発にとどまりました。引き続きバリュー株がグロース株よりも優勢の展開となっています。

騰落レシオは、10日間続けて過熱圏とされる120%の水準を上回っています。週末は130.36%となりました。日経平均のサイコロジカルラインは週を通じて「6」の水準でしたが、週末に「7」まで上昇しています。

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TOPIX-17業種のセクター別騰落は16業種が上昇して、「医薬品」の1業種だけが下落しました。

値上がり上位のセクターは「電力・ガス」、「銀行」、「運輸・物流」となりました。「銀行」は2週連続で値上がり上位に登場しました。

「電力・ガス」では、決算発表を受けて九州電力(9508)、Jパワー(9513)、東京ガス(9531)、大阪ガス(9532)の堅調さが光りました。

銀行セクターも特にメガバンクの強さが際立っています。あおぞら銀行のストップ安はありましたが、それ以外のメガバンクは前週の日銀決定会合を受けて、堅調な動きが続いています。「金利のある世界」が次第に近づいている事実が実感されます。

メガバンク以外では、しずおかフィナンシャルグループ(5831)が決算発表に合わせて大規模な自社株買いと増配を発表したことから急伸しました。京都フィナンシャルグループ(5844)と合わせて、毎週のように上場来高値を更新しています。

第3位の「運輸・物流」からは、やはり決算好調のJR東日本(9020)、

(後略)

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鈴木一之