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2024年5月21日
3月決算企業の決算発表が終了、日経平均は下値を切り上げる展開
鈴木一之です。5月の大型連休明けから2週間が過ぎました。少しずつ陽気も夏らしくなってきましたね。
GWに限らず大型の連休があると、連休の前と後でマーケットの状況は大きく変わる、という経験則が市場には根づいています。
今回の連休前後で、日経平均はあいかわらずガチガチの膠着状態を続けています。一見すると、経験則のような変化があったようには見えないのですが、実はそうでもありません。
わかりにくいだけで、やはり今年もそれなりの変化は生じています。そろそろ変化が明確になってきたのが先週の動きのようです。
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まず現実に起こっていることとして、世界の株式市場が軒並み史上最高値を更新しているという事実です。NYダウ工業株が先陣を切って最高値を更新し、週末には初の4万ドル大台乗せを果たしました。
5月15日に発表された4月のCPIが前年同月比+3.4%にとどまり、3か月ぶりに伸び率が鈍化したことが好感されています。長期金利の低下も進んでいます。
米国では実体経済の鈍化という形でインフレ抑制効果が表れています。前週末に発表された4月雇用統計でもそれは明らかです。それを受けてS&P500、ナスダック総合指数も史上最高値を更新しています。
米国ばかりでなく欧州でも英国のFTSE100、ドイツのDAX指数、フランスのCAC40がそろって史上最高値を記録しました。イングランド銀行のベイリー総裁は会見で利下げを示唆する発言を行っています。
米国市場の話題に戻ると、ゲームストップに代表される超低位株、いわゆる「ミーム株」が再び人気化しています。この現象をとらえて弱気派はバブル状態が醸し出されていると指摘しています。一方で強気派は、米国ばかりでなく欧州株まで最高値に買い進まれている点を重視します。
企業業績は増額修正が相次いでおり安泰です。強気vs弱気の議論は尽きず、結論はまだ明確には出ていません。
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日本でも3月決算企業の決算発表が終わりました。前期の実績では純利益が+18%と3年連続で過去最高を更新します。しかし今期の見通しは▲4%と5年ぶりの減益となりそうです(日本経済新聞調べ)。
業績伸び悩みの理由は、(1)中国、欧州の景気減速、(2)円安効果の剥落、(3)人手不足対策の賃上げ、AI投資、研究開発費など費用先行、の3つが挙げられます。企業の想定為替レートは1ドル=144円で、実勢レートよりも10円ほど円高です。145円台が集計企業全体の6割を占めています。
企業は円安を当てにすることはなく、したがって収益を過大に見積もることもなく、不透明極まる「VUCAの時代」の足元をしっかりと見つめています。その上で政策保有株の売却を進め、自社株買いや配当金支払いなど株主還元策を手厚くしています。
かつてはコストとして意識されていた人件費も引き続き前向きに取り組み、今期も賃上げには意欲的です。実質賃金が目減りしている状況はどの時点で打開できるのか、それが次なる焦点となりそうです。
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日本のマクロ経済は弱さが目立つようになりました。先週発表された日本の1-3月期のGDPは、前期比▲0.5%、年率換算で▲2.0%です。2四半期ぶりのマイナスで、市場予想の年率▲1.5%を下回っています。
寄与度で見ると、内需は▲0.6、外需が▲1.4です。輸出は▲5.0%と4四半期ぶりに減少しました。トヨタグループにおける品質不正問題での生産と出荷停止の影響が大きく響いています。訪日外国人による消費は輸出にカウントされますが、それだけでは補うことはできなかったようです。
個人消費は前期比▲0.7%と4四半期連続でマイナスです。リーマン・ショックの直後、2009年1-3月期以来、15年ぶりのことです。設備投資に関しては、前期比▲0.8%で2四半期ぶりのマイナス。民間住宅も▲2.5%の減少でした。
年度トータルでは前年度比+1.2%と、3年連続でプラス成長を記録しました。物価上昇で個人消費は弱く、その分を輸出と設備投資が補っています。名目成長率は+5.3%でした。GDPは実額で558兆円となり、2018年度以来、5年ぶりに過去最高を更新しています。それでもドイツに抜かれ世界4番目に後退しました。
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企業間の枠組みが変わりつつあります。かんぽ生命は大和証券G本社と資本・業務提携に踏み切ると発表しました。
価格変動と元本の変動がつきまとう証券ビジネスは、企業風土として銀行、生損保と証券会社とではどうしても相容れず、温度差が出てしまいます。資産規模が強みのかんぽ生命は運用が課題とされてきました。NISAが好評で金融業界には明るい話題が満ちています。その弱い運用の部分を補う関係を大和Gと目指します。
シャープは堺工場での液晶パネルの生産を停止し、亀山工場での中小液晶パネルの生産に特化すると発表しました。鴻海傘下でも事業の立て直しは容易ではないことが突きつけられています。
シャープにとってこれが再生への最終的な解決策ではないと見られます。株価は700円台に再び突っ込み、この先にまだいくつもの難問が避けられないように見えます。
ウクライナ戦争は帰着点が定まりません。ロシアのプーチン大統領は中国の北京を訪れ、習近平国家主席と長時間にわたって協議を行いました。米国および西側社会とロシア・中国との対立が抜き差しならないものとなっています。
米国は中国のEVに対する関税を、現行の25%から100%に引き上げると米国内で報じられています。バイデン政権でも対中国のたずなが緩められることはありません。
このような予見不能の時代では、企業経営者による事業計画が慎重になるのも仕方のないところです。むしろ今期も最高益更新や増配の見通しを打ち立てる企業が存在すること自体が、とても貴重なことに思えてきます。
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先週の東京株式市場は、TOPIXが2週ぶりに反発しました。上昇率は+0.64%と小さなものにとどまり、日経平均と同様に神経質な動きとなっています。
規模別指数では、大型株指数だけが+1.48%の上昇を記録したおり、中型株・小型株指数はそれぞれ4週ぶりにマイナスとなりました。前週の展開とはちょうど正反対です。
スタイル別では、TOPIXバリュー株が▲0.12%の小幅続落に対して、TOPIXグロース株は+1.45%と大きく上昇しました。グロース株優位の展開が見てとれます。
騰落レシオは引き続き90%台から100%台での動きに終始しています。週末は96.40%で終わりました。日経平均のサイコロジカルラインはGW前からの「6」~「7」の推移をいまだに続けています。
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TOPIX-17業種のうち、値上がりセクターは5業種、値下がりセクターは12業種となりました。値下がりセクターの数が久しぶりに優勢です。
値上がり上位のセクターは「電機・精密」、「銀行」、「情報通信・サービス」でした。
トップの「電機・精密」は、ソニーグループ(6758)を筆頭に
(後略)