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2024年8月20日

世界中の株価が急回復、日経平均は5連騰で38,000円まで上昇

鈴木一之

鈴木一之です。17日間の日程を終えてパリ五輪が閉幕しました。どのオリンピックの大会もそうですが、開会式と同様に閉会式では感動の渦が沸き上がります。

金メダル20個、全部で45個のメダルを日本選手は獲得しました。肝心なのはメダルの数ではありません。頂点を極めた選手よりも、惜しくも敗れ去った選手に心惹かれます。

高校野球も本日が準々決勝です。暑かった今年の夏も終盤を迎えつつあります。

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オリンピックに沸いた2週間は、世界の株式市場ではたいへんな乱高下が起きていた期間でもあります。米国のテック関連株を中心に、毎日のように上に下に激しい値動きが繰り返されました。

その動揺もどうやら収まりつつあるようです。米国ではS&P500とNASDAQが8月以降の下げ分をほぼ全て取り戻しました。

日経平均も先週金曜日には+1336円も上昇し、8月の下げの全値戻りを達成しています。残るは5月28日に予定されているエヌビディアの5-7月期の決算だけです。

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全値戻しに2週間を費やしましたが、これは誰も予想しなかったほどのハイペースな反発です。市場内の大方の見方は「2か月から3か月はかかる」というものでした。

コラムニストのジリアン・テット氏が指摘しているように、今回の株価下落に際しての教訓は、ひとつはヘッジファンドのトップであれ、プライベートエクイティの幹部であれ、市場が暴落するタイミングは正確には誰も予想できないことです。

もうひとつの教訓は、今回の急落は実体経済に関するパニックよりも、むしろ金融的な側面に引っ張られた側面が大きい、という点です。

急落の過程ではボラティリティ指数は極端なまでに上昇します。それが急落するまでの時点では、逆にこれが極端に低い状態が長く続いていました。

今回もそうですが、ボラティリティが低い時期が長期化すると、巨大なポジションが積み上がりがちとなります。積みあがったポジションはいずれどこかで解消されるために、マーケットには大きな衝撃が生まれます。

通常はポジションが解消されると株価は大きく値下がりし、株価の変動性が急速に高まることになります。大きな変動が発生することになり、今回はそれがストレートに起こりました。

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その変動を導いた直接のきっかけはふたつあり、ひとつは日銀による政策金利の引き上げ、「日銀ショック」です。もうひとつは米国の景気後退リスク、いわゆる「雇用統計ショック」です。

日銀ショックは先々週の水曜日、内田副総裁の「金融市場が混乱しているうちは利上げを急がない」発言によって、早々に打ち消されました。

雇用統計ショック、7月の米国の失業率が4.3%まで上昇したことによって「サーム・ルール」に抵触することになり、米国は正真正銘の景気後退リスクに直面させられることになりました。

パウエル議長は7月11日の議会証言で「米国のリスクはインフレだけではない」と述べ、景気後退リスクに言及していました。そこから今回の株価調整は始まっています。これを打ち消すのは容易ではありません。

それでもテック企業を除いた米国の主要企業の決算内容は良好です。ホーム・デポの決算も良好でした。そして先週、7月15日に発表された7月・小売売上高が前月比+1.0%となり、市場予想の+0.3%を大きく上回りました。

失業保険の新規申請件数も予想を下回っており、米国経済はしっかりしており景気減速への不安がやわらいだことから米国株式市場は週末にかけて大きく上昇しています。NASDAQは7連騰となりました。日経平均も5連騰です。

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もちろんまだ楽観はできません。今週は7月22日ー24日の予定でジャクソンホールでの金融会合が予定されています。7月22日には米国とユーロ圏のPMI速報値も発表されます。インフレよりも景気動向に左右される展開が続きそうです。

今週はそれ以上に、米・民主党全国大会が開かれます。カマラ・ハリス副大統領が正式に大統領候補として指名され、指名受諾演説が行われます。すでに経済政策は明らかになっており、ここから本選に向けた大統領選が正式に始まります。

株式市場にとって、経済政策だけを取り上げれば現段階では共和党の政策が有利と見られます。しかし果たして経済政策だけによいのかという疑問も残ります。今週は大きなヤマ場が待ち構えているようにも思えてきます。

政治面では日本でも大きな変化がありました。岸田首相が自民党総裁選に出馬しないことを決めた点です。選挙イヤーの今年、日本も一気に政局が始まります。次の首相は誰になるのか、自民党総裁選の日程も今週明らかになります。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが5週ぶりに反発しました。週間の上昇幅は+7.86%にも達し、その前の下げの2週間分をほぼ取り戻す勢いを示しました。

規模別指数では、最も大きく下落した大型株の上昇が大きく+8.49%に達しています。中型株は+6.81%、小型株は+6.15%とこちらも大幅な反発となりました。

スタイル別では、大型バリュー株が+8.58%と下げが大きかった分だけ、上昇も最も目立っています。大型グロース株も+7.43%と大きく上昇しました。バリュー株が先導する形で戻り歩調が強まっています。

騰落レシオは8月8日にボトムの81.30%まで低下した後、直近では107.02%まで回復しています。全面安と全面高を繰り返していますが、100%超に浮上する時間も早まっています。日経平均は週末まで5連騰となっており、サイコロジカルラインは「8」まで上昇しました。

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TOPIX-17業種のうち、全業種が値下がりする軟調な地合いが3週間続いたあと、先週はすべてのセクターが値上がりしました。最も上昇率の小さなセクタは「小売」ですが、それでも+4.15%の大幅反発となりました。

最も値上がりの大きなセクターは「銀行」で、その次が「金融(除く銀行)」でした。金融セクターが急速に値を戻しています。

銀行では三井住友FG(8316)、三井住友THD(8309)、りそなHD(8308)など大型株が堅調です。過去2週間の下げ幅をほぼ取り戻しました。

同じく地銀株でも、コンコルディア(7186)、めぶきFG(7167)、いよぎんHD(5830)、富山第一銀行(7184)、八十二銀行(8359)などが急速に値戻しを進めています。

「金融(除く銀行)」ではSOMPOホールディングス(8630)、東京海上HD(8766)の損保株を中心に、、オリックス(8591)、野村HD(8604)、FPG(7148)が下げ分を取り戻しました。日証金(8511)はさらに上値追いに入っています。

「自動車・輸送機」ではシマノ(7309)の堅調さが光ります。トヨタ自動車(7203)はさすがにまだ重いものの、いすゞ自動車(7202)、ホンダ(7267)、武蔵精密(7220)、NOK(7240)には上昇の勢いが戻りつつあります。

下落率の小さかったセクターは「小売」、「運輸・物流」、「食品」です。

それでもエディオン(2730)、

(後略)

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鈴木一之