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2024年9月24日

FOMC、4年半ぶりの利下げ決定を受けて世界中で株価が上昇

鈴木一之

鈴木一之です。FRBは金融政策の引き下げを決定しました。

予想通りと言ってしまえばそれまでですが、2022年3月(あるいは2021年11月)から続けられてきた米国の金利上昇局面は大きな転換期を迎えています。

NYダウ工業株はさっそく史上最高値を更新しました。NASDAQはまだもたついていますが、半導体関連株が一斉に底入れ反発に向かっており、株式市場の動きが変わってきたようにも見えます。

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今週は歴史に長く刻まれる大きな出来事がいくつも起こりました。

ドジャーズの大谷翔平選手は史上初めて、1シーズンで50本塁打・50盗塁を達成しました。世界最高の米メジャーリーグの歴史でも誰も達成したことのない偉業です。

大相撲秋場所では、二所ノ関部屋の関脇、大の里関が14日目に13勝1敗で2度目の優勝を決めました。新入幕から9場所目の快挙です。場所後には大関への昇進が確実と見られており、不断の精進の結果とはいえあまりのスピード出世に驚きます。

暗いニュースとしては、レバノンでポケットベルが一斉に爆発し、ヒズボラの戦闘員を中心に複数の人が死亡、3000人近い人が負傷しました。ごく普通のポケベルが戦争の武器として使用されたことに世界は衝撃を受けています。

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ボケベルの爆発は犯人が特定されておりませんが、ヒズボラはイスラエルの犯行と断定して報復に出ることを明言しています。中東情勢は一段と混乱し、イランとイスラエルの直接的な紛争がいつ勃発しても不思議ではありません。イランの抑制がいつまで続くのか、地政学リスクは深刻度を増しています。

そのような状況でFRBは現地水曜日(日本時間木曜日)の9月18日に、FFレートの▲0.5%引き下げを決定しました。

引き下げ幅は直前まで様々な観測が乱れ飛びましたが、結果的には通常の2回分である0.5%で決着しました。

なぜ2回分の0.5%の引き下げ幅となったのか。記者会見に臨んだパウエル議長は、市場の予想を上回る利下げに踏み切って「後手に回らないための決意の表れ」だと述べました。景気後退のリスクに備える予防的な利下げだとを説明しています。

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この決定にはFRBの内部でも様々な意見があったようです。引き下げ幅を0.25%にとどめるよう主張したメンバーが7人、反対に0.75%まで引き下げ幅を広げるよう主張したメンバーも1人いました。引き下げゼロとする人も2人いて、これまでになく意見が分かれたFOMC会合でした。

あわせて公表された今後の経済見通しは、2025年以降も米国の景気は失速せず、インフレも沈静化する「ソフトランディング」がこれまで通りに描かれました。

2025年末の失業率は4.4%(中央値)で、6月の前回見通し(4.2%)からは引き上げられています。PCE(個人消費支出)の上昇率は2.1%、6月見通しから0.2ポイント引き下げられました。

そしてFFレートは、2024年末は4.5%とされました。これは残り2回のFOMCでそれぞれ▲0.25%の利下げが行われることを示しています。

さらに2025年末は3.5%で、6月時点の4.25%から大きく引き下げられています。この見通しによれば、来年の利下げ幅は▲1.0%になります。

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さらに2026年末も3.0%まで引き下げられ、FRBの金融政策はよりハト派に傾いたという印象ががぜん強くなっています。

ただし、より長期にわたる将来の見通し(いわゆる中立金利)は3.0%まで引き上げられています。このあたりの判断が微妙であり、これが為替市場において、FOMCの結果発表の直後には利下げを評価してドル安・円高に振れたものの、すぐにドル高・円安となった理由でもあると見られています。

年内のFOMCは2回。次回は大統領選の直後となる11月6-7日に開催されます。その時に米国経済と金融市場はどのような動きをたどっているのか。非常に興味深い展開がここでも待ち受けているように思います。

ひとつだけ確かなことは、これからの日々も従来と同じように、毎月の雇用統計やISM景況感指数、消費者信頼感指数、住宅着工件数のデータに目を凝らす展開が続くことになりそうです。

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先週の東京株式市場はTOPIXが2週ぶりに反発しました。上昇率は+1.73%と小さなものにとどまりましたが、前の週の▲4.25%からは切り返しました。

縮小祝日の3連休明けこそ軟調だったものの、FOMCの結果を受けて円安気味に推移したため、週末にかけて日経平均、TOPIXともに3日続伸となりました。

大型株を中心に反発機運が高まっています。スタイル別でも、グロース株が2週続けてバリュー株を上回っています。大型グロース株は上昇率が+2.38%に達しましたが、反対に大型バリュー株は上昇率が+1.10%にとどまりました。引き続き半導体株の上昇が牽引しています。

プライム市場の騰落レシオは週を通じて111~113%の狭いレンジ内で推移しています。週末は113.52%となりました。日経平均のサイコロジカルラインは「3」のボトム圏を4日間続けたあと、週末は「4」に上昇しています。

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TOPIX-17業種の動向では、値上がりセクターが12業種、値下がりセクターが5業種でした。

値上がり上位のセクターは「機械」、「鉄鋼・非鉄」、「電機・精密」でした。前の週に大きく値下がりしたセクターほど大きく値上がりしました。

おおむね半導体セクターの反発が中心です。値上がりトップの「機械」ではディスコ(6146)、CKD(6407)、オルガノ(6368)、芝浦機械(6104)の上昇が目立ちます。IHI(7013)、三菱重工業(7011)の中核企業にもさっそく買いが勝るようになっています。

ただし半導体関連のほかにも、ユニオンツール(6278)、荏原実業(6328)、やまびこ(6250)も堅調でした。コマツ(6301),日立建機(6305)にも物色が回ってきています。

値上がり第2位の「鉄鋼・非鉄」では、日本製鉄(5401)、JFEホールディングス(5411)を中心に大手鉄鋼株が軒並み上昇しました。

日本製鉄によるUSスチールは大統領選が終わった後に再度、買収提案を提出することで決着を図ることになる模様です。労働組合票の行方が勝敗を決するとされる大統領選の前には、どのような結論も下せないということでしょうか。

逆に大統領選の後になれば決断が下しやすいということは、日本製鉄の方に分があることにもなりそうですがどうでしょうか。

非鉄セクターでもフジクラ(5803)、SWCC(5805)、古河電工(5801)の電線株が堅調です。電力設備投資関連株への物色意欲は引き続き高いと言えそうです。アルミのUACJ(5741)、リサイクルのDOWAホールディングス(5714)も堅調でした。

値上がり第3位の「電機・精密」は、その前週までの流れが一変しました。米国では大規模なインテル救済スキームが動き始めています。経済安保の要請から1国に1社、強力な半導体メーカーが必要とされる状況が生まれつつあります。

日立(6501)、シンフォニア(6507)、NEC(6701)、アルバック(6728)などの主力銘柄をはじめ、キーエンス(6861)、ファナック、オムロン(6645)の設備投資関連株も急速に持ち直しています。

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反対に、値下がりの目立ったセクターは「電力・ガス」、「医薬品」、「不動産」となりました。前の週と重なるセクターが多く見られます。

「電力・ガス」に関しては、大阪ガス(9532)、東京ガス(9531)の値下がりが続いています。ディフェンシブ的な銘柄へのニーズが薄らいだ結果と見られます。同様に電力株の中でも関西電力(9503)、中部電力(9502)が軟調でした。

「医薬品」も大塚ホールディングス(4578)が続落しています。

「不動産」は堅調な値動きが見られましたが、次の展開待ちの段階というべきか、大きな動きのないままに1週間が過ぎました。

FOMCとともに、日銀の金融政策決定会合も週末に開催されましたが、

(後略)

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鈴木一之