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2025年4月1日

トランプ関税で株式市場は軟化、日経平均は週間では3週ぶりに反落

鈴木一之

鈴木一之です。ミャンマーで大きな地震が発生しました。被害に遭われた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

人口第2位の都市、マンダレー周辺の被害が大きいようです。映像を見る限り稼働している重機が少ないように感じます。近いようで遠い国、ミャンマーですが、ビルマの時代には日本と深くつながっていました。

ごく普通に暮らす大勢のミャンマーの人々に、これまでのような日常の生活が一日も早く戻ってくることを願っています。

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先週もマーケットは神経質な値動きを繰り返しました。世界のあらゆる耳目が米国のトランプ大統領の一挙手一投足に注がれています。

4月2日に詳細が明らかになるという米国の「相互関税」の中身について、日本を含む各国政府は水面下で交渉を続けていることと推察されます。その一端が先週は具体的な形となって現れました。

中国やカナダ、メキシコへの関税発動に続いて、先週は米国が輸入する自動車へ一律25%の関税を適用するということとなりました。4月3日から実施され日本も含まれます。世界は「トランプ不況」を警戒する動きが広がっています。

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先週の日経平均の値動きです。

・3月24日(月):37,608円(▲69円)
・3月25日(火):37,780円(+172円)
・3月26日(水):38,027円(+247円)
・3月27日(木):37,799円(▲228円)
・3月28日(金):37,120円(▲679円)権利落ち日

現在の株式市場は4つのネガティブ要因に囲まれています。

(1)トランプ政権の政策運営(中でも関税)
(2)それに伴う米国および世界の景気後退リスク
(3)生成AI投資の過剰感(ディープシーク・ショック)
(4)日銀の政策金利引き上げ

このうち先週は(1)のトランプ関税が前面に出てきた週となりました。さらに(3)の過剰投資の懸念がくすぶり続けています。

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何と言ってもトランプ関税です。

米国の輸入自動車への25%の追加関税が、大統領令に署名する形で3月26日(水)に発表されました。これを受けて木曜日の東京株式市場は、日経平均が一時▲500円近く下落し、続く金曜日も一時は▲800円以上も値下がりすることとなりました。下げ幅には配当落ち分が▲300円強入っています。

自動車関税の発表を受けて、金曜日は時価総額最大のトヨタ自動車(7203)の株価が▲4.5%下落しました(▲128円下落したうちの▲50円は配当落ち分と見られます)。

同様に日産自(7201)は▲3.9%の下落、ホンダ(7267)は▲4.9%、マツダ(7261)は▲4.2%、スバル(7270)は▲3.5%、それぞれ下落しました。

完成車ばかりでなく自動車部品メーカーも豊田自動織機(6201)、アイシン(7259)、デンソー(6902)、NOK(7270)、大同メタル(7245)などがそろって▲3~6%の下落を余儀なくされています。

下落しているのは米国のGMも同様です。この日の株価は▲7%も下げました。メキシコ、カナダ、韓国からの輸入が多いためと見られます。

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日本の自動車メーカーの日本国内での生産台数は823万台(2024年)で、日本から米国への輸出品目として最大規模の産業です。

日本から米国への輸出は2024年で137万台近くに達します。2024年の輸出金額は6兆円に迫り、対米輸出総額の30%近くを占め、国別では米国が最も大きく、これが仮にゼロとなると名目GDPの2%、13兆円が消えることになります。

ゼロになる見通しは極端だとしても、対米輸出と生産が10%落ち込むだけで1.3兆円が失われます。材料の鉄鋼や物流、販売など関連する産業の広がりも広く、サービス業も含めた広義の自動車産業は558万人に影響が及ぶとされています。

トヨタは日本から米国への輸出台数は年間で233万台にのぼり、販売台数全体に占める比率は23%になります。インドを主なターゲットとするスズキ(7269)を除いて、各自動車メーカーにとって米国市場は最重要の市場です。

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米国への輸出比率だけを見れば、三菱自(7211)は10万台(73%)、マツダは42万台(52%)、スバルは66万台(44%)、日産自は92万台(17%)ですが、単純に日本から米国への輸出台数が問われるだけではありません。

ホンダやマツダのように、米国での現地生産やメキシコで生産した製品を米国に輸出する企業もあります。トヨタは売れ筋の「カムリ」は米国で生産。「タコマ」はメキシコ、「レクサス」の一部はカナダで生産して米国へ輸出しています。

各社それぞれに独自の生産体制を数十年かけて築いてきました。それらを今後どのように作り変えてゆくのか、難しい問題に直面しています。

米国の関税発動を受けて欧州委員会の広報担当は、米国に対して強力な対抗措置を検討していると明らかにしました。カナダのカーニー首相は「米国との長年のパートナーの関係は終わった」と述べ、関税に対する報復措置を講じると述べました。

これに対してトランプ大統領は、両者に対して現在の計画よりもさらに大規模な関税を課すことをSNS上で表明しました。日本政府は関税の適用除外を申し入れています。

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頭を痛めているのは企業経営者です。

日本経済新聞が3月中旬に行った「社長100人アンケート」では、米国での事業展開に関して、今後米国での事業を「拡大する」との回答が28.3%にのぼり、「拡大を検討する」の20.5%と合わせて5割近くが米国での事業拡大を積極的にとらえています。米国での事業を「縮小する」はゼロ%、「変えない」が45.7%でした。

拡大する事業の内容は「販売」が74.6%、「生産」が50.8%、「買収」が47.6%、「スタートアップへの出資」が34.9%でした。(複数回答)

回答した企業の41.4%が「米国への投資を増やす」と答え、昨年暮れの調査時の16.9%から大きく増えています。ただ製造業に関しては、半数近くの企業が「現状維持、様子見」としています。

気になるのはインフレです。価格競争力の強いイタリアのフェラーリは、早くも米国での販売価格を10%引き上げると発表しました。フェラーリは年間出荷台数の4分の1、3400台超を米国で販売しています。

関税による米国の物価上昇は避けられないとの見方から、為替市場ではドルが上昇しています。3月27日にドルは対ユーロで1ユーロ=1.07ドル台前半まで上昇しました。3月上旬以来のドル高です。ドルインデックスは3週間ぶりの高水準をつけています。

米国の10年国債利回りも一時4.4%台まで上昇しました。この点が今週以降のマーケットにどのような影響を及ぼすのか、金融市場の動きが激しくなりそうです。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが4週ぶりに反落しました。下落率は▲1.67%と大きめですが、それでも前の週に+3.25%も上昇したことが奏功して、その一部が剥落した格好です。

規模別では、大型株指数が▲1.84%、中型株指数が▲1.37%、小型株指数は▲1.24%とそれぞれが一様にマイナスとなりました。この中では小型株指数が最も堅調です。東証グロース株250指数は+0.27%と、小幅ですが3週連続で上昇しています。

スタイル別では、大型バリュー株が▲2.08%と下落が目立っています。これまで上昇をけん引してきた分だけ、配当落ちもあって下げが大きくなりました。小型バリュー株は▲1.53%、大型グロース株が▲1.53%、小型グロース株は▲0.93%となり、先週はバリュー株の下げが目立ちます。

東証プライム市場の騰落レシオは、軟調な地合いでしたが木曜日には114.36%まで上昇し、週末は109.24%で終わりました。日経平均のサイコロジカルラインは週末に「6」のニュートラルを保っています。

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TOPIX-17業種の騰落では、値上がりセクターが5業種にとどまり、値下がりセクターは12業種に広がりました。軟調な地合いですが、決して全面安という状況ではありません。

値上がり業種のトップは「不動産」です。住友不動産(8830)に対してアクティビティストが株式を大量取得するというニュースが伝わり、週初から大手不動産を中心に買い物が広がりました。

当の住友不動産ばかりでなく、三井不動産(8801)、三菱地所(8802)、東京建物(8804)、東急不動産ホールディングス(3289)、野村不動産HD(3231)、ヒューリック(3003)など、不動産株が大手から中小まで広範囲に物色されました。

利上げ意向を強める日銀の金融政策は警戒されますが、それでも低金利と地価上昇は続くとの見方が市場では支配的です。

値上がりセクターの第2位は「小売」でした。エディオン(2730)、ノジマ(7419)、すかいらーく(3197)、ライフコーポ(8194)、トレジャーファクトリー(3093)、丸井グループ(8252)、サンドラッグ(9989)が広範囲に上昇しました。

春闘が佳境を迎えており、満額回答が相次いでいます。新入社員の初任給引き上げも続いており、企業は周囲がびっくりするくらいに賃上げに前向きです。日本も物価上昇がだんだん厳しくなっていますが、それでも(選択的に)消費の現状は好調です。

値上がりセクターの第3位は「食品」です。12月決算のJT(2914)が続伸し、ほかにもアリアケジャパン(2815)、柿安本店(2294)、寿スピリッツ(2222)、アサヒグループHD(2502)など業績の好調な銘柄がいずれもしっかりと買い物を集めています。

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反対に値下がりセクターのトップは「自動車・輸送機」でした。前述のように自動車セクターが幅広く下落しています。

ただしホンダ(7267)やスバル(7270)の

(後略)

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