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2024年11月12日

トランプ前大統領が返り咲き、米国株式市場は最高値を更新

鈴木一之

鈴木一之です。激動の1週間が過ぎました。あまりの変化の激しさ、衝撃の大きさで何から書くべきなのか、すぐには思い浮かびません。何も書けないという状況です。

米大統領選でトランプ前大統領が再選を果たしました。

事前の世論調査では大接戦が予想されていましたが、ふたを開けてみれば激戦州と言われた7つの州をすべてトランプ候補が取り、開票から半日もしないうちに当選確実が報じられました。トランプ候補の圧勝です。

この結果を受けて米国の株式市場はすぐさま全面的に上昇しました。NYダウ工業30種、S&P500、NASDAQの主要3指数がそろって史上最高値を更新しています。いずれも週間ベースでは今年最大の上げ幅です。

それらと比較して欧州やアジアなど各国の株価指数の動きは鈍いままです。日本も同様で総じてとまどい気味の評価に終始しています。

歓迎しているのは米国の産業界と、日本では金利上昇の恩恵を受ける銀行株や防衛関連株だけという状況です。トランプ大統領の最大のモットーである「米国第一」が早くも到来しつつあります。

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世界中のメディアがトランプ氏再選の意味を特報で流しています。曰く、ここからの米国は「想像を絶する破壊的な方法で」変化してゆき、今回の大統領選は「第2次世界大戦後で最も大切な選挙」と位置づけられる、ということのようです。

米国民の選択は米国の中だけにとどまらず、広く世界全体に対して衝撃的な変化をもたらすことを覚悟すべきだと伝えています。

米国以外で最も喜んでいるのはロシアのプーチン大統領でしょう。さっそくトランプ氏と対話する用意があると述べました。ウクライナ戦争に対する米国の関与が大幅に減る可能性が高まっています。イスラエルのネタニヤフ首相も両手を挙げて歓迎しています。

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トランプ氏の選挙公約は、関税の引き上げ、減税の恒久化、移民規制の強化、環境規制の緩和です。

関税引き上げに関しては、米国の貿易相手国はほぼ等しく影響を受けます。米国に輸出する国は関税への引き上げに直面し、特に中国には厳しい姿勢で臨むことになります。

日本企業も影響は免れず、生産拠点を中国から他国に移す流れが加速する可能性が強まります。メキシコの生産拠点をどうするか、足元の業績の厳しい自動車および自動車部品業界の悩みは一段と深まっています。

個人所得税に対する減税措置、いわゆる「トランプ減税」は議会審議を経て恒久化される方向にあり、これに2期目は法人減税も加わりそうです。

これら一連の政策が実施されると米国の財政赤字は大幅に拡大し、再びインフレ圧力にさらされることになります。長期金利は上昇し、銀行業界にとって追い風になりますが、産業界全体の資金調達力には悪影響が出てきます。

バイデン政権で大きく勧められた環境規制も転換され、米国は再びパリ協定から離脱することになりそうです。エネルギー資源の開発が再開されることになり、再エネ補助金は削減されるでしょうが、これに関しては当のエネルギー会社ですら戸惑いは隠せません。

リーマンショックで大幅に強化された銀行規制も緩和されると見られます。米国の投資銀行株は先週、軒並み大幅高となりました。

通貨はドル高の方向が進行しやすい状況ですが、ドル高を嫌うトランプ氏が果たしてどこまでそれを許容するのか。新たな通貨政策を打ち出してくるとも考えられますが、今はまだ不透明です。その点でトランプ政権の閣僚人事がとりわけ重要と見られます。

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日本では週明けに召集される臨時国会の審議が注目されます。ここで焦点となるのは補正予算案の動向です。

少数与党に転落した自民・公明の政府与党に対して、衆院選で躍進した国民民主党が「103万円の壁」の是正を強く訴えかけています。通常であれば年末の税制大綱の策定から来年の通常国会で実現することになりますが、それでは「103万円の壁」の是正に2年近いタイムラグが生じます。

そこで国民民主党は政府与党に対して、2024年分の納税から対応するように求めています。果たして週明けからの臨時国会でその要求が通るのか。通った場合の連立政権の力関係はどのように変わるのか。通らないとなった時の補正予算の行方、ひいては政権運営の行方が問われてきます。

日米ともにマーケットの根底をなす政治と経済の根底部分が大きく揺らいでいる状況で、株式市場はどの方向を向いてゆくのか。いったんは上昇含みで推移しましたが、週明けからの展開がことさら重要になってくると見られます。

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先週の東京株式市場はTOPIXが続伸しました。上昇率は+3.70%とかなり大きな上昇です。前週は+0.99%にとどまっています。

ほぼ全面高に近い状態ですが、その中では大型株の上昇が目立ちました。大型株指数は+4.05%も上昇したのに対して、小型株指数は+2.20%にとどまりました。東証グロース250指数も+1.12%の小幅続伸です。

バリュー株とグロース株は等しく堅調でした。大型バリュー株は+3.84%の続伸、一方の大型グロース株も+3.71%となりました。

騰落レシオは急速に上昇しており、週末は97.65%まで持ち直しました。日経平均のサイコロジカルラインも週末は「7」に浮上しています。10月22以来の水準です。

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TOPIX-17業種の騰落では、値上がりセクターが15業種に広がり、値下がりセクターは2業種にとどまりました。先週に続いて幅広い上昇が見られました。

値上がりセクターの上位は「銀行」、「金融(除く銀行)」、「機械」となりました。

トップの「銀行」セクターは、米国で銀行株が軒並み大きく上昇した影響が日本にも広がりました。米国と同じく日本でも長期金利が上昇しており、三菱UFJフィナンシャルG(8306)、三井住友フィナンシャルG(8316)、みずほフィナンシャルG(8411)のメガバンクがいずれも商いを伴って大きく上昇しました。

金利上昇が銀行業務の利ザヤ拡大につながるとの見方から、買い安心感を呼び込んでいると見られます。地方銀行でもいよぎんHD(5830)、めぶきFG(7167)、西日本FH(7189)、ひろぎんHD(7337)などが幅広く物色されました。

値上がり第2位は「金融(除く銀行)」です。証券セクターでは野村ホールディングス(8604)が決算発表を好感して大幅高となりました。米国の金利上昇から第一生命HD(8750)、東京海上HD(8766)の生損保も堅調です。

値上がり第3位は「機械」でした。ここでも決算発表をきっかけにIHI(7013)が上場来高値を更新し、三菱重工(7011)、日本製鋼所(5631)の防衛関連株が再び人気化しました。ダイフク(6383、オルガノ(6368)、荏原(6361)、コマツ(6301)も買われています。

反対に値下がりしたセクターは「医薬品」、「エネルギー資源」、「電力・ガス」でした。いずれも株価が下落したというよりも、単に株価の動きが小さかったセクターと言えます。医薬品では参天製薬(4536)、久光製薬(4530)あたりが軟調でした。

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先週起きた3番目の変化は、日本企業の決算発表です。注目されるのは自社株買いの積極化です。

決算の好不調によって株価が大きく変動するのは仕方のないところです。それ以上に目を引くのが、これまでになく大規模な自社株買いを発表する企業が増えている点です。

大成建設(1801)が

(後略)

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鈴木一之