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2020年11月9日

米大統領選の投開票が進む、バイデン氏が勝利宣言、日経平均は29年ぶりの高値に

鈴木一之

◎日経平均(6日大引):24,325.23(+219.95、+0.91%)
◎NYダウ(6日終値):28,323.40(▲66.78、▲0.23%)

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鈴木一之です。11月3日。運命の日。米国では大統領選挙の投票が行われました。マーケットは早くも大きく動き始めています。

開票が始まって5日が経過した現時点においても、選挙結果はまだ確定していません。しかしどうやら選挙人の獲得数においては、11月8日(日)の日本時間早朝の時点で、バイデン候補の勝利は確定的で、バイデン氏はデラウェア州で勝利宣言を行いました。

ただしこれで事態が収束するとは考えられないのも事実です。トランプ大統領は敗北宣言をいまだ出しておらず、支援者は全米各地で街頭デモを行っています。
法廷闘争にもつれこむ事態も考えられ、12月14日の選挙人による実際の投票まで事態は二転三転する可能性も残っています。年内中には選挙結果は確定しないことになり、最終的には上下院での議員の投票になります。
事前の予想どおりに、現職のトランプ大統領と対抗馬のバイデン候補の戦いは熾烈を極めています。
それでも先週の株式市場は、世界中で株価が上昇しました。日経平均は月曜日から大きく上昇し、文化の日の祝日を間にはさんで週末まで4連騰を記録しました。2018年1月の高値を抜き去って、1991年以来、29年ぶりの高値水準に達しています。

日本の株式市場の動きを見ている限り、マーケットはきわめて冷静です。米国の大統領が誰になろうとも、新型コロナウイルスが世界的に蔓延する現状においては、取り得る政策は限られています。
いずれは新しい政権によって大規模な景気対策が打たれることになり、徐々に明るさの見えてきた世界の景気動向はさらに後押しされるはずです。目の前の不透明要素が取り除かれ、株価の上昇は一段と加速する可能性を示しています。

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折しも日本では3月決算企業の中間決算の発表が相次いでいます。第1四半期の決算策定の頃と現在とで最も違っている点は、世界経済は「2番底」の心配をしなくてもよさそうだとの認識が強まっていることです。
6月の時点では社会全体に「2番底」への不安が強く残っていました。現在のコロナウイルスの感染状況を見ると、確かに欧米を中心に感染の第2波(第3波)が始まっています。日本も同様です。

しかし春先と比べて現在の方がウイルスに対する経験値があるため、経済活動はそれほどまでは落ち込んではいません。したがって企業業績も当初考えられていたほどには悪化しておらず、低く見積もり過ぎた通期の業績見通しを上方修正する企業が相次いでいます。

そこに政策の上でも「GoToトラベル」をはじめ、人々の行動を活発化させる方策が目立ち始めています。

それらすべてを反映してか、先週の株式市場ではファーストリテイリング、ダイキ工業、ダイフク、キーエンス、日本電産など、日本でも上場来高値を更新する企業が相次ぐようになっています。
まだ下値模索を続ける銘柄も見られますが、全体トータルとしては買いが先行して、日経平均も動きやすい局面に入っています。歴史に残る大接戦の米大統領選挙をきっかけとして、株価も歴史的な高値水準に達しました。その事実をスタート地点として、ここからあらためて個々の企業の冷静な分析が始まることになるのだと思います。

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先週の東京市場は、TOPIXが大きく反発しました。一週間の上昇率は+5%を超えています。大型株を中心に幅広い銘柄が上昇しました。
同時に小型株市場にも資金が流入している模様で、東証マザーズ指数は大きく値下がりした後に+6%を超える上昇となりました。バリュー株も幅広く買われていますが、それ以上にグロース株の上昇が目立った週となりました。

セクター別の騰落では、TOPIX-17業種のうち、すべての業種が値上がりしました。前の週と正反対の動きです。

値上がり率のトップは「医薬品」です。上昇率は+11%にも達しました。民主党のバイデン候補が優勢に選挙戦を進めたことから、米国の製薬メーカーに値下げ圧力が強まるとの見方からこれまで下落してきました。
その流れがいったん反転した形となっています。

医薬品セクターに続いて「機械」、「鉄鋼・非鉄」が急上昇しました。いずれも景気敏感株に属するセクターです。発表される決算内容はどれも厳しいものですが、その悪化した決算を受けての株価の反応はプラス方向に向かっています。

悪材料はすべてこれまでの過程で消化されたような値動きとなっています。その他にも売り込まれていた「不動産」、「運輸・物流」などがしっかりした週でした。
反対に、上昇率が比較的小さかったところでは、「小売」や「エネルギー資源」が目立ちます。「商社・卸売」も上昇率は低かったことになりますが、値上がり上位のセクターが大きく反発したために、その影に隠れてしまったという色合いが強いように思います。

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株価は堅調な値動きとなりましたが、これで気を許すことはできません。コロナウイルスの感染は欧州を中心に拡大ペースが速まっています。フランスやイギリスでロックダウンが広がっており、経済へ与える影響も気がかりです。

クリスマス商戦が始まるまでに欧州各国は、なんとしてでも感染の拡大を抑えようと必死になっています。11月第3週までにどうにか封じ込める必要があります。ここからが本当の正念場になってくるでしょう。

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中間期の決算発表に合わせて、通期の業績見通しを上方修正する企業が目立っています。先週はトヨタ自動車の決算が明らかになり、カレンダーベースでの今年後半は生産台数が過去最高になるということでした。
今週もさらに決算発表が相次ぎます。ここからは中堅、小型企業の決算です。期初の時点における先行きの見通しが低すぎたところがどこまで上方修正を行ってくるのか、おおいに注目されます。

先週も記しましたが、企業トップによる経営手腕の巧拙が問われるのはむしろここからです。下期の運営によってさらに大きく業績に差が開くのか、反対に差が縮まって二極化相場が少しは解消する方向に向かうのか。下期相場のカギはその点にあるように思います。

この時期は恒例のことですが、

(後略)

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鈴木一之