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2022年5月2日
ウクライナ情勢は膠着、上海ロックダウンの影響がじわり
◎日経平均(28日大引):26,847.90(+461.27、+1.75%)
◎NYダウ(29日終値):32,977.21(▲939.18、▲2.76%)
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鈴木一之です。薫風薫る5月になりました。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は膠着状態に陥っているようです。一日も早く戦争が終わることを願うばかりです。
日本は3年ぶりに行動規制のない大型連休を迎えています。全国各地の観光地がにぎわいを取り戻しつつあることはなによりですが、まだ本調子とは言えません。人々の心のどこかにまだ警戒心が残っており、人々の行動そのものが本質的に変わっているようにも見えます。このあとのエコノミスト諸氏の分析が待たれます。
先週は株式市場も軟調な動きが強まりました。ウクライナ情勢はこう着状態を迎えています。東部地区にロシア軍が集結したところまでは動きはあったものの、停戦交渉は途絶えたままで、長期化の様相を示してます。
先週は国連のグテレス事務総長が仲介役として、モスクワとキーフの両方の都市を訪れましたが、具体的な成果を挙げるには至りませんでした。このままの状態がしばらく続きそうです。
そうなるとコロナ禍とも重なって、国際的な物流の停滞もまだしばらく続くことになります。インテル首脳は決算発表の席で、世界中で半導体が不足する状態は2024年まで続くとの見通しを明らかにしました。従来の見通しよりもさらに1年、長びく模様です。
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半導体をはじめモノ不足の状態が企業業績にどこまで影響を及ぼしているのか。そのあたりの状況を決算発表で確認しようというムードが強くなっています。決算発表のあとの株価の動きがこれまでになく大きくなっています。
先週は米国の株式市場が大きく揺さぶられました。週末にアマゾン・ドットコムの決算発表があり7年ぶりに最終赤字を計上しました。アマゾンの株価は1日で▲14%も下落し、それにつられてアップル、マイクロソフトのテクノロジー株が下落して、NYダウ工業株指数は一時▲1000ドルの下落となりました(終値は▲939ドル)。
金曜日にNYダウが▲1000ドル下がるのは2週連続のことです。4月だけでNASDAQの下落率は▲13%に達しており、これは月間の下落率としてはリーマン・ショックの直後、2008年10月の▲18%以来だそうです。
今週はいよいよFOMCが開催され、インフレ抑制を重視する金融政策の方向性が明らかになります。米国市場をはじめしばらく神経質な展開が続きそうな雲行きです。
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米国以上に注目されたのが、中国の景気動向です。北京パラリンピックの直後から始まった上海のロックダウンはいまだに解除されず、それどころかコロナウイルスの感染拡大は北京にも及びつつあります。
4月30日に北京市は感染拡大を抑えるために、5月4日まで市内のレストランでの店内飲食を禁止すると発表しました。部分的なロックダウンです。映画館の営業も停止しているようです。
中国は元々の景気の弱さに1か月以上に及ぶ上海ロックダウンが重なって、経済の状況は一段と下向きに傾いています。4月30日に国家統計局が発表した4月のPMIは、製造業、非製造業ともに景気の分岐点となる「50」を2か月連続で下回りました。
製造業は47.4(▲2.1)、非製造業が41.9(▲6.5)、いずれもコロナ禍の初期の2020年2月以来の水準です。上海市のビジネスがほぼ全面的にストップしており、製造業は受注が入らず生産が止まり、物流の混乱も長びいています。サービス業も小売、飲食、宿泊、娯楽などほぼすべての活動が止まっています。
日本も自動車メーカーを中心に影響が広がっており、これが足元の景況感をさらに弱い方向に引っ張っています。中国で生産が滞ると、それは自動車産業を通じてドイツ、フランスに影響を与えるため欧州の景況感も弱まります。
コロナ禍とウクライナ情勢が重なって、世界中で物価の上昇と景況感の悪化が同時に起こる「スタグフレーション」が現実のものとなりつつあります。
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先週の東京株式市場は、TOPIXが反落しました。前の週に4週ぶりの上昇を記録したのですが、わずか1週間で再び下落に転じました。下落率は▲0.29%と小さな幅にとどまっています。
規模別の指数では、大型株が軟調で、中型株と小型株はわずかながら上昇を維持しました。ただし小型成長株の集まるグロース市場は引き続き軟調で、東証マザーズ指数は4週連続で下落しました。金利上昇に弱い成長株の市場からは資金流出が続いています。REIT指数も軟調でした。
日経平均のサイコロジカルラインはほぼ1か月ぶりに「7」に上昇しました。中立の状態からわずかに上向きを示しています。騰落レシオは80%割れまで急速に低下しています(週末値は83.3%)。
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TOPIX-17業種のセクター別の騰落では、値上がりが7業種で、値下がりが10業種となりました。それまで下落していた業種が一斉に反発し、逆に値上がりしていた業種が反落しています。
上昇したセクターのトップが「医薬品」で、続いて「電力・ガス」、「食品」といずれもディフェンシブ業種が並んでいます。
「医薬品」は武田薬品工業(4502)を筆頭に、第一三共(4568)、小野薬品(4528)などが順番に幅広く買われました。2週間休んで再び物色人気の中心に登場しています。
値上がり第2位の「電力・ガス」では、電力株は総じてさえない展開でしたが、代わって東京ガス(9531)、大阪ガス(9532)がどちらも大幅高となりました。
日本を代表する2つのガス会社は、これまで長らく株式市場では脇役的な存在で、中核銘柄として取り上げられることはほとんどありませんでした。
しかし今や大手ガス会社は、天然ガスを海外から輸入して都市ガスとして販売するだけでなく、自ら海外のガス鉱区に投資して開発し、それらを国内に輸入する資源会社として生まれ変わっています。
今回の決算発表で両社の高収益ぶりが明らかになり、株価は長年の保ち合いレンジから上に放れようとしています。それと合わせてガス会社の周辺に位置する燃料商社、ガス販売会社の収益も好調です。
第3位の「食品」も、14年ぶりのビール、ウィスキーの値上げを表明したアサヒグループHD(2502)を筆頭に、キ
(後略)