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2021年2月16日

コロナウイルスの感染者数が世界的に減少、米国株式市場は史上最高値を更新

鈴木一之

◎日経平均(12日大引):29,520.07(▲42.86、▲0.14%)
◎NYダウ(12日終値):31,458.40(+27.70、+0.08%)

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鈴木一之です。NY株式市場が毎週のように最高値を更新しています。1月末に市場を攪乱させたゲームストップ株の乱高下、ロビンフッド・マーケッツを巡るバブル現象に近い危険な兆候もさほど意に介しません。

米国の株式市場は一段と騰勢を強めています。NYダウ工業株は2月12日(金)も史上最高値を更新して引けました。先週は週初の月曜日まで6連騰を記録して毎日のように最高値を更新しました。火曜日、木曜日には一服しましたが、ずっと上昇し続けているいるにもかかわらず、1日の下げ幅は▲10ドル、▲7ドルと微々たるものにとどまっています。

バイデン政権はコロナ対策に邁進しています。大統領自らが公けの場に必ずマスク着用の姿で登場しており、それが米国民に対してウイルスへの警戒心を緩めないとの一種の指導的な役割となっています。

その効果が現れており、全米で新規の感染者と死亡者の数が目に見えて減ってきました。経済規模の大きなニューヨーク州では、週末からレストランやバーなど飲食店の営業が再開されました。

まだ人数を絞った営業なので本調子ではありませんが、2月23日からはスポーツと音楽イベントも人数制限を課した上で再開される見通しです。病床ひっ迫数は依然として高く、気を許すことはできませんが、マスクさえきちんと着用すればコロナウイルスの拡散はある程度抑えられることが実証されつつあります。

それがトランプ政権との違いとなって現れており、目下のところ人々の行動規制が緩和されて経済が回復するとの期待が株価を再び押し上げています。

米国民向けのワクチン接種大作戦もスタートしています。すでに3000万人以上が1回目のワクチン接種を澄ませ、さらにファイザー、モデルナとの間でそれぞれ1億回分にのぼる追加の供給契約を結びました。接種のスピードはさらに引き上げられており、ヤンキースタジアムに続いて、休園中のディズニーランドも接種会場に提供されました。

追加の景気対策も議会では折衝が進んでいます。議会予算局から発表された2021年度の財政赤字は2.2兆ドルを超えることになります。これには目下の1.9兆ドルの追加策は含まれていません。実施されれば財政赤字は4兆ドルを超えることになり、GDP比では第2次大戦以来の赤字幅となります。

原油価格はWTIで59ドルに乗せ、レアアースの高騰も継続しています。物価の上昇は静かに始まっており、同じように金利の上昇も進行しつつあります。コロナ禍にあって現在のような空前の株高と金利高、物価高をどこまで引っ張ることができるのか。

企業業績はすこぶる好調です。したがって株価はすぐに崩れることはないという安心感も芽生えつつあります。マーケットはハラハラしながら市場の小さな音に耳を澄ませつつ、とにかく値動きについていくしかないと覚悟を決めているようです。

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先週のマーケットの動きの中で、最も興味深いのは、マザーズのメルカリ(4385)が上場来高値を一気に更新した点です。外国人買いが循環物色を強めてここまで波及してきたと見られます。

同じくマザーズのフリー(4478)も上場来高値を更新しました。発表された決算内容はそれほど目を引くものではなかったのですが、発表さえすればよかっただけなのかもしれません。逆にオークファン(3674)の決算は驚くほどの内容です。

ミンカブ(4436)、マネーフォワード(3994)、JMDC(4483)、NexTone(7094)、PKSHA(3993)あたりを中心に、マザーズ市場にしばらくは流れが戻るようにも見られます。

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株式市場の動きですが、2月第1週の株式市場はTOPIXが続伸しました。上昇幅は+2.27%で、前の週に+4.54%も上昇した勢いをそのまま継続しています。日経平均に遅れてTOPIXも、直近高値である2018年1月の水準をとうとう抜き去りました。

物色の方向性は、引き続き大型株が物色の中心です。ただし次第に中型株、小型株にも勢いが戻っています。バリュー株とグロース株ではちょうどイーブンで、先行したバリュー株にグロース株が追いつきつつあります。

それに伴って、一貫して続いていた「物色の二極化」が引き続き解消の方向に向かっています。値上がり銘柄数が増えやすくなっており、騰落レシオが上昇する時間帯に入りました。REITの上昇が目立っており、リスクオンの動きが各方面で広がっています。

TOPIX-17業種のセクター別の騰落では、値上がりしたセクターが15業種と引き続き広範囲にわたっています。値下がりセクターは「食品」、「医薬品」の2業種にとどまりました。「食品」は2週連続で下落しました。

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値下がり業種のチャート(日足、直近3か月)

「医薬品」
https://quote.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/hist_index&basequote=275&mode=D

「食品」
https://quote.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/hist_index&basequote=271&mode=D

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反対に、値上がりトップは「エネルギー資源」でした。

WTI先物は毎日のように上昇し59ドル台に乗せました。非鉄金属やレアアース、石油化学製品など一次産品から基礎素材全般の上昇につながっています。

値上がり業種の第2位は「自動車・輸送機」でした。前週のトヨタグループ各社の決算発表に続いて、トヨタ自動車(7203)が通期見通しの上方修正を発表し大きく買われました。同じくデンソー(6902)、豊田自動織機(6201)も堅調です。それらに合わせて他の自動車部品株も一斉に上昇しています。

値上がりセクターの第3位は「銀行」です。金利の上昇に伴って銀行セクターに対する見方が好転してきました。いよいよ最後の出遅れ物色が始まった、と見る向きも多いのではないかと思います。

このほかにも「鉄鋼・非鉄」、「不動産」、「情報通信・サービスその他」、「運輸・物流」などが堅調です。いよいよワクチンの接種が今週から日本でも始まります。売られ過ぎた銘柄、業種の水準訂正がもう少し継続すると見ることもできます。

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株式市場の現在の傾向としては、昨年11月から始まった日経平均の上昇局面にうまく乗り切れなかった銘柄群が、今になって一様に株価水準を切り上げています。背景には決算見通しの上方修正があります。

コロナ危機を警戒して今期の予想数値が低く見積もられ過ぎていた企業が、通常のペースまで決算数値を引き上げていることが主因です。株価の買われ過ぎ、売られ過ぎを測る際の基準となる分母の数字が引き上げられているため、投資尺度の面での過熱感が出にくい状況です。

しがたってここから株価がさらに上値を追いかけるには来期の見通しが重要になります。来期(2022年3月期)の業績がさらに上向いていくのか否か、それがここからは問われることになります。

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値上がり業種のチャート(日足、直近3か月)

(後略)

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鈴木一之