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2024年7月9日

トランプラリー始まる、TOPIXが最高値を更新、物色は大型株に集中

鈴木一之

鈴木一之です。今日は七夕。宇宙の果てに想いを馳せる日です。

猛烈な暑さが北半球を覆っています。日本も例外ではありません。梅雨明けもまだというのに気温は当たり前のように35度を上回っています。

昨年は日本も含めて、世界中で観測史上最も暑い年となりました。今年はそれをさらに上回ると予想されています。気象予報はきわめて的確ですでにこの暑さ、プールに入る子供たちは大喜びです。

コロナ明けから1年、世界経済は劇的な回復を遂げました。しかしそれを上回るペースで温暖化も進んでいます。国連は2030年には熱波によって全世界で8000万人分の労働力が失われると試算しています。地球の生態系は明らかに変調をきたしています。

水分をしっかり摂って、熱中症には十分にお気をつけてお過ごしください。

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ビッグニュースが飛び交っています。(1)トランプラリー、(2)TOPIXの史上最高値更新、日経平均の4万円大台回復、の順にお届けします。

(1)トランプラリー

選挙イヤーの今年。七夕の本日は東京都知事選の投開票日ですが、フランスでは注目の国民議会選の第2回目の投票が実施されます。

イギリスでは先週のうちに総選挙が実施され、与党の保守党が惨敗し労働党が14年ぶりに政権の座に返り咲きました。

しかし世界の関心はこの1週間、米大統領選の行方に集中しています。6月27日に第1回目のテレビ討論会が実施されて以来、激震が続いています。

大統領として史上最高齢のバイデン大統領は、今回のテレビ討論会で吹き荒れる高齢批判を明確に否定する必要がありましたが、出来栄えはあまりにひどいものでした。

全米メディアによる世論調査はほとんどすべて、共和党のトランプ前大統領が優勢という結果をもたらしています。これまでバイデン政権の強力な支持層だった若い世代の支持率が低下していると言われます。

政治の世界は「一寸先は闇」とされますが、まさにその通りです。テレビ討論会からの1週間、世界の株式市場において「トランプラリー」が激しさを増しています。

トランプ氏が大統領に返り咲けば、エネルギー、環境、通商、移民政策、医療保険、そして対ロシア、対中国などの外交戦略など、あらゆる領域で現在の政策が大きく変更されると見られます。

中でも防衛政策は予算配分の中心であり、NATOからの離脱を含め同盟国に対して防衛費のさらなる負担増が求められると見られます。日本も例外ではなく、三菱重工業(7011)、IHI(7013)、NEC(6701)、東京計器(7721)が週初から一斉に上昇を再開しました。

バイデン大統領は先週を通じて、民主党内で高まる「バイデン降ろし」に反論し、大統領選を続けるとはっきりと主張しています。が、今のところ逆風は収まる気配が見えません。

副大統領のカマラ・ハリス氏もバイデン氏以上に不人気ときています。7月の共和党大会に続いて、8月には民主党大会が開かれます。その頃にどのような流れになっているのか、現時点では一段と予想がむずかしくなってきました。

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(2)TOPIXの史上最高値更新、日経平均の4万円回復

TOPIXの史上最高値を更新しました。日本の株式市場も徐々に勢いを取り戻しつつあります。

すでに1週間以上も前から上昇の胎動は始まっていたように思います。TOPIXーコア30やTOPIXーSmall(小型株指数)、JPX日経インデックス400などがいち早く算出来の高値を更新しており、遅れてTOPIXも最高値を更新するに至りました。

象徴的だったのが、6月27日(金)の三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)の株価が1日で+4%も上昇したことです。1日の値幅としては記憶にないほどの上昇幅であり、株式市場に流れ込む資金の勢いに変化が出てきたことを象徴しています。

週が明けてからは日替わりメニューのように、物色対象が移り替わりました。7月1日(月)は好決算を受けての高島屋(8233)、それと川崎汽船(9107)に代表される海運株が急伸しました。

翌7月2日(火)からは三菱重工業(7011)など上記の防衛関連株が連日のように買われ、合わせて伊藤忠(8001)、丸紅(8002)の総合商社もいきなり動意づきました。

7月3日(水)になると今度はTDK(6762)、村田製作所(6981)の電子部品株が人気づき、7月4日(木)には住友金属鉱山(5713)、日本製鉄(5401)の非鉄、鉄鋼株。そして7月5日(金)はリクルートHD(6098)、メルカリ(4835)、KOKUSAI(6525)などの新しい銘柄群です。

絵にかいたような循環物色です。日本の主だった産業のトップ級が次々と短期・集中的に物色されており、目まぐるしい動きが強まっています。このような買い注文を入れるのは間違いなく外国人投資家ですが、激しい循環物色がすでに始まっています。

そのような巨大なスポンサーを得て、TOPIXはバブル時に記録した史上最高値を34年7か月ぶりに更新し、日経平均も4万円の大台を回復したのです。

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日経平均が3月末に史上最高値を更新した時と、現在のTOPIX最高値との違いは明らかです。

3月末の時はそれこそ半導体関連株の上昇パワーだけで駆け上がったようなものですが、それに対して今回のTOPIXの最高値更新は非常に幅広いセクター、銘柄が高値トライに参戦しているところが特徴です。

目下のところ、物色の範囲が広がっているわけではありません。パナソニック(6752)、シャープ(6753)、資生堂(4911)、オリエンタルランド(4661)、シスメックス(6869)、JR3社のように、今回の上昇気流に乗れない銘柄はいつまで待っても動きません。総花的な全面高でなく、きちんと銘柄は選別されているのです。

現在の株式市場において、この点が最大の問題です。今のいま活躍している銘柄はよいとして、現時点で上昇気流に乗れない銘柄がいつか上昇するのか、あるいは当分の間は来ないのか、その点が今後の株式市場において問われ続けることになりそうです。

先駆例はNY市場です。NYダウ工業株やナスダックはいち早く史上最高値を更新していますが、NYダウ採用銘柄の中にもインテル、ベライゾン、ダウ、スリーエムのように、上昇から取り残されてしまった銘柄も数多くあります。

米国市場が先鞭をつけたように、上昇力の強い銘柄とそうでない銘柄の格差が一段と開いてゆく相場、それが日本でも始まっていると見るべきでしょう。アクティブ投信に代表される投資資金の多くは、上昇基調のはっきりとした銘柄に一段と集中することになるはずです。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが続伸しました。2週連続で上昇したのは2か月ぶりのことです。TOPIXの週間の上昇幅は+2.65%に達しました。

規模別指数では、大型株が前週に続いて+3.39と大きく上昇しました。小型株指数は▲0.15%と反落しており、大型株への物色の集中が一段と強まっています。中型株指数の上昇率は+1.62%でした。

スタイル別では、大型バリュー株が+2.64%、大型グロース株が+2.67%と、グロースかバリューかを問わずどちらもそろって大きく上昇しています。小型バリュー株は▲0.44%、小型グロース株は+0.15%と、いずれも小さな値動きにとどまっています。

騰落レシオは、7月4日(木)に129.28%まで上昇しており、2023年9月第1週以来の高水準に達しました。週末は114.22%で引けました。日経平均のサイコロジカルラインは水曜日から木曜日にかけて「10」まで高まった後、週末は「9」で引けました。

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TOPIX-17業種のうち、値上がりセクターは16業種に広がり、値下がりしたセクターは「電力・ガス」の1業種にとどまりました。

値上がり上位のセクターは「機械」、「金融(除く銀行)」、「商社・卸売」です。

「機械」では三菱重工業(7011)、IHI(7013)の防衛関連株に人気が集まり、そこから出遅れいていたコマツ(6301)、SMC(6273)、オークマ(6103)にも買い人気が広がりました。

「金融(除く銀行)」は前週に続いて2週連続で値上がり上位にランクインしました。物色の中心である損保各社は引き続き高止まりしており、加えて第一生命HD(8750)、T&Dホールディングス(8795)の生命保険株が大きく買われています。

先週はさほど金利動向はマーケットでは議論されませんでしたが、市場心理の奥底に貫かれています。金利の上昇基調が続くと見て、運用実績の高まる生保株が選好されている模様です。

「商社・卸売」では伊藤忠(8001)、豊田通商(8015)、住友商事(8053)、三菱商事(8058)などの総合商社、岩谷産業(8088)、稲畑産業(8098)、長瀬産業(8012)の専門商社が上昇しています。

反対に値下がりしたセクターは「電力・ガス」の1業種だけでした。北海道電力(9509)は6月後半は下げ基調が目立っており、6月相場以降は直近までで上げ下げの日数は4勝20敗となっています。

上昇の小さかった「食品」セクターでは、山崎製パン(2212)、日本たばこ産業(2914)、キリンHD(2503)、アサヒGHD(2502)など6月/12月決算銘柄の権利落ちの影響が大きいように見えます。

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市場全体を通じて言えることですが、先週はインフレ関連銘柄が業種を超えて上昇が継続しています。商社、海運、石油元売り、非鉄、鉄鋼、生損保、リースなどがそれです。

米国や欧州の大きな選挙結果を見るにつけ、大衆迎合的な政策が講じられる可能性が高まっています。各国の財政赤字は拡大しやすく、金利は上昇、インフレ再燃の恐れが出ているということになります。

日本でも5月でいったん打ち切られた電気代・ガス代の補助が8-10月には再開されることになりました。燃料代への補助も年内いっぱいは続けられます。これも所得減税に続いて大衆迎合的な政策の代表格と言えるでしょう。

先週の特徴的な動きをもうひとつ。ソフトバンクグループ(9984)が

(後略)

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鈴木一之