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2022年2月8日
メタショック、グロース株の反発が試される、バリュー株は堅調を維持
◎日経平均(4日大引):27,439.99(+198.68、+0.73%)
◎NYダウ(4日終値):35,089.74(▲21.42、▲0.06%)
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鈴木一之です。2月相場がスタートしました。節分、立春、中華圏では春節(旧正月)。受験生の皆さんにとっては本番目前でとても緊張する時期です。寒さの厳しい季節でもありますが、北京五輪が開幕しました。日脚も伸びて、春の訪れはもうすぐです。
先週の株式市場も週末にかけて波乱の展開が待ち受けていました。旧フェイスブック、メタの決算発表をきっかけにグロース株が再び大きく乱高下しました。物価の上昇を抑えるため、米国の金融政策は出口戦略を急いでおり、その影響が株式市場にも随所に見られます。
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先週までの大きな懸念材料であった(1)オミクロンの感染拡大による医療体制のひっ迫懸念、(2)米国の緩和策終了、インフレ高進による利上げ催促、(3)ウクライナ情勢の緊迫化、ロシアの軍事侵攻リスク、(4)それに伴う資源エネルギー価格の高騰。
これらの要因に関してはこの一週間、新たな進展は見られませんでした。2月4日(金)には北京五輪が開幕し、プーチン大統領と習近平国家主席は世界に向けて親密さをアピールしていました。
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1月最終週に行われた米国のFOMCでは、利上げモードが全開となったタカ派的な内容があらためて確認されました。政策金利の引き上げは「年4回」からいまや「年5回以上」に変わりつつあります。
金利上昇が日を追って強まる中で、先々週の株式市場はグロース株を中心に株価が急落。日経平均は1月27日(木)に一時26,000円の大台割れ寸前まで下落しました。
それを受けて始まった2月最初の週は、それまでとは一転してグロース株が総じて戻り歩調に向かう安定したスタートとなりました。米国の10-12月期GDPは年率+6.9%の高成長と判り、米国経済は昨年末も順調に回復を続けていることが確認されました。それがかえって物価と金利を押し上げるとの警戒心も強まりました。
現在は「景気にとってよいニュースは市場にとって悪いニュース」がまかり通り、適温相場とは正反対の状況です。金利上昇からグロース株への売り圧力が強まるという警戒心が先週も拡がりました。そのような市場の恐怖心をなだめたのがアップルの好決算です。
先々週の末にアップルが発表した10-12月期の決算は売上高は+11%の伸び、純利益は+20%の346億ドルに達しました。「iPhone13」の売れ行きが好調で、半導体不足を克服して「iPhone」に限らず、「Mac」をはじめ高価格帯の製品が売れ行きを伸ばしています。サービス部門の音楽、動画配信は1年で3割近くも増えました。
株式市場はアップルの好決算を素直に好感し、それがグロース株全体に安心感をもたらしました。1月28日(金)から2月2日(水)まで、NYダウ、NASDAQはともに週をまたいで4日間の続伸を記録しました。バリュー株が多く組み込まれるNYダウと、グロース株が中心のNASDAQがそろって上昇するのはしばらく見られなった光景です。
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1月の動揺がようやく落ち着いてきたかと安堵しかけた矢先です。2月2日(水)にメタ(旧・フェイスブック)が10-12月期の決算を発表し、純利益は102億ドル(▲8%)と10期ぶりのマイナスに落ち込んだことが判明しました。ここからマーケットは再びグロース株、テクノロジー株に対して懐疑的なスタンスに戻ってしまったようです。
メタが発表した1-3月期の見通しは、売上高が前年比+3~11%の増加にとどまり、市場の多くのアナリスト予想を下回ることとなりました。収益の9割以上を占めるネット広告事業が失速しつつあることが主因とされています。
メタの株価は2月2日(水)のアフターマーケットで▲20%以上も急落し、2月3日(木)の東京株式市場では寄り付きからグロース株が一斉に売られるという大きな衝撃を与えました。
メタの株価自体は2月3日(木)の現地通常取引で▲26%も下落し、同社の時価雄額は▲2300億ドル(26兆円)も減少しました。1日で失った株式価値の大きさとしては、2020年9月に起こったアップルの▲1800億ドルを上回って過去最大になった、とブルームバーグは伝えています。
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メタの収益減退のきっかけとなったのは、アップルが導入した広告規制の影響です。アップルは昨年4月より「iPhone」や「Mac」でネットを閲覧する際に個人のプライバシーを保護する機能を強化しています。サイトを閲覧する際には、利用者が承認しない限り企業がアプリの利用状況を捕そくできないように規制がかけられています。
一部の調査によれば、アップルの採った今回の措置によって、昨年1年間でアップル製品の利用者の24%しか外部企業による閲覧履歴などの「情報の捕そく」ができなかったとされています。EUを中心に各国が巨大テック企業に対する規制を強化しており、同様の動きは今後も広がるものと見られています。
メタの主力サービスは「フェイスブック」を通じたターゲティング広告による広告収入で、アップルの規制によってターゲティング広告の配信効果は大きく低下しているとされています。結果としてフェイスブック以外に企業に広告出稿が流れてしまい、メタは2022年を通じて100億ドル、1兆円以上の売り上げ減につながるとしています。
メタのことですからさほど時間をかけずに新たな手を講じてくるでしょうが、政府や企業自体による規制強化の流れはあと戻りすることはないでしょう。スナップ(SNAP)、ロク(ROKU)、ショッピファイ(SHOP)、ブロック(SQ)、ピンタレスト(PINT)などのテクノロジー株が先週後半は一斉に下落しました。(金曜日にはこれらの銘柄は急反発しています)
ただしメタを除けば、それ以外の「GAFAM」、巨大テック企業はいずれも決算が好調です。すでに述べたアップル以外にも、マイクロソフトは10-12月期の純利益が187億ドル(+21%)に達し、アルファベット(グーグル)は206億ドル(+36%)、アマゾンも143億ドル(+98%)と驚くべき高収益を記録しています。
とりわけ先週は、決算シーズン終盤ということもあって、市場心理が極端にテクノロジー株の動向に過敏になりました。それでもこのところ株価上ではさえなかったアマゾンが好決算を発表し、それによって市場は少しでも安心感を取り戻した形となりました。
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先週の東京株式市場は、TOPIXが4週ぶりに反発しました。前の週の下落率が▲2.61%に達しており、その分を取り返すくらいの+2.86%の上昇を遂げました。
グロース株の戻りが大きく、大型株よりも小型株が上昇が目立ちました。前週までと反対の展開です。東証マザーズ指数も6週ぶりに反発しました。REIT指数は反落しました。
株価指数上では調整ムードが高まっていましたが、テクニカル指標はさほど低下しない状態が継続しています。日経平均のサイコロジカルラインは
(後略)