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2024年7月2日
上半期の最終週は静かに直近高値を更新、大型株が物色の中心に
鈴木一之です。先週は思わぬ株価上昇が実現しました。日経平均がするすると上昇して、あっという間に39,000円台後半に到達しています。
本日は6月30日(日)です。世界中がフランス国民議会選挙の第1回目の投票の行方を注目しています。
どの時点で選挙の結果が判明するのか、第2回目の投票まで大勢はわからないのか、フランスの選挙制度にはまるで疎いのですが、極右勢力の台頭ともなれば、これが理由で週明けからマーケットが波乱含みになることは十分に考えられます。
それでも3か月間にわたってまるで動きの取れなかった東京株式市場に、少しずつ明るさが見えてきたのは朗報です。すべてではありませんが、個々の銘柄にも躍動感が戻りつつあります。
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「選挙イヤー」と呼ばれるにふさわしい今年も、6か月が経過して早くも後半戦に入ります。フランスもさることながら、イギリスも下院選挙が迫っており、何と言っても米国の大統領選が佳境を迎えつつあります。
先週末には史上最も早いタイミングで、民主党のバイデン大統領と共和党のトランプ前大統領とによる第1回目のテレビ討論会が行われました。
バイデン氏は米国の経済状況を「世界で最も急速に成長している」と絶賛し、トランプ氏は現在の雇用拡大はすべて不法移民のためにあると非難しています。
討論会は電波を通じてリアルタイムで世界中に流れました。バイデン氏は言い間違え、言いよどみ、声のかすればかりが目立ち、精彩を欠いてひどい内容だったとの評価が下されています。民主党はバイデン氏を次期大統領候補に指名してよいかどうか、パニックに陥っていると報じたメディアもあります。
まだ討論会の回数は残されており、民主党の戦略立て直しの時間も十分にあります。それでも11月の米大統領選で「トランプ新大統領」が誕生する可能性がさらに強まったとの見方が優勢のようです。
仮にそうなった場合、米国の政策のかなりの部分が180度転換する可能性があります。通貨、エネルギー、環境、通商、移民、医療保険、予算配分、そして対ロシア、対中国、イスラエルなどの外交戦略。どの分野で影響が出てくるか、いち早くマーケットは動き出す可能性が出てきます。
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その為替市場では、円が続落しています。先週後半には一時161円20銭まで対ドルで売られ、4月末と5月初旬の介入時点の水準を下回りました。1986年12月以来、37年ぶりの円安・ドル高です。
6月27日に発表された米1-3月GDPが速報の1.3%から1.4%に上方修正され(前期比年率)、米国経済の強さから早期の利下げは難しいとの見方が強まったことがきっかけとされています。
ただし先週は、週末近くになって発表されたデータを待たずに、週初の段階から円はじり安基調を強めていました。
トランプ大統領が誕生した場合、「強いアメリカ」の再現を狙うトランプ氏の持論はドル高・円安です。バイデン政権下での現在のドル安を「大惨事」と評しています。一方でトランプ氏が掲げる財政拡張政策を実施するとインフレは再燃し、金利は上昇して円売りドル買いがさらに進みかねません。両面のリスクをはらんでいます。
市場内には、円買い介入を主導した神田真人財務官が退任し、後任に三村淳・国際局長が7月31日付で就任する人事異動が円安を招いているとの指摘もありました。
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政治面では日本でも、6月23日で通常国会が閉幕したこともあって、岸田首相に対する批判が自民党内から噴出しています。
前首相の菅義偉氏はネットメディアで、このままでは(次の衆院選で自民党が敗れ)政権交代につながることに危機感を示し、岸田首相は9月の総裁選に出馬せずに交代すべきだとの認識を示しました。
菅氏の発言は「(次の総裁選は)国民に刷新感をもってもらえるか」が大きいと述べたに過ぎません。これが首相退陣論にどこまでつながるのか、「ポスト岸田」への流れを作ることができるのか。
岸田首相は政治資金規正法改正を巡って距離が開いたとされる麻生副総裁との会合を頻繁に持っています。報道では、河野太郎・デジタル相が自民党総裁選への出馬の意欲をみせたともされています。
岸田政権の内閣支持率は20%台前半に低迷し、このままでは次の衆院選は戦えないとの声が自民党から噴出しています。目下のところ7月7日投票の東京都知事選の真っ最中ですが、水面下の動きは早くも活発しています。
フランス、イギリス、米国ほどドラマチックなものにはならないでしょうが、この秋をにらんだ政治の動きが日本でも急展開し始めました。
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先週の東京株式市場は、TOPIXが4週ぶりに反発しました。3週連続の下落は今年初めてだったので、そこからの反発です。
最初のうちは手がかりとなるような材料がほとんどなく不安定なスタートでしたが、月曜日に上昇を記録したところから買いが優勢になり、時間がさらに経つにつれて一段と上値を追いかける展開が強まりました。
TOPIXの週間の上昇幅は+3.12%に達し、最高値をつけた3月22日の週の+5.22%以来の上昇幅です。TOPIX-コア30指数やTOPIX-Small、JPX日経400指数は算出頼の高値を更新しています。
先週のこの欄には「日経平均はガチガチの膠着状態が続いています」と記したばかりでしたが、その翌週に過去3か月間の上値抵抗線を突破する展開となったわけです。
規模別指数では、大型株が+3.61%と大きく上昇し、中型株指数の+2.11%、小型株指数の+2.26%を上回りました。スタイル別でも大型バリュー株が+4.10%と最も上昇幅が目立っています。銀行株の上昇が効いています。
バリュー株でも小型株は+2.40%にとどまりました。グロース株は大型も小型も+2.2%程度の上昇です。バリュー株優位の展開が見られました。
騰落レシオは週末に119.97%まで上昇しています。日経平均が4万円の大台に乗せていた3月29日以来の高水準です。日経平均のサイコロジカルラインは「7」から「8」に水準を一段と切り上げました。週末は2月27日以来の「8」で引けています。
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TOPIX-17業種のうち、すべてのセクターが値上がりしました。中でも上昇の目立ったセクターは「銀行」、「金融(除く銀行)」、「自動車・輸送機」です。
銀行セクターは週末にかけて一段高となりました。メガバンクトップの三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)が大幅高となり年初来高値を更新しました。みずほフィナンシャルグループ(8411)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)がそのあとに続いています。
ドル円相場が介入水準を越えて161円台まで円安に進んだことから、日銀による利上げの実施が早まるとの観測が強まっています。これまでは銀行セクターが人気になる時は地銀株が先行しましたが、今回はメガバンクが主導して幅広く物色されています。
値上がりセクター第2位の「金融(除く銀行)」では、引き続き東京海上HD(8766)、MS&AD(8725)の損保株が優勢です。2026年からの自働車保険の保険料引き上げが強まったこと、金利上昇が資産運用を改善させることが買いの手掛かりとされています。
値上がりセクター第3位の「自動車・輸送機」は、久しぶりにトヨタ自動車(7203)が大きく上昇しました。ホンダ(7267)、スズキ(7269)も堅調ですが、円安を買い材料として素直に評価する動きと見られます。
三菱重工業(7011)やIHI(7013)など機械セクターに含まれる造船・重機の株価が堅調で、その流れから川崎重工(7012)も週を通じてしっかりしていました。
その一方で値上がり率の小さなセクターは「食品」、「電力・ガス」、「鉄鋼・非鉄」でした。
食品セクターは12月決算が多く含まれるため、JT(2914)、
(後略)