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2022年2月22日

北京五輪が幕を閉じ、ウクライナ危機が前面に出る、株価は3週ぶり反落

鈴木一之

◎日経平均(18日大引):27,122.07(▲110.80、▲0.41%)
◎NYダウ(18日終値):34,079.18(▲232.85、▲0.67%)

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鈴木一之です。マーケットは引き続き、ウクライナ情勢の緊迫化と物価の上昇圧力、それらを反映した金利動向にピリピリしています。先週のマーケットもその話題で持ちきりでした。

物価の上昇、厳密にいえば資源エネルギー価格の上昇はふたつの要因によってもたらされています。ひとつはコロナウイルスの拡大、もうひとつはウクライナ情勢の緊迫化です。
ウクライナ情勢に関しては、先週もロシアのプーチン大統領の動静に世界中が釘づけとなりました。ウクライナとの間で近々に戦争が始まるとの報道がメディアを通して連日のように伝えられています。そのたびに原油価格をはじめ、資源エネルギー価格が不安定な動きを示しています。

1週間前の2月11日(金)、米国のサリバン大統領補佐官はホワイトハウスでの記者会見で、「ロシアによるウクライナ侵攻はいつ行われてもおかしくない、北京五輪の開催中にも起こり得る」と発表し、ウクライナにいる米国人に対して退避するように呼びかけました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は「2月16日(水)」と日時を限定して、その日にロシアが軍事侵攻を開始すると発表して、この日を「国民統合の日」と位置づけウクライナ国民に団結を呼びかけました。国旗の色である水色と金色のリボンをつけるようにうながし、巨大なウクライナ国旗を持ってスタジアムを行進するウクライナの人々の姿が映像で世界に流れました。

ここまで同時多発的に現在進行形で、戦争開始の緊迫した瞬間に触れることもないように思いますが、一方で当事国のロシアもウクライナも、そしてアメリカも、お互いに相手がフェイクニュースを流していると非難し合っています。

2月15日(火)には、ウクライナとの国境からロシア軍の一部の部隊が撤収し始めたとのニュースが駆け巡りました。ロシア国防省も正式に部隊の撤退を発表し、それに関するビデオ映像も公開されました。これによって火曜日から水曜日にかけて、世界の株式市場が一斉に大きく上昇しました。誰もが平和的な幕引きを望んでいます。

しかし欧米首脳はこのロシア軍の動きに対しては最初から懐疑的で、ブリンケン国務長官は撤収とは反対に大規模な部隊がウクライナ国境に進行していると非難しました。ドイツのショルツ首相も、ロシア軍の撤退は確認されていない旨を明らかにしました。

楽観的なムードは1日だけで消え去り、2月17日(木)日本時間の昼過ぎに、ロシアの国営通信社「スプートニク」が、ウクライナ国境の親ロシア派武装勢力の支配地域で、ウクライナ軍が砲弾と手りゅう弾を発射した、と伝えました。そこから東京株式市場は急に下げ足を早め、この日の日経平均は▲227円で終わりました。

2月18日(金)にバイデン大統領は演説で「数日中にロシア軍はウクライナを攻撃する。プーチン大統領が決断したと確信する。そう信じる理由がある」と述べました。

2月19日(土)、G7外相会合がミュンヘンで急きょ開催され、ウクライナ国境でのロシアの軍備増強に対して「重大な懸念」を表明する、という共同声明が発表されました。その上でロシアがウクライナに軍事侵攻すれば「経済制裁を含めて甚大な結果を招く」との警告が発せられました。

プーチン大統領はこれに対して2月19日(土)に、弾道ミサイルを発射する軍事演習の開始を命令し、ウクライナへの軍事圧力は緩めないとの姿勢を示しました。どこからどこまでが事実なのか。本当に必要な情報はどれで、そうでない単なる話題に過ぎないニュースはどれか、という線引きが混乱しています。

そのような状況で2月20日(日)に北京オリンピックは閉会式を迎えます。2022年が始まって以来、週末のたびに大きく下落してきた米国の株式市場は、先週末も3日続落で終わりました。週明けは「プレジデントデー」の祝日で、市場には様子見ムードの強い週明けとなりそうです。

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もうひとつの物価押し上げ要因が新型コロナウイルスの感染状況です。日本では拡大拡大の第6波は、収まっているようで収まりません。

全国の新規陽性者数は2月18日(金)に87,633人となりました。2月中旬にピークをつけるとの予想は正しかったのですが、直近のピークだった2月5日の105,500人と比較すると減ってはいますが、減り方が鈍っています。

東京都の2月19日(土)の感染者数は1万3516人で、2週間ぶりに前の週の同じ曜日を上回りました。1日の亡くなった方の数は27人に達し今年最も多くの方がなくなっています。

先進国は3回目のワクチン接種を急ぎ、経済再開を急ピッチで進めています。オミクロン変異種の感染拡大はピークを越えつつあるとして、行動規制も相次いで緩和されています。

遅れて日本でも、12月から始めた海外からの全面的な入国禁止、評判の悪かった水際対策を3月1日よりビジネス目的、留学生、実習生に限って限定的に解除することとなりました。国際的な人流の遮断がようやく緩められることになります。

町中の人の流れは徐々に減っています(個人の主観です)。通勤・通学の電車は以前より混んでいるものの、繁華街の人の出入り、デパ地下の混み具合はやはり減っています。夜の盛り場はもう少し厳しい状況です。

オミクロン変異種は重症化リスクは小さい、と言われますが、それゆえに人々の行動抑制にはつながらず、感染がピークを打っても大幅な減少にはつながっていません。外食ビジネスは休業するところがじわじわ広がっています。

ウイルスに根本的に勝つことはできない以上、早くコロナウイルスを結核やコレラのような「2類」の特別なものではなく、ウイルス性肝炎や風疹、はしか(麻疹)のような「5類」の位置づけに変更するべきかもしれません。それが経済再開への近道のようにも思えてきます。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが3週ぶりに反落しました。金利上昇懸念に連動してバリュー株とグロース株との間で資金シフトが続いておりますが、それも循環物色の一巡感が徐々に見られるようになりました。

グロース株の下落は依然として厳しいものとなっています。東証マザーズ指数は▲8.57%の下げで3週ぶりに反落しました。大型グロース株にも下げが目立っています。

日経平均のサイコロジカルラインは前の週に昨年9月以来の「8」に達した後、再び「6」に低下しました。ちょうどニュートラルの状態です。騰落レシオは100%前後のところに貼りついており、株価指数が大幅安となっても循環物色が効いているせいか、値下がり銘柄の数は増えにくくなっているような状況です。

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TOPIX-17業種のセクター別の騰落では、値上がりセクターは8業種、値下がりセクターは9業種と拮抗しています。

値上がりセクターのトップは「食品」です。ディフェンシブ業種の代表格ですが、決算発表の直後からアサヒグループHD(2502)、

(後略)

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鈴木一之