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2020年1月1日
大納会は下落、日経平均は29年ぶりの高値で終了
鈴木一之です。明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
激動の2019年相場が大納会を迎えました。1年が本当にあっという間に過ぎました。
大納会の日経平均は23,656円62銭で引けました。前日比▲181円10銭のマイナスでした。年間では+18%の上昇となりました。
米国の金融政策が引き締めから緩和の方向に、劇的な変化を遂げたことが世界中の株価を押し上げました。株式市場の時価総額は2001年以降では最も大きく増加し、全世界合計で17兆ドル増えました。
ただし株式市場全体の売買代金は7年ぶりの低水準となりました。東証の時価総額の上位100社のうち、80社の時価総額が前年比で減少しています。米国による中国に対する制裁関税の影響で、株式の売買が年を通じて減少した結果と見られます。
この2年近くの間、米中間の貿易摩擦の激化に振り回されていますが、幸か不幸か、その米中摩擦が貿易量の鈍化を通じて世界経済の成長見通しを押し下げており、それが米国の劇的な金融政策の転換をもたらしています。
したがって2019年に起きた世界同時株高の状況は、言ってみれば、まったくの予想外、結果オーライとしてもたらされた、ということになりそうです。
投資家は昨年は「運がよかった」わけです。このような幸運は何年も続けてもたらされるわけではありません。2020年は一段と気を引き締めてのぞまなければなりません。
ただしそうは言っても、株価の上昇は金融政策ばかりに頼っていたわけでもありません。企業の自社株買いは大幅に増加しています。上場企業の配当金の増額(増配)と自社株買いの金額は、2019年度に概算で25兆円まで拡大しました。アベノミクスの7年間で10倍以上に増加しています。
この結果、発行済み株式総数が減少しており、上場企業の最終利益の総額の減少分(▲7%、今年度見通し)に対して、一株当たり利益の減少分は▲3%にとどまる見通しです。
利益総額の減少ほどには一株当たり利益は減少していない状況が見て取れます。金融政策に頼るだけの株価上昇と総括してしまっては、現在の株式市場の本質を見落としてしまいかねません。企業が独力で行っている構造改革を見過ごしてはならないのです。
来たる2020年。現在のゼロ金利に張りつくような金融政策はまだ当分は続きそうです。おそらく2025年になっても預金金利はほとんどゼロのままの状態でしょう。低温、低血圧社会はまだしばらくは続きます。
そのような日本の現状では、上場企業からの配当金の増加はまさに「干天の慈雨」となります。配当金を得ることによって金利収入の減少を補うという状況は揺るがないと見られます。
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大納会の東京市場は、TOPIXが続落しました。1日だけしか日数がないために、下落率は▲0.68%にとどまりました。
TOPIX-17業種のうち、すべてのセクターが値下がりしました。年末年始の休暇が比較的長いので手仕舞い売りが先行したと見られます。
最も値下がりしたセクターは、「電力・ガス」です。次いで「建設・資材」、「食品」、「銀行」などの内需・金融セクターの値下がりが目立ちました。
「機械」セクターも下落しています。これにはファナック(6954)、キーエンス(6861)、それに電機セクターからも安川電機(6506)の下げが目立ちました。
反対に値下がりの小さかったセクターには、「鉄鋼・非鉄」と「情報通信・サービス他」が上位に位置しています。
続いて上位には「小売」、「医薬品」が登場しました。「電機・精密」もまずまずの位置です。好決算の報じられたニトリHD(9843)、それに電子部品の村田製作所(6981、太陽誘電(6976)、あるいは日立製作所(6501)、アドバンテスト(6857)などが堅調を維持しています。
業種でとらえるのはむずかしいほど、大納会の東京市場は物色動向が広範囲に及びました。
好決算を好感したパイプドHD(3919)が急伸し、ダイセキ環境ソリューション(1712)、ダイビル(8806)、
(後略)