ブログ
2020年10月26日
大統領選まで1週間、マーケットは一段と見送り姿勢を強める
大統領選まで1週間、マーケットは一段と見送り姿勢を強める
◎日経平均(23日大引):23,516.59(+42.32、+0.18%)
◎NYダウ(23日終値):28,335.57(▲28.09、▲0.09%)
@@@@@
鈴木一之です。米国の大統領選まであと1週間ほどに迫りました。マーケットは一段と緊迫度を高めて
います。
かつてこれほどまで注目された大統領選があったでしょうか。ブッシュ対クリントン、ブッシュ対ゴア、ヒラリー対オバマ、ヒラリー対トランプ。
過去20年近くにわたって数々のドラマを生んできた世界最大の政治イベントですが、今回のトランプ対バイデンほど世界中の関心が集中する選挙もなかったように思います。
コロナ危機下における戦後最悪の経済環境で行われる選挙、ということもあります。トランプ氏の減税か、バイデン氏の増税か、経済修復の方法としてどのような選択を米国民は下すのか。まずはそれが重要です。
@@@@@
しかし問われているのは経済ばかりではありません。日本を含めた米国の同盟関係、対中国政策、国際貿易、「GAFAM」との距離、地球温暖化問題、北朝鮮の核開発、中東和平、社会格差への対処。米国の根っこに巣食う人種差別問題。
保守対リベラルの構図をはるかに超えて、世界中で起きているこの時代のありとあらゆる問題が、今回の大統領選で丸ごと問われています。正解が何ひとつ見えない状況で、米国の有権者がどのような意思表示を行うのか。それが重大な問題です。
どちらかの陣営が圧勝すればよいのですが、誰もそうなるとは考えておりません。大統領選の結果次第では、米国は南北戦争のような内戦に近い状態に陥るという物騒な予想まで飛びかっています。
世界中のマーケットで、大統領選の前にいったん保有しているポジションを解消する動きが広がっています。先週は米国の長期債が売られ(金利は上昇)、ドルも売られ、NY株式市場は堅調でしたが、日本ではマザーズ市場が急落し始めました。その分、割安なバリュー株に資金が流れています。
@@@@@
依然としてコロナウイルスは世界中で猛威を振るっています。米国では感染者数の累計が800万人を突破しました。フランスでは1日の新規の感染者数が4万人まで増加し、パリを中心に4週間の夜間外出禁止令が発動されました。イギリス、ドイツ、イタリア、スペインでも一部地域ではロックダウンが実施されています。
1年で最も活気づくクリスマス商戦が始まる前に、なんとしてでもコロナウイルスの拡大を抑えようという必死の努力が続けられています。しかし事態は日を追うごとに切迫の度合いを高めています。
唯一の希望であるワクチン開発に関しても、先週は一歩後退を余儀なくされました。アストラゼネカとオックスフォード大学によるワクチン開発の治験者から初の死亡例が報告されたそうです。
今年中にワクチンの配布を始めることができる、という当初のプランが遠ざかりつつあります。早くても来年春~半ばごろとの見方が主流になりつつあります。リモートワーク、店舗の無人レジ、スマホ決済など、非接触を前提とした生活がますます広がりつつあります。
そのような状況でマーケットでは、バリュー株が急速に復調し始めているという点が最大の特徴です。米国ではキャタピラーが170ドルに乗せ、2018年1月の史上最高値にほぼ並びました。
「バイデン・トレード」とでも言えばよいのでしょうか。第1回目のテレビ討論会があまりにおそまつな内容だったために、10月に入ると「バイデン勝利」を前提としたポジションの組み換えが株式市場ではじわじわと広がっています。
具体的には、医薬品株の下落です。日本では塩野義製薬(4507)の値動きが象徴的で、テレビ討論会の直後から下げピッチが速まりました。トランプ政権下で止められた「オバマケア」が復活し、それをさらに強化した「バイデンケア」を創設するという民主党の選挙公約を背景に、医薬品株は一貫して下落してきました。
それが今週で止まるのか。ひとつの分岐点に差しかかっています。
さらに自動車、および自動車部品株です。トランプ大統領が掲げる「MAGA」(米国第一主義)の旗印が引きずり降ろされることによって、自動車セクターが息を吹き返しつつあります。メキシコの工場を移設せずに済み、米国に向かって輸出できるのであれば、日本の自動車および自動車部品株にとっては朗報です。
バイデン候補の看板政策のひとつが環境分野への投資強化です。エコカーの開発を加速させることができ、工場をどこに置くのかという点に頭を悩ませなくて済むようになると、自動車業界の投資活動も動きやすくなります。
@@@@@
マネー誌「日経マネー」の最新号(2020年12月号)では、第2特集として「海外投資家が狙う優良日本株」を取り上げています。
https://www.nikkeibpm.co.jp/item/mon/639/saishin.html
日本株の行方は外国人投資家の動向がカギを握ります。海外投資家が好む日本株買いのストーリーの筆頭格は、「痛みを伴った改革」だそうです。
痛みを伴う改革が行われた時に日本株を買ってくる、というのが結露のようです。先週明らかになった、三菱重工業による国産ジェット開発計画の凍結などはその最初の萌芽になる可能性があります。
買われていたものが売られ、売られていたものが下げ止まり、新規の買いが向かいやすい状況になりつつあります。通常であればあと1週間ちょっとで最初の答えが出るはずです。あるいは長期戦になるのか否か。世界が息をひそめて見守っています。
@@@@@
先週の東京市場は、TOPIXが反発しました。10月は一進一退の状況が続いています。
物色動向は引き続き、それまでの小型成長株に傾いていた資金の流れが急速に変わりつつあります。大型株指数と中型株指数は反発する一方で、小型株指数はわずかにマイナス。東証マザーズ指数は▲5%近い大きな下落となっています。
グロース株指数も下落しており、反対にバリュー株指数は軒並み上昇しました。
セクター別の騰落では、TOPIX-17業種のうち、10業種が値上がりし、7業種が値下がりしました。
最近は、上昇する時はすべてのセクターが上昇し、反対に値下がりする時はすべてのセクターが下落するという展開が続いていました。それが先週は上昇セクターと下落セクターがはっきりと分かれました。
値上がり率のトップは「鉄鋼・非鉄」で、それに続くのが「自動車・輸送機」です。すでに述べましたが、先週は自動車セクターの周辺が久しぶりに人気となっており、自動車のボディ用鋼板で多用される鉄鋼セクターにも物色が広がりました。
このほかにも「機械」や「素材・化学」が堅調で、景気動向に連動するセクターが久しぶりに値上がり上位に戻ってきました。
反対に値下がり上位のセクターは、「食品」がワーストです。巣ごもり消費で人気となっていた小麦粉やドレッシング。ヨーグルト、カップ麺などの食品株に軟調な銘柄が目立つようになりました。
軟調な「小売」セクターでも、これまで人気だったスーパーやドラッグストアが下げて、鳥貴族や串カツ田中、百貨店株が上昇しています。ただし「運輸・物流」では鉄道各社にまだ軟調な値動きが続いています。
10月に入ってずっと軟調だった「医薬品」セクターもまだ下落していますが、下げ幅が小さくなってきました。米国の大統領選に関する売り圧力も徐々に一巡してくる時期と考えられます。
政策に大きく左右される業種だけにすぐに買えるというものでもありませんが、反転のタイミングはかなり近づいているようにも見えます。
@@@@@
運動不足の解消に散歩することを心がけているのですが、街を歩いていて思うことは、リフォームや建て替えを行っている家が急に増えたという点です。外出を控えて家にいる時間が長いので、日ごろの生活をイチから見直して「衣・食・住」にあらためて思いを巡らせる方が多いのでしょうか。
このまま今の場所に住み続けるか、どこか別の場所に引っ越すか、田舎暮らしを始めるか、住み続けるならリフォームしようか、メンテナンスの塗装工事をお願いしようか、息子さんご夫婦と同居しようか、在宅ワークのために部屋を増築しようか、などなど。
住まい方、暮らし方を見つめ直す機会があちこちで増えているように感じます。住宅建材メーカーや足場、塗料、サッシ、ガラス、エクステリア全般や建機、セメント、園芸用品の需要が増えているのもよくわかるような気がします。
@@@@@
ネクソン(3659)は完全にノーマークでした。日本経済新聞社はファミリーマートを日経平均採用銘柄から除外して、代わりに
(後略)