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2025年1月21日
年明け第2週も軟調、金利上昇と円高で日経平均は週足続落
鈴木一之です。年が改まって2週間が経過しました。株式市場は依然として軟調な動きを続けています。
トランプ新大統領の就任式を目前に控え、実際にはまだ何も新しい動きが出ていないというのが市場参加者の実感です。これから何が起こるのかわからない、不安定な状況が極まる状況です。
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先週は大学ラグビーで帝京大学が4年連続の日本一を飾り、大相撲初場所で横綱照ノ富士が引退するという1週間でした。日経平均は1勝4敗、前の週に続いて1週間で1日しか上昇しないという軟調さでした。
トランプ次期大統領は就任式の直後から大統領令を150本発すると公言しており、その影響を世界中のマーケットが警戒しています。
インフレの高進を警戒して米国では長期金利が上昇し、10年国債利回りは週前半に4.8%台まで高まりました。しかしそのわりに株価は堅調で、S&P500はじわじわと史上最高値に接近しています。イギリスやドイツや高値を更新しました。
「米国第一」の4年間のスタートは米国にとって待ち焦がれた4年間のようにも見えます。バイデン大統領の4年間は後世にはどのように記憶されるのでしょうか。
米国の企業業績は好調です。10-12月期の決算発表がすでに大手金融機関から始まっていますが、ゴールドマン・サックスは利益が倍増、JPモルガン・チェースやウェルズ・ファーゴも5割増益となりました。
週後半の話題は「TikTok」規制法を巡る最高裁の判決でした。最高裁が新法を合憲と認めたことから、今のままでは「TikTok」は米国でのサービスを停止せざるを得ない状況です。米国人の2人に1人が利用しているサービスが停止されるのか。トランプ大統領の就任直後の判断が問われます。
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日本サイドにも動きがありました。今週末に開かれる日銀の金融政策決定会合において、政策金利を引き上げるとの観測が急速に強まりました。
きっかけは日銀の氷見野副総裁の発言です。3連休明けの1月14日に講演を行い、その後の記者会見において、今年の賃上げに対して「昨年に続いて強い結果が期待できる」と述べたことです。
利上げの条件として賃上げの状況を重視する日銀からのコメントとしては、十分すぎるほどのタカ派的な内容です。日銀が利上げに前向きな様子が市場に一気に浸透し、日本の10年国債金利は週半ばに、アベノミクス前の水準である1.25%まで上昇しています。
これによって先週までのドル高・円安が反転。円は155円台半ばまで上昇しています。金利上昇と円高がダブルパンチとなって、東京株式市場では週を通じて軟調な動きとなりました。
米国は「トランプ2.0」の減税と規制緩和を評価して株高の方向に向かい始めており、そればかりかトランプ政権と対峙する形の欧州市場でも株高が観測される状況にあって、日本だけがいまだ軟調な動きを余儀なくされています。
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中国からも動きが見られました。金曜日(1月17日)に昨年10-12月の実質GDPが発表され、前年比+5.4%となりました。市場の予想は+4.9%でしたので、事前予想を上回ったことから日本でも機械セクターを中心に景気敏感株が上昇しました。
これで2024年の中国の実質GDPは前年比+5.0%となり、前年の+5.2%からは減速しましたが、政府目標である「5%前後の伸び」はなんとか達成することができました。
合わせて発表された2024年の工業生産高も前年比+5.8%の増加でした。EVなど新エネルギー車は+39%も増加しています。固定資産投資などまだ弱い動きは見られますが、株価がプラス方向に反応したことを見ても、中国景気の評価は最悪の状況をどこかで織り込み始めているように感じられます。
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先週の東京株式市場は、TOPIXは3週連続で下落しました。下落率は前の週の▲2.54%に対して先週は▲1.28%にわずかですが縮小しました。
規模別では大型株指数が▲1.46%、小型株指数は▲1.06%と同じような下げ幅となっています。ただしグロース市場は軟調で、東証グロース250指数は▲2.93%と目立って下落しています。
スタイル別の株価指数では、大型グロース株が▲1.64%の下げに対して、大型バリュー株は▲0.97%の下げにとどまりました。金利上昇を背景にグロース株の弱さが目につきます。
騰落レシオは1月14日に82.33%まで低下し、週末も84.11%まで下げました。80%台まで低下したのは昨年11月第3週以来のことです。日経平均のサイコロジカルラインは「4」に下がりました。
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TOPIX-17業種の騰落は、値上がりセクターは3業種にとどまり、その一方で値下がりセクターは14業種に広がっています。軟調な地合いが継続しています。
値上がり上位のセクターは「エネルギー資源」、「金融(除く銀行)」、「銀行」でした。金利上昇を背景に銀行株は4週連続で上昇しています。
エネルギー資源は原油価格が年末から大きく上昇しており、それにつれてENEOSホールディングス(5020)、コスモエネルギーHD(5021)などの石油元売り各社が堅調でした。ただし株価はまだ小幅反発の域を出ておらず、上昇トレンドを描いているとは言い切れません。
「金融(除く銀行)」では野村ホールディングス(8604)、SOMPOホールディングス(8630)をはじめ金融セクターが幅広く上昇しました。米国の銀行セクターの好決算に刺激されていると見られます。
金利上昇に連動しやすい「銀行」では、みずほフィナンシャルグループ(8411)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)のメガバンクをはじめ、いよぎん(5830)、しずぎん(5831)、西日本FH(7189)、スルガ銀(8358)、滋賀銀(8366)が堅調です。
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反対に値下がりセクターでは「自動車・輸送機」、「食品」、「運輸・物流」が軟調でした。
「自動車・輸送機」は3週連続の下落です。トヨタ自動車(7203)を筆頭に、豊田自動織機(6201)、デンソー(6902)、アイシン(7259)、ホンダ(7267)、NOK(7240)が総じて軟調でした。
関税引き上げを公言する「トランプ2.0」が近づいてきたこと、為替市場で円高が進行していることがダブルで重石となりました。
「食品」セクターの中から大きく下落する銘柄が目立っています。味の素(2802)、JT(2914)、日清製粉(2002)、森永製菓(2201)、日清オイリオ(2602)などの主力銘柄が軒並み大きく下落しました。
「運輸・物流」ではJR九州(9142)、
(後略)