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2020年2月12日

新型ウイルス禍の不安を経済対策への期待で挽回

鈴木一之

2020年2月9日(日)18:41記

 

【鈴木一之の負けない株式投資】新型ウイルス禍の不安を経済対策への期待で挽回

 

◎日経平均(7日大引):23,827.98(▲45.61、▲0.19%)

◎NYダウ(7日終値):29,102.51(▲277.26、▲0.94%)

 

 

鈴木一之です。2月相場が始まりました。世界経済はウイルスとの戦いに翻弄されています。

 

見えない敵とは本当に怖いもので、恐怖心が世の中を支配します。感染リスクもさることながら、ウイルス蔓延による経済へのダメージが心配です。

 

冷静に考えれば、死に至る感染症がパンデミックを引き起こすかもしれないという時に、株価や経済の影響を心配しているのはどこかおかしいような気もします。逆にそれだけ現在はまだ安全、というべきなのでしょうか。

 

年明け早々からイランに対する米国からの紛争ぼっ発リスクと、米中貿易協議の合意に翻弄されてきました。それらがようやく落ち着いたと思った矢先のことです。政治の世界であればまだなんとかなりますが、もはや人間の力ではコントロールできない世界に突入しています。

 

中国・武漢市の当局は1月3日から1月16日まで、ウイルス感染の事実を正式には認めていませんでした。それを認めた1月17日を境に事態は一変しました。

 

1月23日に武漢の公共交通機関が運行を停止し、1100万人都市・武漢の街全体が封鎖されました。1月26日には中国政府が春節による団体の海外旅行を一切禁止し、ここに至って事態の深刻さを世界が認識したという次第です。

 

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先週は休場中だった上海株式市場での取引が月曜日から再開され、いきなり▲7%程の下落でスタートしました。下げ幅としては大きいのですが、休場している間に海外市場で取引されていた中国関連ETFの下落幅とほぼ同じ程度にとどまったことで、そこから逆に安心感が広がりました。

 

中国政府も新型ウイルスによる経済の落ち込みに対して、金融緩和や他の経済対策を講じている様子です。香港、台湾市場の下落も比較的軽微にとどまったため、東京市場も大きく売られることはありませんでした。

 

中国政府の発表によれば、2月9日時点における中国国内での感染者の数は3万7198人。志望者数は811人です。これで2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の世界全体の死亡者数、774人を超えました。

 

ただ患者数は2月9日の1日で+2656人増えており、これまでの5日間は+3000人ずつ増えていたのと比べて減少しつつあります。まったく予断は許されませんが、習近平・国家主席が陣頭に立って初動体制の不備を認め、現在は「防疫対策を徹底せよ」と大号令をかけていることが功を奏しているようにも見えます。

 

経済活動への影響は確実に広がっています。武漢に工場を持つホンダは、工場再開の時期を当初の2月14日の計画から、最短で2月下旬まで延期する見通しです。2019年4月より生産を開始したホンダの武漢工場は、生産能力が年間60万台で、中国における同社の生産台数の半分を占めています。それだけ影響は大きいと言えます。

 

また、鴻海精密工業の傘下にあるフォックスコン(富士康科技集団)が、深センにある生産工場の春節明けの再開を、当初の2月10日から延期する方針を固めたそうです。フォックスコンはアップルの「iPhone」の世界最大の組み立て工場で、それだけに「iPhone」の生産計画に狂いが生じる可能性が出ています。

 

小売企業の1月の月次売上の速報値も徐々に発表されています。

 

ファーストリテイリング(9983):▲7.9%(前年比)

(後略)

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鈴木一之