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2024年7月16日

日米ともに株価は史上最高値を更新、米6月CPIの結果で波乱含み続くか

鈴木一之

鈴木一之です。7月13日(土)、トランプ前大統領がペンシルバニア州の演説会場で狙撃されました。集会に参加していた聴衆が1名、死亡したと伝えています。

日本は月曜日の市場は祝日で休場ですが、波乱の週が幕を開けようとしています。

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日米ともに株価は上昇しています。上昇どころか先週はTOPIXに続いて、日経平均も史上最高値を更新しました。ナスダックは6月、7月とそれぞれ7日続伸して最高値を更新しています。NYダウ工業も終値で4万ドルに乗せました。

株式市場は高値圏で激しい値動きを続けています。日経平均は週を通じて大幅高を演じ、とうとう42,000円の最高値に到達しました。しかし週末には▲1,033円の大幅安となり、今年最大の下げ幅を記録しています。

1ドル=161円台から157円台までの急激な円高が下げの主因とされています。米国では6月CPIの発表を機に長期金利の低下が鮮明となっています。相場全体の論点が目まぐるしく、かつ大きく変化しつつあります。

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先週もその前週に続いて、バイデン大統領の大統領職への資質が問われました。ワシントンでは創設75周年を迎えたNATO首脳会議が開催され、ウクライナに対する7兆円の軍事支援が合意されたばかりです。

その式典でバイデン大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領を「プーチン大統領」と間違えて紹介しました。その前の記者会見でも、ハリス副大統領を「トランプ副大統領」と言い間違えました。

民主党の重鎮がバイデン大統領を候補者から外す方向で動いているようで、ペロシ元下院議長やオバマ元大統領もバイデン氏に対して不支持を表明し始めていると報じられています。それでもバイデン大統領は大統領選への撤退は改めて否定しています。

政治のリーダーの資質がどれほど問われようとも、株価の上げ下げには実際のところあまり関係ないということでしょうか。東京都知事選が終わったばかりの日本の政治状況も、実は米国の現状とよく似ているところがあるように思います。

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その一方で経済の状況は大きく変化しています。注目された米国の6月CPIが7月11日(木)に発表され、予想の+3.1%に対して+3.0%にとどまりました。米国ではすかさず利下げ観測が強まっています。

問題となったのはCPIの発表以上に、その後の為替市場の動きです。CPI発表前に161円台半ばだったドル円相場は、30分足らずで157円半ばまで一気に円高が進みました。米国の金利低下観測が背景にありますが、市場では政府・日銀による為替介入の観測も高まっています。

7月12日夜にも円は急伸しており、ユーロに対するレートチェックが行われたことと合わせて、連日での為替介入があったとされています。

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CPIの発表に先立って、7月9日にはパウエル議長による議会証言が行われました。そこでパウエル議長は「インフレ率の低下と雇用情勢の減速を考慮すれば、インフレだけがリスクではない」と言及しました。

インフレに対する警戒よりも、利下げが遅れることによる景気の悪化を懸念していると市場は受け止め、それが9月利下げ説を強める結果となっています。米10年国債金利は4.1%台まで低下しました。

米国ではナスダックが堅調な値動きを続けているものの、半導体関連株は高値圏で乱高下しています。金利低下よりも景気減速に反応し始めている模様です。

それとともに半導体株を除いたグロース株への物色のシフトも始まっており、市場は一段と複雑な様相を呈してきました。

金曜日の東京市場で日経平均の下落幅は▲1,000円を越えましたが、下げは半導体関連株などごく一部の銘柄にほぼ限定されました。東証プライム市場の値上がり銘柄の数は1,200銘柄を上回っています(値下がり銘柄数は350銘柄ほどです)。

火曜日から木曜日まで、日経平均は3日連続して史上最高値を更新していたために、その反動が出やすくなっているのも事実です。逆にこれまで徹底的に売り込まれていた小型成長株は急反発するように、物色の流れも変わりつつあります。

まさに「天底逆転」です。過去に何度となく見られた天井形成のパターンです。三菱重工(7011)や東京海上HD(8766)などの大型バリュー株から、Sansan(4443)に代表される小型成長株に物色が入れ替わるのか。ここからは相場の変化を気をつけて見る必要があります。

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先週の東京株式市場では、TOPIXが3週連続で上昇しました。週間での上昇幅は+0.36%にとどまりましたが、これは週末の下げが大きかったことが影響しています。

規模別指数では、前の週と正反対で大型株だけが軟調となり、中小型株が上昇しました。大型株は前の週に+3.39と大幅上昇したあと、先週は▲0.01%の反落となりました。逆に小型株指数は+1.14%の上昇を示しています(前週は▲0.15%)。中型株指数も+1.11%の上昇でした。

スタイル別では、バリュー株が▲0.37%だったのに対して、グロース株は+1.14%と反発しました。小型グロース株は+1.51%で、大型バリュー株の▲0.47%とは対照的な動きです。

騰落レシオは、週末に123.79%まで上昇しました。過熱圏の120%を週末値で超えています。先週末は114.22%でした。日経平均のサイコロジカルラインは「8」にとどまっています。

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TOPIX-17業種のうち、値上がりセクターは8業種、値下がりセクターは9業種と拮抗しています。

値上がり上位のセクターは「医薬品」、「食品」、「建設・資材」の出遅れセクターです。

中でも「医薬品」は武田薬品工業(4502)、アステラス製薬(4503)に始まり、第一三共(4568)、参天製薬(4536)、エーザイ(4523)、塩野義製薬(4507)などが全面的に上昇しています。

同様に「食品」でも味の素(2802)、明治HD(2269)、不二製油(2607)、キリンHD(2503)まで幅広く物色されました。値上がり第3位の「建設・資材」でも大林組(1802)、積水ハウス(1928)、西松建設(1820)をはじめ幅広く上昇しました。

先々週から始まった出遅れセクターへの循環物色がいまだに続いていると見られます。

反対に値下がりセクターの上位には「銀行」、「機械」、「エネルギー資源」という、前週まで活躍していた銘柄やセクターが並びました。

銀行セクターでは、地銀株は引き続きしっかりしているものの、米国での金利低下観測を背景に三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)などのメガバンクがそろって軟調です。

「機械」も同様で、それまで物色の中心だったディスコ(6146)、三菱重工(7011)が先駆した分だけ軟化しました。短期的な日柄・値幅調整は避けられないと市場では見ている様子です。

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日米そろっての株高に合わせて、日米そろって決算発表が始まりました。慎重な見方が多かったので株価は調整色を強めてきました。ここからの業績の上方修正に期待が寄せられています。

事前の見通しがむずかしくなっているのは、企業によってコストがかなり上昇している点です。牛丼の吉野家HD(9861)も売上高は+7%増えたものの、営業利益は▲39%の減少となりました。人件費の増加が響いています。

ドラッグストアのウエルシアHD(3141)の3-5月期の決算は、売上高は+2%の3047億円だったものの、営業利益は▲26%の54億円でした。

小売ではありませんが、ソフトウェア検証のSHIFT(3697)の第3四半期の決算も、売上高は+28%も増えていますが、営業利益は▲14%も減っています。人材採用を強化している点が響きました。

対照的なのは良品計画(7453)です。2024年8月・通期の売上高は

(後略)

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鈴木一之