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2023年11月21日

日米ともに3週連続で株価は上昇、日経平均は今年の最高値に迫る

鈴木一之

鈴木一之です。立冬を過ぎるとさすがに寒くなりますね。インフルエンザが猛威をふるっています。年末がすぐそこに迫り、急に気ぜわしくなってきたようにも感じます。

株式市場も動きが活発になってきました。国際政治、経済にも大きな動きが相次いでいます。

今年の株式市場はむずかしい局面の連続だったように感じますが、日経平均は6~7月の年初来高値まであとわずかという地点に到達しました。あと一息です。

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先週の新しい動きは、何と言っても米中首脳会談に尽きると思います。1年ぶりのことです。

イスラエルの軍事作戦は解決の糸口がまるで見えない状況です。米国は図らずも「3正面作戦(ロシア、中国、中東)」を強いられている状況で、少なくともそのうちのひとつに対して打開の糸口を模索しているようです。

米中関係は昨年8月に当時のペロシ下院議長が台湾を訪問したことが発端で、直接的な対話が閉ざされました。中国はロシアへ接近する姿勢を強め、反対に米国は中国に対して先端半導体の輸出規制を強化してきました。

日本にも原発事故の処理水放出を機に、日本産海産物の不買行動を強めるなど、中国は強硬姿勢を打ち出しています。現時点では雪解けの気配すら見えません。自国の経済が不振を極める状況は脇に置いてまで、国際政治へのプレゼンスを一段と高めています。

台湾とウクライナが喫緊の課題となるなかで、その米中のトップが1年ぶりに4時間もひざ詰めで密室での会談を行いました。今回のミーティングで両国がいきなり和解に向かうとも考えられませんが、これからは両国の国防相、司令官レベルによる意思の疎通を図ってゆくことが確認されました。

何かしらの転機を迎えたことも事実です。直接的な衝突を回避する枠組みが醸成されつつあります。

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米中関係以上に「3週連続の株高」の好環境を生み出したのは、やはり米国の金利動向です。

11月14日(火)に10月の米CPI(消費者物価指数)が発表され、伸び率は総合で前月比横ばい、コア指数で+0.2%となりました。いずれも事前の市場予想を下回り、発表直後に米国の10年物国債利回りは4.4%台へ▲0.2%も低下しました。1か月半ぶりの低い水準です。

10月のCPIは前年比では+3.2%の上昇で、エネルギーと食品を除くコア指数は+4.0%です。ともに市場の事前予想を下回りました。

CPIを構成する品目の大半が低下する兆しを見せており、米国の金融政策は12月以降の利上げ観測が急速に遠のいているとの見方が増えています。先物市場が示すFRBによる追加利上げの予想確率は、一気に「ほぼゼロ」の水準にまで低下しました。

為替市場では33年ぶりというドル高の基調が続いていましたが、CPIの発表直後からドルは対円で下落し1ドル=150円10銭台まで、円は1円50銭も上昇、ドルは下落しました。

そこに原油価格の下落が重なります。NY原油市場では週後半にWTI先物価格が72.9ドルまで下落して、4か月ぶりの低い水準となりました。米国の景気減速が不安視されて原油の需要が弱まるとの見方が前面に出ています。

以前として、景気が強いことが市場にとってよいことなのか、あるいは景気が悪いことの方がよいのか、その日によって市場の評価が正反対に変わります。

同じ材料がプラスにもマイナスにも評価されるため、なかなか決め打ちはできません。それが現在のマーケットを支配する最も特徴的な動きとなっています。

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日本もまったく同じです。先週はマクロ経済と企業業績のふたつの指標がほぼ同時に発表されました。

11月15日(水)の朝に発表された7-9月期の実質GDPは、前期比▲0.5%、年率換算▲2.1%となりました。3四半期ぶりのマイナス成長で、事前のエコノミストの予想(年率▲0.5%程度)も下回りました。

個人消費が2四半期連続で前期比マイナスとなり、景気の足を引っ張っています。物価の上昇が著しく、生活防衛の意識が高まっていることが主因です。半導体の投資冷え込みの影響で設備投資も弱含んでいます。

しかしその一方で企業業績は好調です。中間決算が一巡したばかりですが、日本経済新聞の集計によれば上場企業の今・2024年3月通期の業績見通しは、連結ベースで純利益は43.4兆円(前期比+13%)となる見通しです。9月の+6%の見通しから伸び率が高まっています。

利益率も6%台まで高まっており、3年連続して史上最高益を更新することになります。生産性が高まっている様子がうかがえます。これは東証プライム市場に上場する3月期企業、1020社を集計したものです(11月14日時点)。

マクロ経済の不調に対して、個々の企業業績は好調を維持しています。これによって日経平均は、7月に記録した終値ベースの年初来高値(33,753円)、ザラ場ベースの高値(6月の33,772円)に接近しました。

ここから先は年初来高値をいつ更新するのか、という点に市場の関心が集まりそうです。それでも「物色の二極化」は一段と強まることになりそうな流れです。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが3週連続で上昇しました。週間の上昇率は+2.33%となり、前週の+0.62%から上昇率はさらに大きくなりました。

規模別指数では、3週続けて大型株の上昇が目立ちました。大型株は+2.83%とTOPIXの上昇を上回り、小型株も上昇していますが+0.82%にとどまっています。中型株は+1.60%でした。

スタイル別では、引き続きグロース株の上昇が目立っています。バリュー株もその後を急速に追いかけています。グロース株は+2.65%の上昇、バリュー株も+2.01%と堅調でした。日米そろってグロース株が優勢です。

騰落レシオは11月14日に100.06%を記録したのを最後に、そこからは100%を下回っています。週末は98.15%となりました。物色対象が徐々に絞り込まれています。日経平均のサイコロジカルラインは週末まで「8」の水準を4日間続けています。

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TOPIX-17業種のセクター別騰落は、16業種が値上がりし、「食品」だけが値下がりしました。

値下がりした「食品」は、大規模な株式売出の発表でアサヒグループHD(2502)が週末に急落した影響が出ています。

それ以外の銘柄は、前週までの決算発表で好調だった山崎製パン(2212)、日清オイリオグループ(2602)、Jオイルミルズ(2613)、ハウス食品(2810)などが堅調な値動きを保ちました。

逆に値上がりの目立ったセクターは「エネルギー資源」、「鉄鋼・非鉄」、「電機・精密」でした。

値上がりトップの「エネルギー資源」では、出光興産(5019)が決算発表に合わせて大規模な自社株買いを発表したことから株価が急騰しました。

それと同時に、ENE0S(5020)、コスモエネルギー(5021)の石油元売り会社が堅調です。原油市況は軟調なものの、それとは別の理屈で石油セクターがしっかりしています。来年の物色テーマからも「エネルギー資源」は外せないように思います。

同じように素材セクターでは、「鉄鋼・非鉄」が久しぶりに値上がり上位に名を連ねました。日本製鉄(5401)、JFEホールディングス(5411)、東京製鉄(5423)、大同特殊鋼(5471)などが地味ながらも堅調です。

非鉄株でも金価格の上昇もあって住友金属鉱山(5713)が底値圏から反発しました。

そして「電機・精密」です。先週の市場の話題の中心は、やはり半導体株を軸としたエレクロニクス株です。

東京エレクトロン(8035)、信越化学工業(4063)が上場来高値を更新し、レーザーテック(6920)が年初来高値に進んでいます。

半導体関連のほかにも、日立(6501)、三菱電機(6503)、

(後略)

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鈴木一之