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2023年4月24日
日経平均は週半ばまで8日続伸、28,000円台の定着を狙う
鈴木一之です。GWが近づいてきました。東京でも気温が25度を超える夏日となり、春を通り越して夏そのものです。
大型連休を前にして、ホテルの宿泊費が高騰していると聞きます。コロナ禍が過ぎ去って経済が元の姿に戻るのはよいのですが、それに付随してかつてはなかったような困りごとも起こるようになりました。せっかく回復してきた観光などの需要に水を差さなければよいと願うばかりです。
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先週の株式市場の話題は、日経平均の値上がりに集中していました。中でも火曜日まで8日続伸を記録して28,600円台まで上昇し年初来高値を更新した点です。
3月初旬のシリコンバレーバンクの経営破綻から1か月。その間に見られた降ってわいたような金融システム不安が遠のき、それとともに米国を中心とした景気リセッション入りの警戒感も後退しつつあります。
最も早く値を戻したのはフランスで、主要指数のCAC40はいち早く史上最高値を更新しました。年金改革に対する市民デモは激化していますが、金融システム不安から少し距離を置いている点が好感されているようです。
ドイツも遅れて戻り歩調に向かっており、日本、韓国、台湾も株価の上昇に弾みがつくようになりました。世界同時株高と言ってもよさそうな状況です。
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「8連騰」は日経平均の連騰記録としては意外と平凡なものです。今回はあと一歩というところで果たせなかった「9連騰」は、この70年間で23回も起きています。
最も長いもので2017年10月に記録した「16連騰」があります。この年の年末に成立した「トランプ減税」の成立を巡る米議会での攻防が激化した時に記録したものです。
それでも今回の8連騰は記録としては平凡なものだとしても、それ以上に印象深く感じられるのは、株価の先行きに対する強弱感の対立が際立っている中での連騰だからでしょうか。
株価指数が連騰する状況とは、もともと強弱感が対立している時に起こりやすいものです。先行きに対して強気と弱気の見方がはっきりと分かれている時、もっと言えば弱気の見方の方が優勢の時ほど、皮肉なことに連騰記録は起こりやすくなります。
そのような状況では売り勢力が勝っているため、なにかの理由で売り勢力が手仕舞いしなくてはならなくなるような状況で連日の上昇、連騰が発生します。それが連騰記録の前半です。8連騰で言えば、上昇記録の3~4日目くらいまでは売り方の買い戻しによって起こりがちです。
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連騰記録の後半、8連騰のうちの5~7日目くらいでは、売り方の撤退はすでに一巡していますが、今度はもとからの買い勢力がさらに買いの勢いを強め、買いを上乗せしてくることから引き起されます。そのような循環がいくども繰り返されて、連騰記録が伸びてゆくものです。
今回の場合は循環物色が際立っていました。8連騰の1~2日目はオリエンタルランド(4661)、JR西日本(9021)などのインバウンド消費関連株がリードしました。続く3~5日目は三井物産(8031)、丸紅(8002)などバフェット銘柄の総合商社がにぎわいました。
6日目は決算発表のファーストリテイリング(9983)、および小売セクターの上昇が際立ち、最後の7~8日目はメガバンク、ソニーG(6758)、日立(6501)、さらにはSansan(4443)、マネーフォワード(3994)などのグロース株が急上昇しています。
毎日のように主役となる銘柄が入れ替わっており、目まぐるしいほどに投資家層の広がりが実感されます。日本株の割安感が徐々に認識され、海外投資家の買いスタンスが際立ってきたのが4月相場の特徴であるようです。
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株価の上昇に刺激されて、景況感の面でも明るい話題が増えてきました。
4月18日(火)には中国の1-3月期GDPが発表され、前年同期比+4.5%となったと伝わりました。かつての「6%成長」には届きませんが、10ー12月の+2.9%から大幅に伸びており、事前のエコノミスト予想も上回っています。
中国では1-3月の小売売上高も+5.8%の伸びとなり、飲食店収入は+13.9%も増えています。中国の消費活動は活発で、それが中国はもちろん、世界経済の見通しを明るいものにしています。
日本では3月の訪日外国観光客数が181.7万人に増えたと発表されました。2月より2割強も増加し、コロナ前の2019年3月の7割近くまで回復しています。
順調にいけば今年は年間で2000万人を超えるという見通しも立つようになりました。過去最多の2019年の3188万人には届きませんが、日本を訪れる外国人観光客は着実に戻っています。ここからのインバウンド消費の拡大に期待が寄せられます。
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気がかりなのはここでも中国の動向です。米国、アジア、中東などからの訪日客数は目立って増えていますが、中国からの訪日客は3月も7.5万人にとどまったままです。
日本政府は3月より中国からの水際対策を緩和していますが、中国政府は日本への団体旅行をまだ認めておりません。中国政府の方針は米中、日中、日米関係に左右される面が大きく、米中関係の緊迫化に基づいて同盟国である日本に対して厳しいスタンスを取っていると見られています。
中国政府がいつ日本への団体旅行の解禁を認めるか、政治的な要素が強いため見通しはむずかしいのですが、今後も中国の動向が消費および世界経済のカギとなることは間違いないようです。
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先週の東京株式市場は、TOPIXが続伸しました。連騰記録が騒がれた割に、週間での上昇率は+0.81%にとどまっています。前の週の+2.45%の大幅な上昇からは後退しました。
規模別では大型株と小型株は週末にかけて伸び悩み、代わって中型株が週を通じてしっかりしていました。小型株の軟調が目立ち、東証マザーズ指数は小幅反落となりました。
スタイル別ではバリュー株、グロース株が総じて上昇していますが、バリュー株が優勢です。小型グロース株はマイナスを記録しました。
日経平均採用銘柄のうち、PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回っている銘柄数は107銘柄となり、前週比で横ばいでした。採用銘柄(225銘柄)全体の48%を占めています。
テクニカル面では騰落レシオは週末に137.36%に達し、過熱圏とされている120%を大きく超えました。日経平均のサイコロジカルラインも、週半ばに「10」のレベルを4日間続けた後、週末は「9」にとどまりました。日経平均ボラティリティ指数は小幅続落しました。
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TOPIX-17業種のセクター別騰落は、15業種が値上がりし、2業種が下落しました。値上がりセクターの上位は「銀行」、「電力・ガス」、「食品」です。
反対に値下がりセクターには「エネルギー資源」、「商社・卸売」が登場しました。商社はいわゆる「バフェット銘柄」としてにぎわった前週の反動で下落しています。「自動車・輸送機」は値上がりしましたが、上昇率は鈍いままにとどまっています。
値上がりセクター、値下がりセクターの双方ともに、2週前とほとんど変わらない顔ぶれとなっていることです。4月第1週に上昇した銀行、電力ガスが1週休んで、再び4月第3週に物色されています。これもすでに循環物色が始まっていることの表れと見ることができます。
値上がりトップとなった「銀行」は、週末は下落が目立ちましたが週を通じて堅調な動きとなりました。シリコンバレーバンクの経営破綻をきっかけに金融システム不安が急速に高まり、それが銀行株の急落につながりました。
それから1か月半が経過し、中央銀行が金融システム不安の払しょくに成功したところから株価の戻り歩調が目立つようになりました。決算発表の始まった米国の銀行業界で安定した収益状況が確認されたことも大きな要因です。
またスタンダード市場にIPOした住信SBIネット銀行(7163)が、上場直後から順調な値動きを見せている点も刺激材料になった点が挙げられます。
電力・ガスおよび食品セクターの上昇には、出遅れ株に対する循環物色、さらにディフェンシブ的な銘柄を求める傾向が強まっているものと見られます。
食品株ではヤクルト(2267)、味の素(2802)、カゴメ(2811)の中核銘柄を中心として、アサヒGHD(2502)、キリンHD(2503)のビール各社や、わらべや日洋(2918)、プリマハム(2281)、ニップン(2001)、柿安本店(2294)まで幅広い銘柄が物色されています。
食品と並んで、水産株でもニッスイ(1332)、
(後略)