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2025年3月4日

日経平均は週末に急落、今年の安値を更新、半導体株が波乱の芽

鈴木一之

鈴木一之です。3月になりました。桜の開花ももうすぐです。

先週末、2月28日(金)に株式市場が大きく値下がりしました。日経平均は金曜日の終値で前日比▲1100円下落(▲2.88%)して37155円で引けました。今年最大の下げ幅を記録しています。

これまで保ち合い相場を長く続けていましたが、今回の下げでレンジの下限を下回り昨年9月19日以来の安値となりました。下げの要因はいくつかの要素が複合的に関わっています。

・トランプ大統領が中国、メキシコ、カナダに対して課していた関税を予定通りに3月4日から発動すると表明したこと

・特に中国には+10%の追加関税に加えてさらに+10%の関税を上乗せすること

・前日の引け後に決算を発表した米エヌビディアの株価が現地木曜日に▲8%まで売られたこと。それに伴って日本でも半導体関連株が一斉に急落したこと

・エヌビディアの決算に先立って、米マイクロソフトが2つのデータセンター事業者に対して契約を解除したと伝えられたこと。巨額のデータセンター投資は本当に回収できるのかという懸念が再び台頭。

・日本では1月の鉱工業生産指数が発表され、前月比▲1.1%の低下で3か月連続で低下したこと。米国の消費者信頼感指数の悪化と合わせて、日米ともに景気の弱さが明らかになっている。

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今回の株安はいくつもの要因がからみあっていますが、その根底にあるのは世界的な景気動向への不安です。

どの国でも物価の上昇が長期化しており、しかも再び上昇に弾みがつくようになりました。消費者心理は日を追って悪化しています。

そこにウクライナ戦争の長期化とドイツ総選挙に見られる右傾化、さらにトランプ関税が重なって世界全体を取り巻く空気が重くのしかかっています。

米国ではさらに、イーロン・マスク氏による政府機関の無駄を削除するという名目での大規模な人員削減計画が拍車をかけているかもしれません。

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ウクライナ戦争に関しては、トランプ大統領とロシアのプーチン大統領がウクライナ抜きで停戦交渉に持ち込もうとしており、それを打開するために先週末はウクライナと米国の首脳会談が行われました。

結果は世界が注視する目の前で、トランプ大統領とゼレンスキー大統領が激しい言葉の応酬で会談が決裂するという事態に至りました。鉱物資源の権益を表立って取引されることも異例ですが、トップ同士の外交の場で非難の応酬がなされることも異例です。株式市場に限らず世の中全体に不穏なムードが立ち込めています。

週末の米国株式市場はひとまず反発しましたが、先行きの不透明感は一段と増すばかりです。

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それで市場の動きを冷静に見てみれば、TOPIXやそれ以外の株価指数はまだ安泰です。確かに日経平均は大幅安となり、さほど余裕があるわけではありませんが、少なくとも今年の最安値を記録した日経平均の軟調さに比べれば、TOPIXなどそれ以外の株価指数は高い水準を保っています。

下げているのは日経平均だけという状況で、したがってNT倍率(日経平均÷TOPIX)は急速に低下しています。

株価は「企業業績×市場の人気(PER)」で決定されます。企業の業績は好調なところが多く、出そろったばかりの2024年4-12月期(第3四半期)の決算では、発表を終えた2000社のうちの480社が最高益を更新しました。

業績が好調なのは、建設、電機、情報通信、建機、トイレタリー、求人情報、などに集中しています。いずれも第3四半期における進捗率はかなり高く、3か月後の通期の業績発表でさらなる上方修正もありうるように見えます。

物色は二極化し時間はかかるでしょうが、期末決算を見る時期まで、もうしばらくの辛抱というところです。

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先週の東京株式市場は、TOPIXは続落しました。下落率は▲1.99%に達し、前の週の▲0.82%を受けて軟調な展開が続きました。

規模別では、大型株指数が▲2.35%と最も大きく下げ、中型株指数の▲1.39%、小型株指数の▲0.78%がそれに続いています。続伸していた東証グロース株250指数も▲3.89%と6週ぶりに反落しています。

スタイル別の株価指数では、大型バリュー株が▲078%の下げにとどまっているのに対して、大型グロース株は▲3.48%と大きく下落しました。半導体セクターを中心にグロース株の下げが目立っています。

騰落レシオは週末の下げで100%を割り込んでおり、98.41%で引けました。日経平均のサイコロジカルラインは「6」に低下しています。

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TOPIX-17業種の騰落では、値上がりセクターが7業種、値下がりセクターは5業種となりました。

値上がりセクターのトップは「商社・卸売」です。ウォーレン・バフェット氏の話題が久しぶりに市場で注目されました。

バフェット氏が毎年株主に宛てた「バフェットからの手紙」の中で、日本の総合商社のビジネスモデルを称賛し、引き続き商社株の保有と買い増しを考えていることが明らかになったことから、三菱商事(8058)、伊藤忠(8001)、丸紅(8002)など商社株を大きく押し上げました。

値上がり第2位が「不動産」でした。日本もそうですが米国でも株価の下落が目立つようになっており、日銀が金融政策の引き上げペースを緩めるとの見方が早くも出始めているようです。三井不動産(8801)、住友不動産(8830)、スターマイカ(2975)、ヒューリック(3003)などが堅調でした。

値上がり第3位は「運輸・物流」でした。不動産セクターと同様に東急(9005)、近鉄グループ(9041)、阪急阪神(9042)などの電鉄株が堅調です。ディフェンシブ株としての位置づけからJR3社がいずれも大きく上昇しています。

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反対に値下がりセクターのトップは「電機・精密」でした。東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)、レーザーテック(6920)、日本電子(6951)などの先端半導体分野の銘柄が一斉に急落しています。

それでも電機セクターがすべて下落しているわけではなく、ソニーグループ(6758)、パナソニックHD(6752)、ブラザー工業(6448)、キヤノン(7751)などはしっかりと値を保っています。

値下がり第2位の「機械」も同様です。ディスコ(6146)、

(後略)

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鈴木一之