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2024年3月11日
日経平均は6週ぶりに反落、それでも最高値圏で小康状態
能登半島地震で被害に遭遇された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
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3月最初の週の株式市場も、好調な企業業績と、これまた好調な海外市場に支えられてしっかした動きとなりました。
週末のマーケットは軟調で、日経平均は終値で4万円の大台をキープすることはできませんでしたが、それでも十分にしっかりした展開と言えそうです。
日経平均が史上初めて4万円の大台を突破したのは、ほんの1週間前のことです。ずいぶんと長い間、4万円台にとどまっていたような気がするのですが、まだ時間はそれほど経っていません。このへんで大台固めの時間が必要です。
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週足ベースでは、日経平均は5週連続して上昇したあとに、6週間ぶりに下落しました。一方ではTOPIXはいまだに上昇を続けており、6週連続の上昇となりました。年が明けてからはまだ1週間しか下落していません。
先週は下落したのは日経平均だけで、東証プライム指数、大型株指数もTOPIXと同様に続伸しています。
株価の上昇ピッチが速すぎるのは誰もが認めるところです。割安な状態が修正高に向かう時は皆が一斉に買うので、そのようなことになりがちです。これまでのような二極化相場がペースを落として、ここからは次第に循環物色が強まると予想されます。
それは買いそびれていた投資家が参戦してくることを意味しますが、それとともに相場全体では値固めの時期に入ると見られます。
上昇相場の初期には、上げ基調そのものに対して否定的な見方の投資家も多いため、いったん調整局面に入るとカサにかかって売ってくるため、思わぬ下げ幅が出たりします。
そこでの下げ幅が大きければ大きいほど、その後の上昇も大きいと判断する向きも多く、それが「波高きは天底の兆し」、「波高きは大相場の兆し」という相場格言につながります。
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先週は話題には事欠かない1週間でした。とりわけ米国と中国のふたつの大国で大きな動きがありました。
中国では全人代が開幕し、米国では「スーパーチューズデー」とバイデン大統領の一般教書演説です。パウエル議長の議会証言もありました。
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今年の中国の全人代(第14期全国人民代表大会)では、冒頭に李強首相によって今年の成長率目標は「5%前後」と発表されました。昨年の水準(5.2%)と同じレベルで、高い成長を目指してきた1~2期目の習近平体制とは明らかに異なります。
同時に財政赤字のGDP比率は3%、CPI上昇率も3%前後と、いずれも前年とほぼ同じ水準に置かれました。これらの目標にも李強首相は「達成するのは容易ではない」と表明しています。
エコノミストは低めの目標達成でもかなり厳しいと見ています。中国の需要不足はますます深刻なものになりつつあり、現在の習近平体制では安易な経済対策はほとんど期待できそうにありません。
国防予算だけが34兆円、前年比で+7.2%と大きく伸び、3年連続で7%以上の伸びとなる見込みです。それだけは不気味です。
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米国では3月5日(火)に15州で党員集会、予備選挙が実施され、決選の「スーパーチューズデー」で共和党はトランプ前大統領が圧勝しました。ニッキー・ヘイリー元国連大使はここで選挙戦からの撤退を表明しました。
6日のマーケットで米国の主要3指数がすべて上昇し、長期金利も低下しました。「トランプ大統領」リスクだけを評価してマーケットが動いたわけではありません。パウエル議長の議会証言も重なって買い安心感が広がっています。
大統領選に関しては、トランプ氏vsバイデン大統領の戦いになることがほぼ固まりつつあります。ほとんどの世論調査でバイデン大統領の支持率が5割を切っており、劣勢は否定できません。マーケットはおろか世界の外交、軍事、環境、政策担当者が「トランプリスク」を真剣に検討し始めています。
トランプ氏が大統領選で勝利した場合に上昇が見込まれるセクターとして、鉄鋼、エネルギー、石炭などの8業種が早くも挙げられています。中でも天然ガスとシェールオイルが焦点と見られます。逆にEVにはそれだけ逆風が吹くことになります。
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バイデン大統領は週末、一般教書演説を行いました。今回の演説はバイデン氏の大統領2期目の政策となる可能性が大きいとして注目されています。
演説でバイデン氏は、議会にウクライナ支援のための緊急予算案の審議を要請し、大企業や富裕層への課税強化も取り上げました。プーチン大統領を強く非難し、人工中絶を擁護する立場もあらためて鮮明にしています。
共和党やトランプ氏の主張に真正面から反対を唱え、民主党および無党派層を取り込む意思がはっきりと打ち出されています。世論調査ではバイデン氏の劣勢が伝えられていますが、どのような結末を迎えるのか、現時点ではまったくわかりません。
高齢からくる健康問題がバイデン氏にはついて回りますが、ここから11月の大統領選の本選に向けて、予想のつかない激しいデッドヒートが続くことになりそうです。
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パウエル議長は議会証言において、「労働市場は依然としてタイトだが、需給バランスは改善している」と述べました。雇用が正常化に向かっていることを改めて強調し、その上で利下げ転換の時期に関しては、経済データを見極めるとの考えを繰り返しています。
市場では「年内は利下げなし」の悲観的な見方が広がっていましたが、この発言を受けて再び楽観的な見方が戻ってきたようです。それほどまでに最近の経済統計で示されるインフレと雇用情勢を気にしていたことになります。
たとえばPCE(個人消費支出)物価指数です。家賃のウエートが小さいため、物価の動向をより把握できる指標としてFRBが注目しているとされています。
そのPCEは1月分が前年同月比+2.4%となり、事前の予想どおりでしたが、前月比では+0.3%となり12月の+0.1%から加速しています。中でもコアPCEは前月比+0.4%まで高まっており、この結果に市場もFRBも神経をとがらせています。
そこで注目されたのが週末の2月・雇用統計です。非農業部門の雇用者数は+27.5万人となり、市場予想(20万人)を上回りました。
失業率は3.9%で、予想の3.7%より悪化しました。平均時給の伸びは前月比+0.1%、前年同月比+4.3%となり、いずれも予想を下回っています。
マーケットではさっそく2年債利回りが低下しており、「年内は利下げなし」との見方がここでも後退して楽観的な見方に傾く結果となっています。利下げ回数の見通しが当初の6-7回から3回になっても、株式市場は堅調を維持しています。「よいとこどり」と言われるマーケットが持ちこたえられるのか、今週からの動きが非常に重要です。
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先週の東京株式市場は、TOPIXが6週連続で上昇しました。上昇率は前の週の+1.83%から低下して+0.64%にとどまっています。
規模別では、大型株(+0.55%)、中型株(+0.72%)、小型株(+1.13%)となり、前の週とは正反対に小型株が優勢の展開となりました。日経平均の最高値更新に貢献した大型株は小休止といったところです。
スタイル別では、バリュー株(+1.58%)が上昇基調を維持したのに対して、グロース株(▲0.32%)と反落しました。半導体セクターが週後半に軟調な動きに変わったことが響いています。
騰落レシオは週末値は103.85%となりました。中立状態の100%にとどまったままの状態で、週を通じても98.84~105.08%という狭いレンジで推移しました。上昇銘柄と下落銘柄の拮抗状態が続いており、日経平均が最高値を更新しても「物色動向の二極化」が進んでいることがこのあたりにも表れています。
日経平均のサイコロジカルラインは、前週に続いて週末は「6」のニュートラルにとどまりました。週を通じて「5」~「7」の狭い範囲で推移しています。
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TOPIX-17業種のセクター別騰落は11業種が上昇し、6業種が値下がりしました。
値上がりトップが「銀行」です。4週間続けて業種別騰落ランキングの上位に位置づけています。
三菱UFJFG(8306)、三井住友FG(8316)、みずほFG(8411)がそろって大幅高となりました。また地銀株も九州FG(7180)、西日本FH(7189)を中心に全面的な上昇が続いています。
マイナス金利の解除に関して、3月7日(木)に日銀の中川順子審議委員が島根県松江市で行った講演が注目されました。
講演では2%の物価目標に向けて「着実に歩を進めている」と述べ、マイナス金利の解除を予想するマーケットの動きに拍車がかかりました。銀行株が一斉に上昇しています。
中川委員は賃上げに関しても、企業収益が高水準にあることから「展望できる」とも述べ、これも市場の動きを刺激する格好となりました。日銀は来週、3月18-19日に金融政策決定会合を開く予定です。
値上がりセクターの第2位は「電力・ガス」です。九州電力(9508)、東北電力(9506)、北海道電力(9509)など、ここでも地銀と同様に地方電力株が中心となって、セクター全体が幅広く物色されています。
大阪ガス(9532)は2026年度までの新たな中期経営計画を発表したことから、株価が大きく上昇しました。計画の中で大阪ガスは「ROIC5%、ROE8%以上、DOE3%」という財務目標を掲げています。
値上がりセクターの第3位が「建設・資材」です。ここでも大林組(1802)が野心的な株主還元策を発表したことから株価が急騰し、それに連動して鹿島(1812)、大成建設(1801)、飛島健(1805)など大手ゼネコンが軒並み買われました。
大林組は2024年3月期の年間配当を72円と発表しました(前期は42円)。これまでは今期も横ばいとしていましたが、そこから30円引き上げます。さらにROEの目標も「2027年3月期までに10%以上」に引き上げ、これによって資本コストである8-9%を上回ることになります。
「ROE10%以上」との目標は、日本企業にとってかなり高い目標です。日本の企業と経営者はこれまで常に低めの目標に設定して、結果的にそれを超過して達成するということを習い性としてきました。
そのような従来の慣例とは異なる行動を、大手ゼネコン企業から採り始めたことは、ある意味では非常に画期的な事例と見ることができます。
建設セクターでは、ほかにも関電工(1942)、中電工(1941)、きんでん(1944)、九電工(1959)などの電気工事株も広範囲に物色されました。高利回り銘柄の多いこのセクターに再び動意が見られます。電力株といい、電気工事会社といい、電力エネルギー周りの業種に動きが強まっています。
反対に値下がりセクターの上位には「運輸・物流」、「自動車・輸送機」、「食品」が並びました。
「運輸・物流」では海運セクターの下げが目立ちます。電鉄株では京成電鉄(9009)
(後略)