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2022年3月28日

日経平均は9日続伸、28,000円台を回復、世界経済への安堵感が支えに

鈴木一之

◎日経平均(25日大引):28,149.84(+39.45、+0.14%)
◎NYダウ(25日終値):34,861.24(+153.30、+0.44%)

「日経平均は9日続伸、28,000円台を回復、世界経済への安堵感が支えに」

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鈴木一之です。ロシアがウクライナに軍事侵攻を開始して1か月が経ちました。一日も早く戦争が終結することを願ってやみません。

日経平均は9連騰を達成しました。丸2週間にわたって1日も下がらず上昇を続けています。

3月初旬には25,000円を割り込みましたが、それが先週末は28,000円台をあっさりと回復しました。びっくりするほどの上昇力、驚くべき回復力です。

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ロシアとウクライナとの戦争は続いており、事態の好転は一向に見られません。黒海に面したマリウポリの悲惨な状態が連日報道され、首都キエフにも大規模な戦力がロシア軍によって進められています。

いつ大規模な首都攻撃の軍事作戦が開始されるのか、という点に世界の耳目が集中しています。生物化学兵器や劣化ウラン弾など、ロシアによる非人道的な武器使用も警戒されており、キエフでは何度も夜間外出禁止令が発動されています。

そのような緊迫した状況にあって、先週はひとまずキエフに対する本格的な軍事侵攻は回避されました。先週はNATO首脳会議、EU首脳会議、G7首脳会議がブリュッセルで相次いで開催され、米国のバイデン大統領も参加して西側の政治リーダーが一堂に会し、NATO加盟国の東欧への軍事力の重点配備が決定されました。

西側社会の想像以上の強い結束と、ウクライナ軍による徹底抗戦が功を奏して、ロシアは首都攻撃をいったんあきらめ、東部の親ロシア派の多い地域に戦線を集中させると方針を変更したとも伝えられます。

緊迫したそのような状況の中で、世界中の金融・資本市場ではこれからの世界の枠組みを形作る価値体系、適正価格の水準が模索されています。

すでに300万人を超えるウクライナ国民が隣国に脱出したとされており、病院やスーパーマーケットなど、民間施設をミサイル攻撃する悲惨な映像が世界中に流れています。緊迫した状況がすでに1か月を超えて続いています。

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カギを握るのが世界経済の動向です。高騰を続ける原油市況や穀物価格、エネルギーの調達手段、物流網の混乱などによって、世界経済に対して強烈な下押し圧力がかかっています。それをどこまで吸収できるのか。

状況は厳しいままですが、3月に入り北半球の気温が上昇してきたこともあって、ヒーティングオイルの需要は徐々に減ってゆく季節でもあります。原油や天然ガスを人質にとるプーチン大統領およびロシアの作戦にも次第に疲れが見え始めています。

ロシアによる戦争開始の直後から3月初旬までは、これらのネガティブ要因に世界経済は耐え切れないという見方が支配的でした。米国の長期金利は低下し、株価も大きく値下がりしました。

しかしそのような見方がわずかずつですが、徐々に緩和しつつある様子です。足元では米国の長期金利は再び上昇を開始しており、それとともに世界中の株価も浮上し始めました。

これまでは金利の上昇は株価下落に直結していました。それが3月9日をボトムに世界の金融市場は「金利低下=株安」から「金利上昇=株高」にわずかながら変わり始めています。

米国のFRBは3月16日のFOMCにおいて、政策金利の0.25%引き上げを決定しました。それを受けてパウエル議長は先週、必要とあれば次回(5月)の会合において、それ以上(0.25%以上)の利上げを実施する可能性に言及しました。

FRBの他のボードメンバーも同じような発言を相次いで表明しており、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻による経済への悪影響は、当初心配されたほどには大きくないという見方が広がりつつあるようにも感じられます。

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そうなると残された問題は物価上昇への対処です。物価への配慮がどこまで強まるか、という点が重要になります。いったん下がりかけた原油価格は先週、再び上昇に転じました。WTI先物は100ドル割れから早くも110ドル台に浮上しています。銅、アルミ、亜鉛などの非鉄市況も強含みで推移しました。物価上昇との闘いは長期戦を強いられそうです。

ウクライナ戦争はプーチン大統領一人が行っている戦争です。ロシア国民の誰もが賛同しているわけではありません。しかしそれだけに、どうやったらこの戦争が終結するのか誰も明確な答えを持ち合わせておりません。世界は西側と東側の陣営にはっきり分断され、第二次世界大戦後の世界の秩序が大きく変わり、以前のような姿には簡単には戻らないと見られます。

コロナウィルスの感染拡大はなかなか収束しませんが。先進各国は経済再開を着実に進めています。次なる懸念材料は、企業業績への影響です。今週は3月の最終週、ここから2月決算企業の本決算が続々と発表されてきます。原材料高、物流費や人件費の上昇がどこまで企業業績に影響してくるのか、それを横目で見ながらゆっくりとした前進が続きそうです。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが2週連続で上昇しました。上昇率は+3.78%となり、前の週の6.10%と合わせて2週間で1割近い上昇となりました。前の週までの相場反転の流れがそのまま続いています。

主力の大型株を中心に値を戻しており、規模別指数では大型株指数が+4.47%の上昇に対して、小型株指数は+1.99%の上昇にとどまりました。東証マザーズ指数も+2.84%の続伸です。

バリュー株は+3.74%、グロース株は+3.83%とほぼ同じ割合で戻りました。日経平均が9日続伸を記録したため、サイコロジカルラインは「10」まで高まりました。自民党総裁選が行われた昨年9月中旬以来の高水準です。

物色動向は必ずしも全面高ではなく、循環物色の色彩が強まっています。そのため騰落レシオはさほど上がらず、98.4%にとどまっています。

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TOPIX-17業種のセクター別の騰落は、前の週と同じようにほぼ全面高となりました。値上がりセクターのトップは「エネルギー資源」、第2位が「商社・卸売」と資源株が中心となりました。

中でも目を引いたのが総合商社です。三菱商事(8058)、三井物産(8031)が双璧となって連日のように新高値を更新しました。ロシアとの国家プロジェクトである「サハリン2」の事業継続問題がちらついているものの、それはさほど悪材料視されていない模様です。

それを僅差で追いかけているのが、第3位の「自動車・輸送機」、「鉄鋼・非鉄」、さらには「電機・精密」です。自動車はトヨタ自動車(7203)が株価が底値と見たのか、このタイミングで1000億円の自社株買いを発表しました。

欧州市場が丸ごと失われてしまうとの警戒感から自動車セクターや電子部品、事務機メーカーが幅広く売られましたが、それらが一転して急速に値を戻しています。

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反対に値下がりセクターはゼロ。比較的上昇の小さかったところで「運輸・物流」、「小売」、「食品」がほとんど横ばいで推移しました。

中でも「運輸・物流」では海運株が軟調でした。日本郵船(9101)や商船三井(9104)など、これまで海運株だけが独歩高、一人勝ちのような上昇力を示していただけに、ぜんたい相場が反転する過程では、その分だけ上昇力が鈍ってしまいます。ここまでの株価の騰勢があまりに強いためか、アナリストからは海運セクターの投資判断の引き下げも目立ちました。

「小売」や「食品」も3月初旬の全体相場が軟調な時期に、逆に株価は堅調さを維持していました。それが今回の広範囲な戻り相場では動きの小さな結果につながっています。

「まん延防止等重点措置」は3月21日を最後にすべての都道府県で解除されました。春の旅行シーズンの到来とも重なって、さっそく各地の観光名所はかなりのにぎわいを取り戻している様子です。「GoToトラベル」キャンペーンも近々始まる予定であり、消費関連株には久しぶりの朗報となっています。

ただしコロナウィルス、ウクライナ戦争の勃発、物価の上昇というトリプルパンチで、人々の暮らしぶりはどんどん防衛的なスタンスに変わりつつあります。消費動向に関しては今後も注意が必要です。

それでも株価がさほど動いていないだけに、循環物色がいずれ効いてくるとすれば、今のところ動きの小さなこれらのセクターが今度は逆に狙い目となります。

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日経平均が9連騰を達成する過程で、指数そのものは3月9日終値の24,717円から、3月25日の28,149円まで+13.9%の上昇を成し遂げました。

同じ期間のTOPIXは+12.7%の上昇です。3月初旬の下落の度合いの大きかった日経平均の方が値上がりしています。

日経平均採用の225銘柄の騰落率を測ると、最も値上がりしたのが昭和電工(4004)の+35.0%でした。景気敏感株が一斉に値を大きく戻しています。その次が

(後略)

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鈴木一之