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2019年10月28日
気がつけば世界同時株高が始まっている
鈴木一之です。株式市場は順調な上昇を続けています。「即位礼正殿の儀」の祝日をはさんだ先週も、日経平均は年初来高値を更新しました。
上昇しているのは日本だけではありません。ドイツのDAX指数も年初来高値を更新しました。ドイツは今回の景気の落ち込みが先進国の中でも最も激しいと見られている地域です。それが高値更新を続けています。
台湾の加権指数も高値を更新しています。こちらは史上最高値です。台湾と言えば世界のハイテク産業の集積地です。半導体製造受託の世界トップであるTSMCや、シャープを傘下に収めた鴻海精密工業を有します。その台湾が最高値を取っているということは、ハイテク景気が相当盛り上がっていることになります。
米国ではアップルが史上最高値を更新しました。その前の週にはテクノロジーの集積である半導体・SOX指数も高値を更新しています。おそらくアップルの高値更新と、台湾加権指数のそれ、半導体株への活発な物色動向は無関係ではないと考えられます。
世界はいよいよ来たる第4次産業革命に向かって動きを加速している様子です。ハイテク景気に向かって驀進し始めている様子が現在の株式市場をすなおに観察すると見えてきます。
それと重ね合わせて、中国政府が景気対策に本腰を入れていることも傍証ですがにじみ出てきました。鉄鋼各社はまだ厳しい経営環境が続いていますが、たとえばニチアス(5393)やイソライト工業(5358)、ヨータイ(5357)などの工業用断熱材、耐火煉瓦を供給する銘柄の株価がここ数週間、きわめて堅調です。
現在、最も経営的に厳しい状況にある鉄鋼メーカーでも設備増強の動きが出ていることがこのあたりの銘柄の動きからはうかがい知ることができます。
そしてそれはクレハ(4023)、トクヤマ(4043)、ステラケミファ(4109)、大陽日酸(4091)などの化学セクターの良好な動きにも表れているように思います。
非鉄の三井金属(5706)、三菱マテリアル(5711)、住友金属鉱山(5713)は今はハイテク企業に基礎素材を供給する企業群に明確に変貌を遂げましたが、それらの銘柄もいずれも上値指向を強めています。
機械セクターのツガミ(6101)、牧野フライス製作所(6135)、DMG森精機(6141)、ナブテスコ(6268)の動きも同様です。海運セクターは大手3社そろい踏みで動きがよくなってきました。
アップルの最高値更新が刺激材料のひとつであることは間違いありません。そこに中国の景気テコ入れ策が徐々に威力を発揮していることもうかがえます。景気動向を示す経済指標が悪化すればするほど、景気動向に敏感な銘柄が買われるというのは何とも皮肉なものですが、株式市場とはそういった皮肉や逆説が宝庫のように詰まっています。
もうダメと思ったところが底入れ反転の転機で、さあここからだと思ったところが天井で、まだまだと思うともうだめで、もういいだろうと思うとまだその先がある、ということの連続です。どんなにAIが普及しようとアルゴリズムやデリバティブ取引が幅を利かせようと、株式市場のこのような真理だけは変わりません。
フェイスブックの「リブラ」、グーグルの量子コンピューター、アマゾンの巨大物流施設、バイオジェンの認知症治療薬、まだまだアメリカ経済は堅調です。S&P500が最高値を更新する日も近いように思えてきます。
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先週のセクターの上昇の中でも目についたのが自動車株です。これまではトヨタ自動車(7203)の独歩高でしたが、ここからホンダ(7267)、デンソー(6902)、タチエス(7239)、ケーヒン(7251)などが幅広く買われました。
ドイツ市場に勢いが出てきた以上、自動車セクターにも見直し買いが向かいつつあるようです。これに中国の景気刺激策が加われば、底値圏にある自動車業界にもてきめんにプラスの効果が出てくる可能性があります。
そして「医薬品」です。セクター別では前の週に続いて、2週連続で東証1部の上昇率のトップとなりました。
何と言っても認知症治療薬を再び承認申請したバイオジェンとエーザイ(4523)の急上昇、ストップ高連発が効いています。それ以外でもアステラス製薬(4503)、中外製薬(4509)が健闘しています。
今年はインフルエンザが例年以上に猛威を振るっているようです。皆さまもどうぞお気をつけください。
「鉄鋼・非鉄」と「機械」という景気動向に敏感なセクターも好調です。「銀行」も上昇が目立ちました。景気敏感という面ではバリュー株の見直しが広く再開されつつあるようです。バリュー株の流れとしての銀行株です。
「電機・精密」も引き続き堅調です。半導体関連株が東京エレクトロン(8035)、
(後略)