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2021年11月1日
決算発表が本格化、NYダウ工業株とNASDAQは最高値を更新
鈴木一之です。10月が終わり町中が冬支度を急いでいます。今夜はハロウィン、そして衆院選の投開票が行われます。
大勢が決まるのは今夜遅く、あるいは明朝になるでしょうが予断は許されません。報道各社の力の入れようがこれまでになく激しくなっているように感じます。
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何といっても安倍・菅政権の9年間が問われる選挙です。「アベノミクス」の果実は果たして国民のどのあたりまで及んでいるのか。この間、立憲民主党をはじめ、具体的な方向性を示すことのできなかった野党の稚拙さも同時に問われています。やはり福島第一原発事故を引きずっているせいでしょうか。
日曜日が1度しか含まれないという史上最短の選挙戦を戦って、この間のマーケットは神経質に一喜一憂を繰り返すだけでした。世論調査を通じて、自民党の劣勢と優勢がころころと変わるたびに、株式市場は小さな上下動を繰り返していました。
1週間前に実施された参院選・静岡補欠選挙での自民党候補の敗北、安倍政権の時代に国民1人に2枚ずつ配られた「アベノマスク」が8200万枚、115億円分が未使用のまま倉庫に放置されているというマイナスのニュースが流れるたびに、野党候補の選挙活動が勢いづいてゆきました。
それでも「分配」政策を前面に打ち出した野党の戦略はとても盛り上がっているとは言えません。むしろ国民は、コロナ危機が去った後に予想される大幅な税率引き上げの方を気にしているように感じられます。その点では与党も野党も同じ土俵に立たされており、政策面ではさほど選別は進まないようにも感じられます。
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先週のマーケットの話題として最も注目されたのは、日米ともに決算発表でした。米国の大手テクノロジー企業がいずれも決算を発表し、あいかわらず業績面では好調が続いています。
業績好調のテスラは時価総額で初めて1兆ドルの大台をを突破し、マイクロソフトもアップルを抜いて全世界トップの時価総額に達しました。株価はいずれも堅調ですが、反対にフェイスブックは非難の最前線に立たされており、アップルも株価は再び最高値をうかがう勢いですが半導体の調達不足に悩まされています。
「GAFAM」に代表されるテクノロジー大手企業が株式市場を全面的に引っ張っているという印象はかなり薄れています。そしてその分をリードしているのが、従来型の大企業です。
1週間前になりますが、ゴールドマン・サックスのアナリストがウォルマートの投資判断を最上級に引き上げた衝撃がいまだに消えません。この時期に、このタイミングでウォルマートを最上級の買い推奨銘柄として取り上げるのは相当に勇気のいることだと思います。勇気というよりも冷静な判断、それほど米国の経済情勢は良好、ということだと思います。
個々の企業でも、工具類のW・W・グレンジャー(GWW)、建材のシャーウィン・ウィリアムズ(SHW)、産業機械のドーバー(DOV)、同じくイリノイ・ツール・ワークス(ITW)、自動車部品のジェニュイン・パーツ(GPC)、など渋い銘柄が続々と史上最高値を更新しています。
物価が上がり金利の上場が続くほどの景気の良さが反映していることは間違いありません。今年3~5月のころのように「バリュー株か、グロース株か?」という議論はもはやどこにもなく、もっと純粋にシンプルに、業績の良好な銘柄を買い進んでいるだけのような地合いです。こういう状況であれば上昇相場の息は長くなるように思います。
アメリカ経済や株式市場を見る時、語る時にはダウ構成30銘柄ばかりでなく、もっと広い範囲の銘柄を見なくてはならないと痛感した2週間でした。
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ひるがえって日本の株式市場です。こちらでも3月決算企業の決算発表が始まっており、米国と同様に悲喜こもごも、様々な決算情報があちこちで話題となっています。
決算発表シーズンのトップを飾る日本電産(6594)は半期ベースで史上最高益を更新し、通期の業績見通しを上方修正したものの、株式市場の反応は弱いものでした。
市場が期待していた予想値に届かなかったというところかもしれませんが、先行した安川電機(6506)やその後のロボット大手のファナック(6954)に対する失望感と同様に、中国ビジネスに軸足を置く企業に対して警戒感が強まっているのは事実のようです。
その点では週末はキーエンス(6861)が驚くべき業績内容と株価の反応を示しており、やはり突破口はこのあたりにありそうです。同じくソニーグループ(6758)、NTT(9432)、富士電機(6504)の力強さには勇気づけられます。
とりわけNTTのように、以前に策定した中期経営計画をいったん撤回して、新たに打ち出してきた計画に対して市場がポジティブに反応している様子を見ると、その計画のいったいどの点が評価されているのか、今後の市場動向の方向性を考える上で非常に参考になります。
それにしても世の中はむずかしくなっています。不透明きわまる現在の状況で、企業経営者は果たしてどれほどの困難に直面しているのでしょうか。上場各社の決算短信を読んでいると、現状の企業経営の困難さがひしひしと伝わってきます。
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今の企業経営は「8重苦」にさらされていると言ってよいかもしれません。
(1)コロナ危機によるロックダウン、工場の操業停止、閉鎖
(2)半導体の調達不足
(3)輸送コストの上昇、コンテナ不足、ドライバー不足、ガソリン高
(4)原材料価格の上昇(塩ビ、鋼材、石油化学、小麦、食用油など)
(5)電力不足(特に中国で工場を展開する企業)、電力料金の上昇
(6)環境規制(エアコン・冷蔵庫の冷媒、廃プラスチック)
(7)人手不足(外食店、コンビニ、物流、農業)、賃金上昇
(8)円安(輸入コストの上昇)
という「8重苦」です。原因のほとんどがコロナウイルスの感染拡大によってもたらされています。コロナ危機が収まれば解決するかというと、環境規制の強化などそう簡単ではないかもしれません。
東日本大震災の直後、2011~2012年にかけて、日本は円高、高い法人税、電力不足など「6重苦」と呼ばれる厳しい経済環境にさらされました。それを救ったのが「アベノミクス」でした。大規模な金融緩和と財政政策がとられたことによって円高が反転し、すべてではありませんが日本の企業経営者は一息つくことができました。
現在の経営環境の厳しさはその時の状況をすでに超えていると考えられます。何を解決すればよいのか、「8重苦」への対処としては企業としてできることは限られています。
それでも決算発表のたびに企業経営者は結果を求められます。株価はシビアなもので、業績動向で上にも下にも変動します。
未来のことは誰にもわかりません。現在は先行きの不透明感がかつてなく強まっている状況であって、企業経営は厳しく圧迫されています。それでも企業経営者は泣き言を言わず、地道に自分たちのできることをやり続けています。そうでなければ従業員が路頭に迷ってしまいます。
業績相場は、業績のよい銘柄がますます評価される相場です。業績が伸びていれば、方向性が間違っていなければ、一時的に株価が下落した銘柄でもいずれ落ち着けば再び上昇軌道に戻ってくるものです。
衆院選が終わっていったん世の中が落ち着いた状態に戻ってくれば、マーケットは地道に好業績銘柄を選び出す作業を再開することでしょう。幸いなことに金利水準は安定してきました。次なる動きが始まりそうな11月相場を迎えます。
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先週の東京株式市場は、TOPIXは続落しました。続落といっても週間での下落率は-0.05%にとどまり、一週間の値下がり率としては今年最小でした。金曜日には上下500円を超える大きな値動きがありましたが、トータルでは衆院選前で様子見ムードの強い展開となっています。
規模別では小型株がしっかりしました。グロース株が堅調で、マザーズ市場は比較的小さなマイナスにとどまりました。東証REIT指数は反発し大きめの上昇となっています。
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TOPIX-17業種のセクター別騰落では、値上がりセクターが8業種で、反対に値下がりセクターは9業種となりました。
値上がりセクターのトップは「素材・化学」です。決算好調の信越化学工業(4063)がひとりで引っ張り上げているところがありますが、JSR(4185)、東京応化工業(4186)など、前の週の機械株に続いて半導体関連株がいずれも好調です。
値上がり第2位の「鉄鋼・非鉄」でした。東京製鉄(5423)の好決算から後は、鉄鋼メーカー全体に鋼材価格の上昇による収益上昇期待が高まっています。10月半ばに日本製鉄が中国の宝山鋼鉄とトヨタ自動車を特許侵害で提訴した時は驚きましたが、その後の展開は穏やかです。
値上がりセクターの第3位は「自動車・輸送機」でした。前の週は114円台の円安をはやした買い物が先行しましたが、この週はトヨタグループの決算発表から全体に強含みの動きとなりました。
そのトヨタが週末に、航続距離を500キロに伸ばした新型EVシリーズを発表しました。10月31日から開催される「COP26」を意識した動きであることは明らかです。既存の「ハリアー」と同じ
(後略)