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2019年12月16日
米中貿易交渉が一部妥結、日経平均は今年最大の上昇
鈴木一之です。年末相場もあいかわらず目が離せない状況が続いています。日経平均は金曜日に今年最大の上げ幅となる+600円を記録しました。
米中貿易交渉が一部とはいえ第1弾の合意に至ったことを素直に好感しています。今年はあと一歩で調印、というところまで2度もたどりついたのに、そのたびごとに土壇場でひっくり返されてきました。
ビジネスマン出身で交渉上手を自慢するトランプ大統領と、「商売上手の華僑」の言葉どおりに交渉ごとではこちらも一歩も引かない中国の習近平主席との間の交渉事ですから、二転三転するのはお互いに承知の上でのことなのかもしれません。
それにしても、調印目前まで全世界がぴりぴり、やきもきさせられました。それだけに交渉成立の合図とともに株式市場は全世界が一斉に歓迎の意を表しています。
NYや中国の株式市場はもちろんのこと、香港、ブラジル、台湾、ロシア、インド、ドイツ、そして日本と、再び世界は同時株高の局面を迎えました。クリスマス・ラリーが始まった感があります。
先週(先々週)からこのかた、米中貿易協議だけでなく、マーケットにはありとあらゆる好材料が噴出しました・
・英国の総選挙で与党・保守党が圧勝、来年1月のEU離脱に大きく前進
・米FOMCが金利据え置きを決定、来年にかけて金利引き上げの予定はないと言及。
・日本の7-9月実質GDPが前期比+0.4%、年率換算+1.8%に大きく引き上げ
(従来は前期比+0.1%、年率+0.2%)
・日本で事業総額26兆円の経済対策を閣議決定
・台湾のTSMCの11月売上高が史上最高を記録
これらの好材料が重なったこともあって、週末には日経平均がついに24,000円の大台に到達しました。昨年10月以来のことです。台湾の加権指数は29年ぶりの高値に到達しています。
週の初めは米国の11月・雇用統計が大きく好転したことから(+26.6万人)、景気敏感株を中心に幅広い上昇が見られました。
しかしそのようなごく一部の好材料に対する反応を除けば、株式市場は基本的に変化に乏しい展開の連続でした。日経平均などの株価指数は一日の値幅や売買代金が極端に小さくなり、早くもクリスマス休暇に入ってしまったかのような感じがありました。
先週に限らず、10月以降は現在までずっと、すべては大詰めを迎えた米中貿易交渉の行方、そして英国の総選挙の結果にかかっていました。このふたつの大きな材料が決着を見ない限り、なかなか前へ進めないというのが現在の世界の経済状況です。
そして日本では金曜日を迎え、制裁関税の発動のリミットとなる12月15日を目前にして、米中貿易交渉は第1弾の一部合意が報じられ、それに重ねて米国総選挙の開票速報で、与党・保守党が地滑り的な圧勝を収めたことも伝わりました。
ここから世界中の株式市場が大きく上昇しました。物色対象は景気敏感株に集中しています。すでに個々の銘柄の株価が指し示していましたが、相場は「不景気の株高」と呼ばれる局面に入っています。
「不景気の株高」の局面はじっくりと検討を加えなければなりませんが、ここでは「とりあえずわからないけど何かを買っておく」という場面です。このままうまく行くかどうか、まだわからない段階ですが、それでもひとまず相場の流れには乗ってくべきです。
乗っておかないと(買いポジションを持っていないと)、あとからでは「安値覚え」の習性がじゃまをして決して付いてゆくことはできなくなります。相場は相場に聞け。景気敏感の素材セクター、電機、機械、商社が中心の展開です。
激動の2019年相場はこうして暮れてゆきます。年が明けて2020年になれば、また新たな問題に直面します。米国は大統領選挙が事実上のスタートとなり、米中貿易交渉はよりハードルの高い第2弾の合意ができるかどうかに移ります。
開票が終わったばかりの英国・総選挙は保守党が地滑り的な圧勝を収めました。労働党は壊滅的な敗北を喫しましたが、敗因として指摘されているのが、EU離脱に対して態度をはっきさせることができなかったことと、富裕層への増税、鉄道・バスなど社会インフラ系企業の国有化、医療保険制度の改革など「反ビジネス的な政策」が英国民から嫌われたことでもあります。
ゴールドマンサックスは、労働党の政策が実現されると、マーケットの時価総額は
(後略)