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2021年6月13日

米国の写真相場、日経平均はこう着感強まり個別物色が活発

鈴木一之

◎日経平均(11日大引):28,948.73(▲9.83、▲0.03%)
◎NYダウ(11日終値):34,479.60(+13.36、+0.03%)

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鈴木一之です。6月も中盤に差しかかりましたが、関東地方はいまだ梅雨に入っておりません。

九州地方が観測史上で最も早く梅雨入りしたのに、それ以外の地域がかなり遅れています。これも一種の異常気象なのでしょうか。

先週の東京株式市場は、日を追うごとにこう着感が強まりました。上がりもせず、下がりもせず、日経平均は29,000円を目前にして動きがぴたりと止まりました。

先週は6月第2週でメジャーSQの週です。以前はSQというだけで大きく株価が動いたものです。それが今では市場の関心が高いわりにほとんど株価には影響がありません。いつか思い出したように激しく影響するのでしょうか。

SQという機械的、技術的な要因を除けば、先週は実に注目すべき材料の多い週でした。前週末に発表された米国5月の雇用統計、木曜日に発表された同じく米国の5月・消費者物価指数。さらには週末に開催された英国でのG7サミット。

コロナ危機が発生して以降、対面での首脳会合は初めてのことです。バイデン大統領は盟友・イギリスのジョンソン首相と初めて対面しました。対中国で西側先進国の歩調を合わせるという大きなテーマがありましたが、それでも株価にはほとんど響きませんでした。

米国の消費者物価指数も5月は+5.0%と発表され、13年ぶりの高い伸びとなり、「CPIショック」による株安を招いた4月の+4.2%を大きく上回りました。コア部分の伸びは+3.8%で30年ぶりの高い水準に達しています。事前の予想をはるかに上回ったのに米国市場の株価はしっかりしており、長期金利はむしろ低下しました。

予想していた通りに高い数値が発表されたのに、マーケットの反応は予想とはまったく違った方向に向かいました。昨年暮れの米大統領選挙の直後の反応とよく似ています。それだけに市場はますます疑心暗鬼になります。

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一筋縄では行かないのが市場の常ですが、今の状況は従来のそれとまるで異なります。パンデミックからの立ち上がりという特殊な状況がそうさせているのでしょうか。

そうは言っても動かないのは日経平均やTOPIXなどの主要な株価指数だけであって、たとえば東証2部株指数は今週の木曜日まで10日間の続伸を記録しました(金曜日は小幅反落しました)。東証マザーズ指数は金曜日も上昇して5日続伸しています。

個別銘柄の物色もきわめて活発です。5月中旬の決算発表からこちら側では、個々の銘柄の騰勢が強まっています。東証1部では富士通(6702)が20年ぶりの高値を駆け上がっています。

個々の銘柄に上昇の勢いがはっきりと移っています。値上がりする銘柄と値下がりする銘柄がはっきりと分かれるようになりました。「業績相場」と言えばそれまでですが、そのあたりの選球眼がより一層求められるようになったと投資家は覚悟しなければならないようです。

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先週の株式市場の動きについて。TOPIXが4週ぶりに反落しました。下落率は▲0.26%と非常に小さなものです。1週間を平均すると日経平均の終値ベースの値動きは100円に満たない小さな範囲にとどまっています。前の週と比べてわずか+7円しか上昇しておりません。

日々の値動きも値下がり銘柄の方が優勢で、騰落レシオの上昇は止まりました。再び100%を下回っています。

規模別では堅調だった大型株指数が下落に転じ、反対に小型株指数が4週連続で上昇しました。これまで堅調だったバリュー株の優位が止まり、グロース株に上昇が目立っています。そして東証REIT指数の上昇が一段と加速しています。

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TOPIX-17業種のセクター別の騰落では、値上がりセクターが8業種で、値下がりセクターは9業種に広がりました。

値上がりセクターのトップは「医薬品」です。エーザイ(4523)が世界で初めてアルツハイマー型認知症治療薬の開発に成功して、米FDAから製造承認を得たことが好感されました。

エーザイの株価は2日連続でストップ高まで買われましたが、人気化しているのはエーザイばかりではありません。

中期経営が好感されたアステラス製薬(4503)、コロナウイルスに対抗する国内ワクチンを製造中の塩野義製薬(4507)、アナリストの投資判断が引き上げられたテルモ(4543)、あるいは富士フイルムHD(4901)、オリンパス(7733)など、医薬品およびヘルスケア関連の動きが目立つようになっています。

値上がりセクターの第2位は「不動産」でした。REITの上昇に刺激されているところもありますが、これも「ワクチン相場」のひとつの形態と見ることができます。ワクチン接種は順調に拡大しており、経済再開への期待はますます高まります。それに伴って上値が抑えられていた不動産セクターにも勢いが戻っています。

値上がりセクターの第3位は「電力・ガス」、第4位は「情報通信・サービス他」でした。これらの動きも以前から強まる循環物色の一環と考えられます。ぐるぐると循環物色が続くうちは、日経平均のような株価指数の上昇は抑えられがちとなっても仕方ありません。

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値上がり業種のチャート(日足、直近3か月)

(後略)

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鈴木一之