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2022年8月23日

米国株式市場の上昇が続く、日経平均はついに29,000円に到達

鈴木一之

◎日経平均(19日大引):28,930.33(▲11.81、▲0.04%)
◎NYダウ(19日終値):33,706.74(▲292.30、▲0.85%)

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鈴木一之です。日米そろって株式市場の上昇が続いています。

日経平均は先週、抜けそうで抜けなかった28,500円の壁をついに突破して、週末には29,000円の大台に乗せました。あれよあれよという間の上昇です。

実際に米国市場では、この1か月ほどでインフレ圧力がピークを越えたとの見方が強くなっており、FRBの利上げペースが緩和されるとの楽観的な見方が広がっています。同時に米国の景気下振れ懸念も和らいできており、NYダウ工業株は8月16日に今年4月以来の高値に到達しました。

6月に発表された米国の5月・消費者物価指数の高騰を受けて金融当局の利上げペースが加速し、それが米国景気を大きく押し下げるとの見方につながって、株価が急落しました。その下落分をすべて取り戻した形となっています。

物色の中心は反対売買のショートカバーとされており、それが現在の株高を演出しています。政策金利の引き上げと足並みをそろえて、市場での長期金利は7月半ば以降は急速に低下しています。それが株価の上昇につながりましたが、8月に入って長期国債などの実勢金利は再び上昇し始めています。

金利上昇とともに株高も続いており、特にこの1週間はショートカバーだけではなく、実需筋の買いも入り始めている模様です。足元の景気動向は思っていた以上にしっかりしています。

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物価を抑えつつ景気動向にも配慮しなくてはならないのは、政策当局にとって実にむずかしい舵取りです。そのような状況を表すFOMCの議事要旨が、先週は公開されました。

7月会合では6月に続いて2度目の0.75%の利上げが決定されました。討議に参加したボードメンバーの総意は「将来のどこかの時点で利上げを減速することが適切」という点で一致したと示されています。その上で現在は、経済指標の強弱に応じて柔軟に対処するというスタンスが強調されています。

ここまでの急ピッチな政策金利の引き上げは、住宅市場にさっそく影響が出ています。8月16日に発表された7月の米住宅着工件数は144.6万戸(前月比▲9.6%)となり、1年5か月ぶりの低い水準でした。一戸建て住宅の着工件数は91.6万戸(▲10.1%)で、100万戸割れはコロナ危機直後の2020年6月以来のことです。

また中古住宅の販売件数も481万戸(前月比▲5.9%)で、6か月連続で減少しています。7月の小売売上高は前月比横ばい。ニューヨーク連銀が発表する製造業景況指数も大きく低下しました。

景気の鈍化が鮮明になっており、それが原油市況にも映し出されています。先週はWTI先物価格が86ドル台まで低下し、今年2月以来の低い水準となりました。急激に値上がりしていたガソリン価格も低下して、米国の消費者は安堵している様子です。

反対に日本では、景気の良好さを示す数字があらためて確認されました。8月17日に発表された4-6月の機械受注は、「船舶・電力を除いた民需」が前期比+8.1%となりました。2四半期ぶりのプラスです。コロナ禍で控えられていた設備投資が、デジタル投資を中心に活発化しています。

また7月の消費者物価指数も+2.4%の上昇となりました。先行して発表された7月の企業物価指数の+8.6%上昇に続いて、消費者物価も4か月連続で2%を超えています。日本もようやく世界に追いつく格好で物価の上昇基調が鮮明になっています。この状況を賃上げにつなげることができるか、ここからはそれが最も問われることになります。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが3週続けて上昇しました。上昇率は+1.08%にとどまり小幅の上昇ですが、前の週の+1.34%上昇と合わせて今年1月につけた年初来高値に接近しています。

規模別指数では前週に続いて、小型株から大型株まで幅広く買いが広がっています。特に大型、小型、グロース株、バリュー株、どのクラスを選好するという動きは見られず、総花的な上昇となりました。むしろ業績相場の色彩が一段と濃くなっており、各セクター内で個別銘柄の選別物色が強まっています。東証マザーズ指数は2週ぶりに反発しました。

テクニカル面では、騰落レシオが高止まりしており、先週も120%台に貼りついています。ここでも広範囲な上昇が続いていることが見て取れます。日経平均のサイコロジカルラインは、前週と同様に週を通じて「7」から「8」での推移となりました。週明けからの4日間はサイコロジカルラインが下がりやすい状態となっています。東証REIT指数は早くも反発しました。

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TOPIX-17業種のセクター別騰落では、値上がりセクターが15業種まで広がりました。前の週の16業種に続いて広範囲な上昇となっています。反対に値下がりセクターは「運輸・物流」と「エネルギー資源」の2業種にとどまりました。

「エネルギー資源」はその前の週に値上がりトップとなった反動安もあると見られます。そこに原油価格の軟調さも重なっています。「運輸・物流」では電鉄株が総じてさえない展開となりました。

値上がりトップの「電力・ガス」は、電力株は総じて小動きにとどまったものの、レノバ(9519)、イーレックス(9517)、エフオン(9514)の新電力がそろって続伸しています。基調として好業績が続いている上に、先週の原油市況の低下がプラスに評価されています。

東京ガス(9531)、大阪ガス(9532)、東邦ガス(9533)のガス会社も、原油安の好影響を映していずれも堅調でした。

値上がり第2位の「小売」セクターは、ファーストリテイリング(9983)が一貫して上昇を続けています。そこに加えて、セブン&アイHD(3382)、イオン(8267)、アルペン(3028)、トレジャー・ファクトリー(3093)、ゼンショーHD(7550)など、決算内容の好調さが確認された銘柄が静かに上昇を続けています。

第3位の「金融(除く銀行)」では、東京センチュリー(8439)、三菱HCキャピタル(8593)のリース各社が目立って堅調でした。企業の設備投資が活発化しており、それが「万年割安銘柄」のリース各社の株価を久々に刺激していると見られます。

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お盆休みが明けたことで、週明けからはオフィス街にも少しずつ人の流れが戻ってくると見られます。同時にそれは株式市場でも年後半戦が始まることを意味します。3月決算企業の第1四半期の業績発表が終わったこともあり、業績のよい銘柄とそうでない銘柄の差、個々の企業の株価の差もこれまで以上に開いてゆくことでしょう。

それが「業績相場」というものです。業績による選別物色の色彩がますます強まってくると見られます。

先週も記しましたが、プライム市場で決算発表を終えた1160社を日本経済新聞社が集計した結果では、2022年4-6月期の当期純利益は前年比▲26%の減少でした。2四半期連続での減益ですが、▲3兆円を超える巨額の赤字を計上したソフトバンクG(9984)の影響が大きく、それを除けば全体では通期では+10%となり2年連続で史上最高益を更新します。

業績の悪かった業種は、

(後略)

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鈴木一之