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2024年10月22日
ASMLショックで日本株は軟調、米国株は引き続き最高値を更新
鈴木一之です。東京では10月でも気温が30度を超える日が今もあります。本物の異常気象です。
それでも朝晩はさすがに寒くなってきました。お鍋の季節がようやく始まります。
依然として株式市場は軟調な続いています。先週の主だったニュースは以下のとおりです。
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・原油価格が急落、需要見通しの引き下げが相次ぐ
・半導体関連株が下落、ASLMショック、TSMC決算
・米国で7-9月期の決算発表がスタート、出だしは好調
・衆院選公示、自民党過半数割れの可能性も
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先週の東京株式市場はTOPIXが反落しました。下落率は▲0.64%と小さく、前の週の+0.45%に続いて神経質な値動きとなりました。
引き続き大型株が優位で小型株が軟調です。さらにバリュー株の優勢、グロース株の劣勢が継続しています。大型バリュー株は+0.15%と逆行高で続伸しましたが、大型グロース株は▲1.44%と続落しました。銀行株が続伸し、半導体関連株が引き続き軟調だった影響が出ています。
騰落レシオは週を通じて110%台をキープしました。ほとんど動かず、週末は110.93%で終わりました。日経平均のサイコロジカルラインは「8」を3日間続けています。
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TOPIX-17業種の騰落では、値上がりセクターが6業種、値下がりセクターは11業種でした。
値上がり上位のセクターは「銀行」、「電力・ガス」、「金融(除く銀行)」でした。中でも目立って上昇したのは銀行と電力株です。
「銀行」はメガバンクを中心に連日の逆行高となりました。三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)、みずほフィナンシャルグループ(8411)が中心です。
地銀株にはまだ目立った動きは見られませんが、その中ではめぶきフィナンシャルグループ(7167)、七十七銀行(8341)、ひろぎんホールディングス(7337)などの収益内容のよい銀行が堅調でした。日本でも金利の上昇圧力がじわじわと高まっていることが背景です。
「電力・ガス」では関西電力(9503)、中国電力(9504)、東北電力(9506)という原発の再稼働もしくは運転延長に関する材料を有する銘柄に動きが見られました。
反対に東京ガス(9531)、大阪ガス(9532)はエネルギー価格の急落に連動して軟調な動きが見られました。
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値下がりセクターの上位には「エネルギー資源」、「電機・精密」、「化学・素材」が軟調でした。
値下がりトップの「エネルギー資源」では、ENEOSホールディングス(5020)、出光興産(5019)、INPEX(1605)が原油価格の急落に連動して軟調でした。
「電機・精密」に関しては、安川電機(6506)、ファナック(6954)、キーエンス(6861)、ニデック(6594)という中国経済に密接に関連する銘柄の下げが目立ちました。
「化学・素材」では信越化学工業(4063)、三井化学(4183)、三菱ケミカル(4188)、トクヤマ(4043)が目立って下落しています。
以下にそれらの銘柄、セクターの上昇要因、下落要因などを見てまいります。
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先週は原油価格の下落が大きな話題となりました。週初はイスラエルが米国の説得に応じる形で、イランに対してミサイル攻撃を軍事施設に限定するとしたことから、緊張緩和で市況は1日で▲5%強も下落しました。
それが週後半には原油需要の見通しが各方面で引き下げられ、それがWTI先物価格の70ドル割れを招いています。
OPECは10月14日の月報で、2024年の石油需要見通しの増加幅を前年比+193万バレル/日としました。3か月連続で引き下げ、前月から▲10万バレル下方修正しています。
理由として挙げているのが、中国経済の先行き悪化です。OPECは中国の今年の原油の需要増を9月時点の+65万バレル/日から、直近のレポートで+58万バレル/日まで下方修正しました。
同じようにIEA(国際エネルギー機関)も10月のリポートで、2024年の世界の需要見通しを前年比+90万バレル/日から86万バレル/日に引き下げました。ここでも中国の需要の弱さが根拠となっています。
実際に中国の国家統計局から発表された、7-9月の中国の経済成長率は実質GDPで前年同期比+4.8%でした。2四半期続けて伸び率は縮小し、政府目標の5%台を下回ったままで推移しています。
さらに名目GDPは同+4.0%にとどまっており。名目の伸びが実質を下回る「デフレ」の状態が6四半期も続いていることになります。中国人民銀行は国慶節入りの直前に、預金準備率の引き下げを中心とした景気対策を打っていますが、まだその効果は表れておりません。
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続いて半導体セクターに関する話題です。先週の株式市場で最も関心を集めたのが、引き続き半導体セクターです。
3連休明けの週明けは半導体関連株が全面高から始まりました。前週末の米国市場でエヌビディアが最高値に迫るほど大きく上昇したことから、東京市場では連休明けの火曜日に半導体株が久しぶりに全面高を記録するまずまずのスタートを切りました。
しかしそれは長続きせず、水曜日には早くも全面安に変わってしまいました。半導体の露光装置の世界的企業であるASMLホールディングが7-9月期の決算を発表し、受注額が当初予想の40-60億ユーロから実際には26億ユーロにとどまったと発表したことが主因です。
さらに10-12月期の売上高見通しも、市場の予想する上限400億ユーロを大きく下回る350億ユーロにとどまめられたことから、株価は時間外取引で▲16%も下落しました。時価総額60兆円の企業が、1日で50兆円まで▲10兆円も減少する厳しい事態となりました。
ASMLホールディングの受注が急減している理由は明確ではありませんが、大手顧客が工場建設を延期したことが響いていると見られます。はっきりとはしないもののここにも中国経済の悪化の影響が及んでいる模様です。
10月16日(水)の日経平均は半導体株の反落で一時▲800円以上も下落しました(終値は▲730円)。前日に4万円台にタッチしたばかりで、わずか1日で39,000円前半まで押しもどされる結果となりました
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日本企業の決算資料を見る限りでは、半導体市場における生産調整が予想以上に長引いている様子がうかがえます。
需要が伸びているのは生成AI向けの先端半導体だけで、既存のスマホやPC向けはまだ在庫調整の渦中にあります。しかもその在庫調整の終わりの時期がどんどん後ずれしている模様で、それが半導体セクター各社の株価格差につながっているようです。
生成AIで好調なエヌビディアの株価は先週、史上最高値を更新しましたが、それ以外のところは軟調なままという状態です。東京市場でも半導体セクターの銘柄が、週初に大きく買われた後、週末にかけて軟調な展開を余儀なくされました。
数少ない好調な企業のひとつがファウンドリーのTSMCです。木曜日に10月17日(木)に7-9月期の決算を発表し、売上高は過去最高の7596億台湾ドル(+39.0%)、純利益も同様で3252億台湾ドル(+54.2%)となりました。どちらも市場予想を上回る内容でした。
TSMCの株価はエヌビディアと同様に堅調です。多くのセクターがそうですが、
(後略)