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2024年1月14日

2024年第2週目、日経平均は35,000円台に到達、TOPIXは7連騰

鈴木一之

能登半島地震で被害に遭遇された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

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鈴木一之です。元旦に能登半島を襲った大型の地震から2週間が経過しました。亡くなられた方は200人を越え、住宅の損壊も1万棟を超えています。被害の全容はいまだ把握しきれていない状況で、ここからさらに拡大すると見られています。

半島の突端で被害が大きく、ほとんどの幹線道路が寸断されています。山が海岸に接近しているため港や漁港が少ないため、海からの物資の陸揚げもままならず、車が走行できずに孤立状態に陥る村落が相次いでいます。

寒さは一段と厳しくなっています。一刻も早い被災地の復旧を願っております。

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先週の株式市場は大きく上昇しました。日経平均は成人の日の3連休明けから上昇を開始して、バブル崩壊後の高値を更新しました。

ここから連日のように「33年ぶりの高値」という表現が繰り返されることになります。TOPIXは年末年始をまたいで7連騰を記録しました。

前提として、今期の企業収益が伸びていることがあります。上場企業は今期、3年連続して史上最高益を更新する見通しです。そこに東証からの企業改革要請、ガバナンスの向上への要請が加わります。

コロナ禍からの経済再開をきっかけにデフレからインフレへ、経済環境の大きな変化が目の前で起こっています。それに対して企業サイドも設備投資と人材獲得を活発化させて応えようとしています。

このような昨年末から続く変化に加えて、年明けからの株価押し上げ要因として、テクノロジー業界のイノベーションへの期待が加わります。先週の日経平均の上昇を押し上げたのは、引き続き東京エレクトロン(8035)などの半導体関連株でした。

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災害、紛争、インフレなど現実の社会は厳しい状況ですが未来は限りなく明るい。そんな楽観的な見方が信じられるようなビッグイベントが、1月9日ラスベガスで開幕しました。世界最大のテクノロジー見本市「CES」です。

いまでは毎年この時期の風物詩となってきた「CES」には、今年は4000社が出展し、会期中に13万人が訪れると予想されています。その一大イベントに合わせてテクノロジー各社が未来の新技術を発表しています。

注目されている新技術のひとつが「エッジAI」です。パソコンやスマホなど手元のデジタル機器にAIを組み込むもので、これによってデータセンターに大規模なデータを格納する過程が減って、処理が分散され動作の遅延が起こりにくくなるとされています。これが「ChatGPT」などの対話型AIの普及を一段と促進すると見られています。

主役はここでもエヌビディアでした。1月8日にパソコンに組み込んで使う半導体を開発したとエヌビディアが発表しました。同社が得意とするGPUをベースに、AIの処理速度が最大で7割も高速化することになります。

この新型半導体の発表をきっかけに、エヌビディアは今週も連日のように史上最高値を更新しました。NASDAQや他の半導体関連株とはかなり異なった動きを示しています。

ここから日本でも半導体関連株、および生成AI関連株に物色人気が戻っています。まずはここからきっかけが作られ、それが呼び水となって次第に他の出遅れセクター、銘柄にも物色が一気に広がっていったと見られます。

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日経平均はバブル崩壊後の高値を更新していますが、そればかりでなく個々の銘柄でも上場来高値を更新するものが広がっています。

すでに昨年暮れには、任天堂(7974)、ディスコ(6146)、前述の東京エレクトロン(8035)が上場来高値に進んでいました。それが年明けはさらに拡大しています。

建設では住友林業(1911)、大和ハウス(1925)、積水ハウス(1928)。半導体商社の東エレレクトロン・デバイス(2760)、マクニカHD(3132)。

タイヤの横浜ゴム(5101)、鋼材の大和工業(5444)、ロボットのSMC(6273)、電子部品のTDK(6762)。総合商社の伊藤忠(8001)、住友商事(8053)、豊田通商(8015)、通信のKDDI(9433)、ソフトバンク(9434)、そしてファーストリテイリング(9983)。

いずれも日本を代表する大型株です。それに各業界を代表する中堅どころの銘柄も含まれています。さまざまな業種から活況を呈する銘柄が出現しており、それら企業に共通する点として、利益率の高さ、優れた製品群、キャッシュ獲得能力の強さが見出せます。

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そのような銘柄が続々と現れており、そこから日経平均やTOPIXの上昇につながっていると考えられます。オールジャパン規模で改革機運が盛り上がっています。

これらの銘柄の値動きを見るにつけ、日本全体が評価されて上昇しているというよりも、個々の企業の実力が評価されることで、それが合算された日経平均が高値更新に至っているという構図です。

かつて日本は「世界の景気敏感株」と位置づけられてきました。世界経済が上向きになれば日本株は他律的、自動的に買われ、反対に世界経済が落ち込めば日本株は真っ先に売られます。そのようなすっかり評価が定着していました。

そこでは日本企業の個々の特色はさほど気に留められることはなく、経済全体のモメンタムがなによりも重視されてきました。

それが現在は必ずしも世界経済の見通しには気を留めることはなく、むしろ景気はかんばしくないとされています。OECDや世界銀行の最新の世界経済見通しは、さらに引き下げられる方向にあります。それでも日本株への評価は揺らぐことなく、次第に評価を高めるほどになっています。必ずしも景気の先行きの動きを見越しての日本株買い、ではないことが実感できます。

個々の企業の評価ということになれば、物色の勢いはこれまで以上に息長く続くことになるでしょう。日経平均は35,000円台に到達しましたが、もう少し上の水準を追いかけることも十分に期待できそうです。問われているのは企業の実力です。その点をじっくりと考えてみる必要があります。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが5週連続で上昇しました。上昇率は+4.21%の大幅な上昇となっており、しかも年末年始をまたいで7連騰を記録しています。

規模別では明らかに大型株(+4.99%)が優位の展開となりました。中型株(+3.21%)、小型株(+1.50%)もいずれも上昇していますが、大型株の上昇にはとどきません。

スタイル別にはグロース株、バリュー株ともに上昇しましたが、中でも大型グロース株の上昇が顕著でした。その大型グロース株は+5.97%の上昇を記録し、それに対して大型バリュー株は+2.98%にとどまりました。小型バリュー株は+0.95%と小さな上昇にとどまります。

上昇する銘柄は選別されており、必ずしも全面的な上昇ではありません。そのため騰落レシオは上昇してはいるものの、週末は116.65%にとどまっています。週半ばには118.40%までありました。日経平均のサイコロジカルラインは昨年末と同様の「9」に到達しています。

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TOPIX-17業種のセクター別騰落は、17業種すべてが値上がりしました。

中でも値上がり上位のセクターには「電機・精密」、「機械」、「商社・卸売」が登場しました。

値上がりトップの「電機・精密」は、既述したように東京エレクトロン(8035)、スクリーンHD(7735)、日立(6501)、NEC(6701)、HOYA(7741)などが総じてしっかりしています。

明らかに出遅れていたソニーグループ(6758)、キーエンス(6861)、TDK(6762)、京セラ(6971)、ヒロセ電機(6806)が、その出遅れ感から次々と物色の輪に加わってきました。

同じように「機械」でも、先駆したディスコ(6146)に続いて、

(後略)

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鈴木一之