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2021年8月1日

50年ぶりの東京五輪が開幕、日経平均は5日続落から反発

鈴木一之

◎日経平均(21日大引):27,548.00(+159.84、+0.58%)
◎NYダウ(23日終値):35,061.55(+238.20、+0.68%)

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東京オリンピックがついに開幕しました。すでに一部の競技では試合が始まっていますが、昨日が開会式、本日から本格的にアスリートたちの熱戦が始まります。

コロナ感染の拡大を避けるためにほぼすべての会場が無観客、9割以上のチケットは払い戻され、メインスポンサーが社名を出さないという異例づくめの大会となります。それでも今の世の中にはびこるどうにも重苦しい閉塞感を、選手の皆さんの活躍でぜひとも跳ね飛ばしてほしいと切に願います。

先週のマーケットは前の週に続いて軟調な展開となりました。週のスタートからほぼ全面安の状態から始まって、株式市場は下値切り下げ型の弱気パターンに入ってしまったとの印象を強く投げかけました。

東京オリンピックの開会式に合わせて祝日が特別の配置になっており、先週は立ち合い日数が月曜日から水曜日までのわずか3日間しかありませんでした。そのために株価が下落する局面でも買いが入りにくく、薄商いのまま無防備に下値を模索するような展開となりました。

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先週の当欄にも記しましたが、現在の東京株式市場の地合いの弱さは何が主因とされているのか判然としないところがあります。あらためて現在の市場を取り巻くネガティブ要因を書きだしておきます。

1、コロナウイルスの感染者数の世界的な増加(デルタ株の拡大)
2、異常気象の猛威(ドイツ、中国、日本の集中豪雨、北米の熱波)
3、それに伴って世界の製造工場の稼働停止、部品調達の困難
4、日本ではワクチン接種の遅れ、アジア、アフリカはより深刻
5、アメリカ経済のピークアウト感
6、物価上昇が止まらず、超金融緩和政策の継続への不安
7、日本では内閣支持率の急低下、エネルギー基本計画への不透明感
8、バイデン政権下での米中対立の激化

このほかにもデジタル課税案やGAFAを狙い撃ちとした米司法省の独禁法規制の強化、それらの企業業績への影響、など数え上げたらきりがないほどです。

それでも先週のマーケットに関して見れば、最も懸念されるのは「5」の米国経済のピークアウト感です。先週前半に米10年国債金利は1.20%を割り込むまで低下しました。

物価の上昇を伴った金利上昇を警戒する以上に、今では金利の低下を不安視するまでにセンチメントは変化しています。それはすなわち「債券安、株安」という業績相場における不安から、「債券高、株安」の逆業績相場的なリスクオフの動きとなりつつあります。

バンク・オブ・アメリカは2021年の米国の成長率見通しを、それまでの7.0%から6.5%に引き下げました。もともとの数字が高すぎたということもあって巡航速度に落としたという要素もありますが、不足しがちな労働力のマイナスの影響をこれまで以上に強く見るようにしたためです、

ただしここまでが週前半までの状況です。日本が五輪開催のために4連休に入ったあたりから流れが逆転し始めました。米国経済のピークアウト感はけ散らされ、株式市場は再び騰勢を強めるようになりました。

結局のところ、週末までNYダウ工業株は4日続伸して、週末には史上初の35,000ドルの大台替えを果たしました。企業業績に対する信頼感が戻ってきて、S&P500およびNASDAQとともにそろって最高値更新となっています。

S&P500の業績見通しは好調です。4-6月期の売上高は前年比で+20%の増加となり、純利益は+70%増まで拡大しました。7月12日の時点の見通しは+64%増でしたので、2週間で1割近く増えたこととなります(QUICK・ファクトセット調べ)。伸び率はリーマン危機後の2009年10-12月期以来、11年半ぶりの大きさで、2019年4-6月期と比べても売上高で+9%、純利益で+15%の増加となります。

株価の牽引役に「GAFAM」が戻ってきており、さらに米国の景気敏感株であるキャタピラー、ナイキ、ホームデポ、スターバックス、ビザ、アメックスなども買われています。米国が新高値を更新したことに刺激されて、週末には英国、ドイツ、中国など主要国の株価が軒並み大きく上昇しました。

東京オリンピックの開幕を迎えた日本だけでなく、先週は世界のマーケットにとって大きな変化のあった週となった模様です。

@@@(先週の推移)@@@

・NYダウ工業株
月:33962(ー725)
火:34511(+549)
水:34798(+287)
木:34823(+25)
金:35061(+238)

・S&P500
月:4258(ー69)
火:4323(+65)
水:4358(+35)
木:4367(+9)
金:4411(+44)

・NASDAQ
月:14274(ー153)
火:14498(+224)
水:14631(+133)
木:14684(+53)
金:14836(+152)

・独DAX指数
月:15133(ー407)
火:15216(+83)
水:15422(+206)
木:15514(+92)
金:15669(+155)

・米10年国債金利(%)
月:1.19(ー0.10)
火:1.22(+0.03)
水:1.29(+0.07)
木:1.27(ー0.02)
金:1.27(ー0)

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先週の東京株式市場は、TOPIXは反落しました。日経平均は2週間にまたがって5日続落となりました。これは今年のワースト記録です。4連休前の水曜日にはかろうじて反発しましたが、上昇幅は限られており地合いとしてはかなり弱い印象だけが残りました。

規模別指数では、大型株から小型株までまんべんなく下落しています。わずかに大型株の下げが目立った週となりました。東証マザーズ指数は3週連続の下落となっています。グロース株とバリュー株では、バリュー株の下げが大きくなりました。前の週はバリュー株の上昇が目立っていたのとは反対の動きです。

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TOPIX-17業種のセクター別の騰落では、値上がりセクターは「医薬品」の1業種にとどまりました。反対に値下がりセクターは16業種に広がっています。

唯一の値上がりセクターとなった「医薬品」に関しても、特徴的な動きは少なかったように見えます。その前の週は広範囲に上昇が見られた週でしたが、その中にあって医薬品は数少ない下落セクターとなりました。その分の反動が見られたようで、基本的には動きの乏しい週でした。

そのほかに比較的下げの小さなセクターとしては、「食品」と「電力・ガス」が入っています。これも

(後略)

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鈴木一之