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2024年12月17日

NASDAQが史上初の2万pt大台乗せ、日経平均も一時4万円に

鈴木一之

鈴木一之です。12月第2週のマーケットでは画期的な出来事がいくつも同時に起こりました。

引き続き市場の先行きには警戒感が強く、さほど熱気は感じられないものの、株価は上値を志向しています。

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最大の出来事はやはり米国発です。ナスダックが史上初めて2万ptの大台を超えました。12月11日(水)に発表された米国のCPIがそこそこの上昇にとどまったことを歓迎して大手テクノロジー株が幅広く買われています。

テスラは3年ぶりに上場来高値を更新し、アップル、アマゾン、グーグルなどのビッグテックも堅調です。一方でエヌビディアをはじめ半導体関連株は一進一退の動きが目立ちました。

それ以上に注目されたのがビットコインです。史上初めて10万ドルの大台に到達しました。昨年暮れの4万ドルから1年でほぼ2倍に上昇しています。

ビットコインは今年1月にETF上場が初めて承認されました。その時からドラマは始まっています。既成社会から逸脱することを好むトランプ次期大統領は以前からビットコインを称賛しており、次期SEC委員長に仮想通貨の推進派であるポール・アトキンス氏を指名しました。それがビットコインの10万ドル突破をサポートしています。

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PERが歴史的にかなり高いまま株式市場は買い進まれ、仮想通貨市場までがかつてない賑わいを示すなど、マーケットは次第にバブルの様相を示していると指摘されます。

実際にCPIの結果は前年比+2.7%で、上昇幅そのものは次第に広がっています。インフレは鎮静化していないのではないかとの疑念も根強く存在します。10年国債金利は週末にかけて4.39%まで上昇しました。バブルかどうかは破裂してみないとわかりません。

今週はいよいよ今年最後のFOMCが開催されます。「フェド・ウォッチ・ツール」を見る限り、ほぼ確実に0.25%の利下げが行われると市場見通しは収れんしています。

問題は今回のFOMCで示される「先行きの政策判断」の道筋です。来年の利下げはどのようなペースで進められるのか、市場の関心はその一点にかかっています。

9月時点の「来年中に4回」の利下げ回数は修正されつつあり、それが果たして何回になるのか。今週はその点に議論が週流することでしょう。

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金融政策と並んでもうひとつの問題点は、トランプ政権下での経済政策です。

トランプ氏が打ち出した関税引き上げは、日本経済新聞とジェトロが分析したところ、関税を引き上げなかった場合と比べて米国GDPは▲1.1%、マイナスの影響が避けられないとのことでした。

トマトやアボカドなどの野菜、果物の輸入価格への影響が大きいようです。消費が落ち込むことによって労働者の就労機会の減少にもつながると見ています。

中国には▲0.3%のマイナスの影響が生じる見通しです。関税の引き上げで工場での生産や物流が中国から他のアジア諸国に移ることが最大の要因です。

「トランプ1.0」では中国に高い関税が課されたため、メキシコやカナダは輸出を伸ばすことができました。今回は逆に、関税の引き上げられるメキシコ、カナダのGDPが押し下げられます。影響がどこまで広がるのか企業も悩んでおり、設備投資にどこまで影響が広がるのか、ここからの精査が必要になります。

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日本でも大きなニュースがふたつありました。

ひとつは日銀短観(12月調査)です。12月13日(金)に発表された短観は、大企業・製造業の業況判断DIは、前回の「プラス13」から「プラス14」に、小幅ながら改善しました。先行きは▲1pt悪化の「プラス13」です。

改善は2四半期ぶりのことで、指数そのものは2022年3月の「プラス14」以来の高水準です。11月の米大統領選の結果にかかわらず、景況感はまずまずというところです。エコノミストの大方の予想はマイナス3くらいに絞られていました。

自動車業界の生産回復、それに付随して汎用機械、生産用機械にプラス幅が広がっています。反対に中国の景気減速で鉄鋼、金属製品が悪化しました。

同じく発表された大企業・非製造業の業況判断DIは、前回の「プラス34」から「プラス33」へ小幅悪化しました。記録的な猛暑の影響もあって、悪化するのは2四半期ぶりです。それでも1991年以来の高い水準を維持しています。

企業の2024年度の想定為替レートは1ドル=146円88銭(前回調査は145円15銭)。

2024年度の設備投資計画は、全規模・全産業で前年度比+9.7%の増加となりました。珍しく前回調査の+8.9%から上方修正されています。年度トータルでは3年連続して+10%前後の高い伸びを維持する可能性が強くなっています。

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景気がまずまずのところへ、週末には今年度の補正予算案が衆院を通過することとなりました。これがふたつめのニュースです。

総額で39兆円強、一般会計からの支出総額は13.9兆円。少数与党の自民・公明が国民民主党を引き込んであっけないほど早期の決着となりました。AI・半導体分野への支援、低所得世帯への給付金3万円、ガソリン補助金の継続、などが盛り込まれました。

焦点となっていた「103万円の壁」(所得税の非課税枠)の問題は、2025年から改善策を実施することで与党は国民民主党と合意しました。

水面下での紆余曲折はあったのでしょうが、予算審議から1週間足らず、あっという間に法案が衆院を通過しました。あまりに早い決着であっけにとられるほどです。

年明けからの通常国会でも国会での法案審議における国民民主党、日本維新の会の主張が今後も大きなカギを握ることになりそうです。

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先週の株式市場。TOPIXは続伸しました。上昇率は+0.71%の小幅ですが週前半の蓄積がモノを言いました。日経平均は一時4万円の大台にタッチしました。

物色の中心は前週までの大型株から、中型株、小型株まで広がる広範囲な物色に変わりました。中・小型株の多いスタンダード市場の健闘が目立っています。

上昇率では、大型株指数が+0.67%の上昇に対して、中型株指数は+0.80%、小型株指数は+0.70%と総じて堅調です。

スタイル別では大型バリュー株が+1.07%と久々に健闘しました。大型グロース株は+0.33%の上昇にとどまりました。逆行高となっていた東証グロース市場250指数は2週ぶりのプラスとなりました。

騰落レシオは月曜日に108.00まで上昇した後、週末は99.42%で終わりました。引き続きニュートラルの状態です。日経平均のサイコロジカルラインは10月15日以来の「9」に達しています。

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TOPIX-17業種の騰落では、値上がりセクターが11業種、値下がりセクターは6業種にとどまりました。

値上がりトップのセクターは「自動車・輸送機」でした。日産自(7201)、ホンダ(7267)、スバル(7270)など完成車の株価は依然として厳しい状況にありますが、代わってスズキ(7269)、日野自動車(7205)、いすゞ自動車(7202)に上向きの動きが見られました。

それ以上に堅調なのが自動車部品株です。武蔵精密(7220)、ティラド(7236)、カヤバ(7241)、アイシン(7259)、エクセディ(7278)、NOK(7240)がいずれも堅調です。

自動車部品株はいずれもPBRが1倍を割り込んでいる銘柄が多く、それだけに次の再編期待も高まりやすいように見えます。

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値上がり第2位が「情報通信・サービス」です。リクルート(6098)が連日のように上場来高値を更新し、SCSK(9719)、光通信(9435)、東宝(9602)、東映(9605)など、決算内容の良好な銘柄が幅広く物色されています。

小型株でもラクスル(4384)、Sansan(4443)、TDCソフト(4687)が大きく動意づいています。DX関連株としていずれも堅調です。

値上がり第3位のセクターが「電機・精密」でした。半導体セクターはレーザーテック(6920)に見られるように一貫して売り先行の動きが見られます。

それに対してソニーG(6758)、パナソニックHD(6752)、JVCケンウッド(6632)など、かつての民生用エレクロニクスメーカーから大きく上昇する動きが見られました。リストラ進展、新たな収益源の確保が徐々に業界全体で評価されています。

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反対に値下がりセクターの上位は「医薬品」、「電力・ガス」、「機械」でした。

値下がりトップの「医薬品」は武田薬品工業(4502)、アステラス製薬(4503)、第一三共(4568)、エーザイ(4523)、小野薬品工業(4528)など大手製薬メーカーがいずれも軟調です。

日本の薬事行政が世界から見るとスピードが遅いため、日本から画期的な新薬が出てくる可能性が小さくなっています。

世界的にAIを用いた新薬開発競争のスピードが上がるという時代の入り口に差しかかって、日本の製薬メーカーは世界の趨勢から置いていかれてしまったような位置づけに見えます。

値下がり第2位は「電力・ガス」でした。東京電力HD(9501)の柏崎刈羽原発の年内再稼働は年明け以降にずれ込むことが確定しました。関西電力(9503)は大型の公募増資の発表以降から株価が下落したままの状態で、いずれもさえない展開を余儀なくされています。

値下がり第3位は「機械」です。半導体関連のディスコ(6146)が軟調で、ローツェ(6323)、タツモ(6266)、サムコ(6387)も一貫して下落基調に入ったままの状態です。DMG森精機(6141)のような工作機械株も軟調に推移しました。

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株価は景気の鏡です。どんな時でも株価は将来の景気動向を先取りして動いてゆきます。半導体不況が長引き、それが半導体関連株はもとより他のセクターにも悪影響を及ぼしています。

株式市場の全体観は半導体関連株が握っていると言っても過言ではありません。その半導体関連株にいくつか動きが出てきました。三井ハイテック(6966)です。

12月12日(木)に半導体リードフレームの三井ハイテクが発表した第3四半期(2~10月)の決算は、

(後略)

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鈴木一之